Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
樹状突起上での情報統合様式は、記憶想起や注意などといった脳の高次機能も含めた動物の行動に関連して変化することが予測される。しかしこの仮説は未だ検証されていない。そこで本研究では樹状突起活動の光学的測定法と実験動物心理学的手法を組み合わせて、樹状突起活動と動物行動との因果関係を解析する。研究代表者は2010年3月1日に独立行政法人 理化学研究所で研究室をスタートさせた。研究活動スタート支援は2010年11月から開始した。研究代表者はまず、本研究課題で使用する光ファイバ顕微鏡を構築した。樹状突起から得られ光信号は微弱な為、効率的な光照射と光検出が必須である。信号-ノイズ比を向上させるため、光学経路の再設計、フォトダイオード検出器の使用、高輝度LED光源の使用、単レンズによる光照射などの改良を行い、従来に比べ2倍強の信号-ノイズ比示す光ファイバ顕微鏡を実現した。本研究ではラットの行動時における樹状突起活動を記録する。この時、その動物行動によって光ファイバがよじれる場合、行動の制約や光ファイバの損傷などが考えられる。そこで光ファイバがよじれることなく、かつ光学測定に影響を及ぼさない回転式高効率光転送装置を開発した。これにより、動物の行動時における神経活動の光ファイバ測定が長期間安定に行えるようになった。今後はラットに行動課題を行わせ、課題遂行時における樹状突起活動の記録を試みる。本研究により、長年検証されることができなかった「樹状突起活動が脳の高次機能に関与する」という仮説を検証することが可能である。