Research Abstract |
本研究では,汎用プログラミング言語であるVisual Basicを用いて,インボリュート歯車形状のDXFファイル自動作成・描画ソフトの開発を行った.ソフトの基本的な動作イメージは,歯車のモジュールと歯数を指定することで,歯車の形状を点群として求め,次にこの点群をDXFファイル形式で繋げ,連続線であらわされる輪郭形状として出力するというものである. 始めにパラメータを歯車のモジュールと歯数とし,インボリュート関数を用いてインボリュート曲線上の点群を抽出する計算過程を求めた.次にこの計算過程を基本として,歯一つ分の形状を点群として求める計算過程を求め,さらにこの歯一つ分の点群を,歯数に応じた回転角と回数で回転コピーすることにより,歯車全体の形状を決める点群を求めるという一連の計算過程を確立した.続いてこれらの点群を繋げ,歯車の輪郭形状をDXFファイル形式で出力するプログラムを組んだ.これらの流れを,本ソフトでは,(1)パラメータの入力,(2)計算の実行,(3)ファイルの保存という3段階で実行できるようにした. 次に本ソフトで出力したDXFファイルを元にマシニングセンタで加工した3個の歯車(モジュール:1,歯数:26)の歯型誤差,歯筋誤差,歯溝の振れを計測した.歯型誤差と歯筋誤差はいずれの歯車も0等級(最高等級)という結果となった.歯溝の振れは平均で3等級となったが,加工の段取りの見直しで改善できると考える.以上より,本プログラムでは実用に足りる歯車の歯形形状を出力できたと言える. 改善点としては,輪郭形状の描画機能を完成させる必要がある.また,転位係数等のパラメータを付加し,より様々な歯車形状の出力に対応できるようにしたい.更に,Visual Basicよりも高速で計算ができるVisual C++でのプログラムの書き換えも検討したい.
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