Project/Area Number |
22930002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
基礎医学
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Research Institution | 埼玉県立川越総合高等学校 |
Principal Investigator |
高橋 守 埼玉県立川越総合高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2010: ¥570,000 (Direct Cost: ¥570,000)
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Keywords | フトゲツツガムシ / つつがむし病 / リケッチア |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき京都府北部の野田川流域のつつがむし病患者発生地で、つつがむし病媒介種の検索と地表面におけるツツガムシ未吸着幼虫の分布構造を調べた。今年度も、この地域からは本病患者は出なかったが、野鼠寄生ツツガムシ類、および地表面に生息している未吸着幼虫からリケッチアの検出と分離を試みた。媒介種の検索は、野田川流域での本病患者発生地でアカネズミ2頭、ハタネズミ2頭、ジネズミ2頭の合計6頭が捕獲された。このうちアカネズミ2頭とハタネズミ2頭からリケッチアの分離を試みた結果、すべてからリケッチが分離された。PCR法により、リケッチアの型別を判定したところ、すべてがGilliam型であり、これまでに記録された病原体のタイプと同じであった。一方、これらの野鼠に寄生していた4属5種1326個体のツツガムシからマウス接種法によりリケッチアの検出を行った結果、フトゲツツガムシを接種した群からのみリケッチアが検出された。このリケッチアの型別はPCRでの結果と同様にGilliam型であった。このことから、この地域でのツツガムシ病媒介種はフトゲツツガムシと考えらた。一方、リケッチア保有ツツガムシの地表分布を調べた。土壌はあらかじめ選定された調査地点(1区域40地点(40cm間隔)で3区域からおよそ1回の調査で60kgを採取し、その中の未吸着幼虫をツルグレン装置を用いて採集した。今回の調査では、4属5種458個体が採集され、その大半はL.intermedium(63.2%)とL.pallidum(26.3%)が占めていた。リケッチアはL.pallidum 13.2% (16/121)からのみ検出され、モノクローナル抗体での反応はGilliam型であった。以上のことから、この地域でのツツガムシ病媒介種はフトゲツツガムシと考えられた。昨年と比較してみると、患者は出なかったものの、リケッチアを保有するフトゲツツガムシは相変わらず高い割合で棲息していた。しかしツツガムシの種構成は昨年度もそうであったように、次第にアラトツツガムシが優占種になりつつあるように感じられた。これが事実であるなら、有毒地が無毒地に変化する要因が、経卵伝播率とあわせて、種構成の変遷に基ずくことも一つの理由に挙げることができよう。そして、必ずや1995年当時のようなネズミの異常発生と、それに付随するツツガムシの増加に呼応するように、つつがむし病患者発生の再興が不幸にして起こることが予想される。その意味で、今後も継続して調査する必要がある。
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