Project/Area Number |
22H00024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
西山 要一 奈良大学, その他部局等, 名誉教授 (00090936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 治之 奈良大学, その他部局等, 名誉教授 (80000496)
関根 俊一 奈良大学, その他部局等, 特別研究員 (80154649)
魚島 純一 奈良大学, 文学部, 教授 (10372228)
比佐 陽一郎 奈良大学, 文学部, 教授 (50839264)
成瀬 正和 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 研究員 (90778630)
早川 泰弘 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 特任研究員 (20290869)
野尻 忠 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 課長 (10372179)
望月 規史 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 主任研究員 (80635251)
植田 直見 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
山口 繁生 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00752370)
桐野 文良 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10334484)
今津 節生 奈良大学, 文学部, 教授 (50250379)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥43,550,000 (Direct Cost: ¥33,500,000、Indirect Cost: ¥10,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥28,600,000 (Direct Cost: ¥22,000,000、Indirect Cost: ¥6,600,000)
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Keywords | 黄銅 / 鍮石・真鍮 / 中世の鍮石製遺品 / 近世の真鍮製品 / 自然科学と人文科学の学際研究 / Brass Road / 黄銅の合金技法 / 黄銅の日本史 / 黄銅の世界史 / 黄銅伝来の道「Brass Road」」 / 黄銅の日本史と世界史 / 古代・中世の鍮石製品 / 黄銅伝来の道「Brass Road」 / 黄銅の合金と鋳造の技法 / 黄銅の日本史・世界史 |
Outline of Research at the Start |
現代社会で最も身近な金属である黄銅の歴史は謎に包まれている。日本古代には法隆寺の鍮石製柄香炉があり、近世には真鍮製仏具があり、科学分析から鍮石・真鍮は黄銅(銅・亜鉛合金)であることを明らかにした。しかしこの間の平安~安土桃山時代に黄銅は存在しないとされてきたが、本研究者らは平安~室町時代の紺紙金字経の金字が黄銅であることを突きとめ、古代以来継続して黄銅が存在ていることを証明した。 本研究は、さらに多くの史・資料データを蓄積し、西アジア発祥とされる黄銅原産地と日本への伝来(Brass Road)、精練・製造技術、黄銅史などを史料学、文化財科学、考古学、美術工芸史学の学際研究により明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度も蛍光X線分析機(携帯型および据付け型)を用いて、黄銅製の考古資料・美術資料の科学分析調査を行った。愛知県美術館所蔵の五鈷鈴などの科学分析を実施し、唐招提寺所蔵経典、奈良町遺跡と堺環濠都市遺跡の出土黄銅関連資料の科学分析の準備に着手した。 「黄銅(鍮石・真鍮)の歴史と伝来の道「Brass Road」の研究」研究会(2024年1月)では、平安~江戸時代の黄銅資料分析の成果発表があり、特に平安時代の絵画資料に黄銅泥が使用されている(京都国立博物館所蔵品)との発表は、紺紙金字経のみならず、仏教絵画にも黄銅泥が使用され、利用の広がりが明らかになった。これら当初計画とは別に、朝鮮半島・李朝時代の刀剣の黄銅象嵌や家具金具などの科学分析を行い、さらに韓国の研究者の発表も加えて、朝鮮半島の黄銅史を概観することができた。 また同研究会での中国・明清代のチベット系黄銅仏像の分析結果(東京国立博物館所蔵品)、モンゴルの文献記載の黄銅製品、韓国・新安沈没船(中国・元代の貿易船)の黄銅インゴット、鎌倉時代の元寇沈没船発見の黄銅製品などの情報をつなぎ合わせることにより、東アジア・東北アジアの黄銅史の概要、また、ベトナム阮王朝の黄銅製品の科学分析などにより、東南アジアの黄銅史も徐々に概観できるようになった。朝鮮刀の研ぎ減りにより不鮮明であった黄銅象嵌銘から年号を読み取ることができたのは史料学の大きな成果であり、朝鮮半島の黄銅史研究の指標となる。 研究成果の公開は研究会の開催と研究会資料集の刊行により行った。前年までの4回の研究会は新型コロナの感染拡大の影響で15名ほどの規模で開催したが、本年度の研究会は2日間にわたり70名が参加し黄銅資料情報の公表と議論の場となった。前述のとおり研究会発表は新たな情報を提供し、日本黄銅史をさらに深めるとともに東アジア・中央アジアの黄銅史を垣間見るものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に科学分析を計画していた愛知県美術館所蔵の日本・中国の五鈷鈴などの資料、九州国立博物館の東南アジアの黄銅資料の分析を実施した。しかし予定していた奈良・奈良町遺跡出土の黄銅関係資料および大阪・堺環濠都市遺跡出土の考古学の黄銅資料は科学分析に着手したものの、さらなる詳細な分析を行うための悉皆的調査を行う必要が生じた。また、唐招提寺所蔵紺紙金字経についても、全250余点の経典中の紺紙金字経が50数点と多くを占め、科学分析を行うための分析計画つくりの段階にとどまった。これらの科学分析は2024年度に継続して実施する予定である。 一方、それらとは別に、新たに個人蔵の朝鮮半島李朝時代の黄銅象嵌銘小刀をはじめ、同時代の七星剣の黄銅象嵌、家具の黄銅金具の科学分析の機会を得て、朝鮮半島の黄銅の歴史を概観することができた。また、国内の資料においても、江戸時代の黄銅製燈籠、建築金具などの分析を行い、日本の黄銅史研究に新たなデータを得ることができた。 以上のように、研究計画の一部の未完了があるものの、新たな成果が得られたことに鑑み「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に計画していた奈良・奈良町遺跡、堺環濠都市遺跡等の出土資料の科学分析の完遂し、唐招提寺所蔵紺紙金字経の科学分析を遂行するとともに、新たに法隆寺所蔵仏教関係資料(仏具・奉納品など)の科学分析にも着手する。さらに、日本の鎌倉~安土桃山時代の文書に記載されている輸入鍮石製品と寺社等に所蔵されている伝世品の比定を試み、中世の鍮石製品の流通や当時の人々の鍮石に対する意識を考察する。 日本の博物館・美術館・社寺等が所蔵する韓国・中国などの東アジア、モンゴルなどの北東アジア、ベトナム・タイなどの東南アジア、インドなどの南アジアの黄銅資料を所蔵機関・所蔵者の協力を得て科学分析を行うとともに、各国の研究者の協力のもとに情報を収集し、日本とアジアの黄銅の伝来と歴史に迫る。これらの課題に取り組み成果を得るために、本年度は中国の研究者を招請する。 本研究の対象とする黄銅(鍮石・真鍮)資料は博物館や寺社が所蔵する文化財であり、宝物であることから、サンプルを採取することはできない。この条件に合致する分析法として蛍光X線分析機を活用するが、その分析データに銅と亜鉛が含まれれば黄銅と判断するものの、亜鉛の含有量が数%以下の微量の場合でも黄銅とするのか否か、現在、これらの判断は研究者個人に任されている。しかし研究をさらに推進し、深め広めるためには研究者間で共有できる基準が必要である。この基準策定は本研究の評価や信頼性を確立するための根源的な課題でもある。 2024年度も研究会を開催して本研究を深め、「Brass Road」の重要な位置にある中国の研究者を招請する。成果は年次報告書を作成し、博物館・美術館・大学・寺社など関係機関・研究者に配布することのより、広報・公開する。
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