Project/Area Number |
22H00118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 14:Plasma science and related fields
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Research Institution | The University of Osaka |
Principal Investigator |
藤岡 慎介 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (40372635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃史 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (00260050)
長友 英夫 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (10283813)
城崎 知至 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10397680)
Morace Alessio 大阪大学, レーザー科学研究所, 講師 (70724326)
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (80362606)
有川 安信 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (90624255)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2025)
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Budget Amount *help |
¥43,940,000 (Direct Cost: ¥33,800,000、Indirect Cost: ¥10,140,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,280,000 (Direct Cost: ¥5,600,000、Indirect Cost: ¥1,680,000)
Fiscal Year 2022: ¥30,420,000 (Direct Cost: ¥23,400,000、Indirect Cost: ¥7,020,000)
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Keywords | プラズマ科学 / レーザー核融合 / 燃焼波伝播 / クライオターゲット / 液体重水素 / 高エネルギー密度プラズマ / 高強度レーザー / 重水素プラズマ / 核燃焼波 / レーザー / 核融合 / プラズマ / 核燃焼 / フェルミ縮退 / 中実球 / 高密度水素 / 燃焼 / 高速点火 |
Outline of Research at the Start |
太陽は核融合エネルギーで燃えており、まさに地球は核融合エネルギーで育まれてきました。この究極の脱炭素エネルギーを地上で実現し活用しようという人類未到の挑戦の一つが、レーザー核融合です。私達は、レーザー核融合の中でも、高効率が期待されている高速点火方式を研究しています。本研究では、高速点火方式では革新的な核融合燃料形状である中実球を採用できることに着目し、中実球がレーザー核融合に必要な超高密度に圧縮できることを実証します。又、核融合反応によって発生したα粒子が高密度プラズマをどのように加熱するのかを調べることで、レーザー核融合によってエネルギーを取り出すために必要な条件を解明します。
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Outline of Annual Research Achievements |
中実球の高密度圧縮を達成するには二つの要求を満たす必要がある。一つ目の要求は、中実球表面で吸収されるレーザーパワーを空間的に一様にすることである。二つ目の要求は、中実球のエントロピーを可能な限り低く保ちながら圧縮することである。 一つ目の要求を解決するため、レーザー照射の空間分布を変えながら、吸収されるレーザーパワーの空間分布を数値計算した。計算に必要なプラズマの密度及び温度分布は放射流体シミュレーションコードで求め、レーザー吸収機構として衝突吸収を考慮し、密度勾配のあるプラズマ中でのレーザー伝搬は光線追跡法でモデル化することで、球表面における吸収パワーの分布を求めた。この計算結果に基づいて、実験で用いる照射レーザーのスポット径を決定し、以前は非一様に圧縮されていた中実球を、丸い形を保ったまま圧縮できることを実証した。 二つ目の要求を解決するには、燃料のエントローピーを低く保ったまま、多段の衝撃波で段階的に中実球を圧縮する必要がある。我々は三段のレーザーパルスを設計し、大阪大学レーザー科学研究所の激光XII号レーザーのパルス波形整形器を使って、設計に近いパルス波形で中実球の圧縮実験を行うことに成功した。レーザー増幅後のレーザー波形を計測するためのモニター類の整備も行った。実験結果をシミュレーションと比較し、プラズマの状態方程式の不確実さとレーザーのプラズマ中での伝搬についての知見を得ることができた。 プラスチック中実球の圧縮実験と並行して、低温水素中実球の製造装置の設計を進めた。また、燃焼波伝搬におけるプラズマのフェルミ縮退の影響を調べるために、フェルミ縮退による電子-イオン散乱の減少を考慮したアルファ粒子の輸送のシミュレーションコードの開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中実球を高密度に圧縮する場合、低強度のレーザーパルスで数ナノ秒の間照射し続ける必要がある。低強度のレーザーが作るプラズマの温度は低いため、レーザー光は効率的に衝突吸収され、結果として、照射レーザー強度の非均一性がそのまま、吸収レーザー強度の非一様性になることを明らかにした。特に低強度のレーザーパルスを照射する段階では、レーザーのスポットサイズをターゲットの断面積よりも大きくし、sinc関数に近い形(ガウス関数のピーク付近に相当)の強度分布で照射する必要があることが判明した。この計算結果に基づいて、レーザー照射条件を最適化し、以前は非一様に圧縮されていた中実球が球の形を保ったまま圧縮することに成功した。 大阪大学レーザー科学研究所の激光XII号レーザーのパルス波形整形器を使い、設計に近い三段のパルス波形で中実球の圧縮実験を行うことに成功した。実験で得られたプラズマのサイズや密度とシミュレーション結果を一致させるには、一段目と二段目のレーザーパルス強度の実測値に対して約1.9倍に「人工的に」増加させる必要があること、一方で三段目のレーザーパルス強度は実測値に対して0.5倍に「人工的に」減少させる必要があることが分かった。一段目と二段目は、プラズマの圧力と衝撃波速度の関係(いわゆる状態方程式)の不正確さに起因する。三段目に関しては、Cross Beam Energy Transferによるレーザーエネルギーの損失が考えられる。今後、レーザーパルスを最適化するために不可欠な、状態方程式の不確実さ、CBETによるエネルギー損失に関する重要な知見を得ることができた。実験結果とシミュレーション結果を相互に比較しながら、レーザーパルス波形を最適化する手順を確立することで、今後、低温で液化した水素の中実球の圧縮実験を効率的に進めることが可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、水素中実球の模擬であるプラスチック中実球を利用し、2022年度に導入した吸収レーザーエネルギーの空間分布の平滑化と、圧縮用レーザーのパルス波形の最適化を行うことで、中実球の超高密度圧縮を実証する。2022年度の実験で明らかになった、低強度レーザー照射時のプラスチックの状態方程式の不正確さ及び高強度レーザー照射時のレーザー吸収率の低下を、レーザーパルス波形の設計に反映させることで、プラスチック中実球を高密度に圧縮するための行程を確立する。この行程を使って、低温で固化又は液化した水素中実球の圧縮を迅速に進める。2023年度からはプロトン-ボロン核融合反応を用いたアルファ粒子生成の実験にも着手し、部分的にフェルミ縮退した水素プラズマ中でのアルファ粒子の輸送に関する実験的な知見を獲得していく。実験の準備を進めると共に、フェルミ縮退によるイオン-電子散乱の減少による阻止能の変化を陽に考慮したファルファ粒子輸送コードを開発し、本実験の予測及び解析、更には核融合点火におけるアルファ粒子の輸送に関する知見を蓄積していく。低温水素中実球の開発においては、核融合科学研究所と協力しながら、中実球を実験チャンバー内に挿入する装置、及び、製造した水素中実球の検査・モニター装置を構築していく。 以上の研究を統合することによって、本研究の最終目標を達成する。
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