Study on the lightning initiation problem via observations of high-energy atmospheric phenomena
Project/Area Number |
22H00145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Kyoto University (2023-2024) Institute of Physical and Chemical Research (2022) |
Principal Investigator |
榎戸 輝揚 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20748123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨川 仁 静岡県立大学, その他部局等, 特任教授 (00329111)
一方井 祐子 金沢大学, 地域創造学系, 准教授 (00709214)
中澤 知洋 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (50342621)
森本 健志 近畿大学, 理工学部, 教授 (60403169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,990,000 (Direct Cost: ¥32,300,000、Indirect Cost: ¥9,690,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,610,000 (Direct Cost: ¥9,700,000、Indirect Cost: ¥2,910,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,140,000 (Direct Cost: ¥7,800,000、Indirect Cost: ¥2,340,000)
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Keywords | シチズンサイエンス / 雷雲プロジェクト / 雷雲ガンマ線 / 放射線計測 / 雷 / 粒子加速 / 放射線測定器 / 宇宙線 / Thundercloud Project / Gamma-ray glow / Citizen science / lightning discharge |
Outline of Research at the Start |
雷と雷雲は天然の粒子加速器である。雷や雷雲内では、強電場による電子の相対論的加速が生じ、MeV を超える制動放射ガンマ線が発生する。日本海沿岸の冬季雷雲は、これを地上観測できる世界的にも稀な絶好の条件を備える。本研究では、雷雲からの放射線と、雷の原子核反応の研究を組み合わせ、未解明の雷のトリガー過程に大気中の高エネルギー電子がどう関係するかを解明する。そのため、多地点観測網をシチズ ンサイエンスで拡大し、新型の中性子モニタも導入する。これにより、これまでに蓄積した成果 を集大成し「雷雲と雷放電の高エネルギー大気物理学」という新分野の根幹を確立したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
雷と雷雲は天然の粒子加速器である。雷の放電路や雷雲内では、強電場による電子の相対論的加速が生じ、MeV を超える制動放射ガンマ線が発生すると考えられている。私達は、このような高エネルギーの電子流が暴走的に発展し、雷のトリガー(Lightning initiation)に発展していくのかという謎に観測的な研究から挑んでいる。このような研究を実施する上で、日本海沿岸の冬季雷雲は、これを地上観測できる世界的にも稀な絶好の条件を備えている。雷放電の直前に、相対論的な電子の雪崩増幅が発生しているのかを検証するため、私たちは金沢の周辺に観測ネットワークを構築し、雷雲から地上に降り注ぐガンマ線のバースト現象を監視できる体制を整えるのが本研究の骨格である。 2022年度は、これまでに開発を進めてきた可搬型の放射線モニタ「コガモ」(Compact Gamma-ray Monitor)を76台、金沢の周辺に設置して、多地点の観測網を構築できた。これらのコガモは、郵送により市民サポーターのご自宅に配達し設置していただき観測を実施するシチズンサイエンスの枠組みで運用できた。取得したデータの一部はオンラインでサーバーに配信し、研究者や参加している市民サポーターがウェブサイトで視覚的に確認できる体制を整えた。また、これまでの観測データの中で、2021年12月30日に記録された現象の解析を進め、論文として投稿した。 さらに、シチズンサイエンスの枠組みを推進するため、金沢市内で「シチズンサイエンス・ワークショップ:雷から文化を創造する」を開催した。また、理研・和光キャンパスの一般公開、TEDxTokyo 2022で紹介するとともに、NHK コズミックフロント「雷-知られざる全貌に迫る-」でも我々のプロジェクトが紹介された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シチズンサイエンスを活用した物理学的研究という新しい枠組みに挑戦し、放射線の多地点ネットワークを構築して実際に科学研究を実施できている点を自負している。特に、2021年12月30日に金沢市内の複数のコガモで記録されていた雷雲からのガンマ線バースト事象を詳しく解析したところ、ガンマ線の瞬間途絶と同期して雷放電が発生しており、その雷放電の開始位置を電波観測のデータから推測すると、ガンマ線照射領域の上空で発生していることがわかった。これは、ガンマ線を出すような相対論的な電子が雷放電のトリガーに関わっている可能性を示す観測的な示唆として、解析を進め、学術誌に投稿している。このようにシチズンサイエンスでの多地点観測での科学成果が順調に得られつつある。さらに、シチズンサイエンスのような複数のプレーヤーが関わるプロジェクトの円滑な遂行に向けて、市民サポーターを交えたワークショップも開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ガンマ線に感度のあるコガモ観測ネットワークは構築できつつあるため、次は中性子を測定する検出器の基礎開発を進め、金沢の市街地に複数点の設置を行いたい。中性子は、強烈なガンマ線が大気中で原子核反応(光核反応)を起こすときに発生させるものであり、雷のトリガーに関わる重要な情報になると期待できる。 コガモを用いた観測ネットワークは本年度も維持する。コガモは夏季期間中は高温多湿でシンチレータが劣化するのを避けるため、大学・研究所に保管しメンテナンスを行い、冬季に再度の設置を実施する。 シチズンサイエンスとしてアウトリーチの必要性も重視しており、2023年度は七尾高校等での出前授業やワークショップを企画する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)