Project/Area Number |
22H00147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
福家 英之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10392820)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,470,000 (Direct Cost: ¥31,900,000、Indirect Cost: ¥9,570,000)
Fiscal Year 2024: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,180,000 (Direct Cost: ¥8,600,000、Indirect Cost: ¥2,580,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | 宇宙線、宇宙物理 / 暗黒物質 / 反粒子、反物質 / 放射線、X線、粒子線 / 先端機能デバイス / 宇宙線 / 反粒子 / 反物質 / エキゾチック原子 / 測定器開発 / 気球実験 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、宇宙線中の稀少成分である反粒子の観測分野を開拓することで、宇宙物理学・素粒子物理学的に重要な初期宇宙の謎に迫る。特に、未発見の反粒子である反重陽子の世界最高感度探索によって、現代物理学における喫緊の重要課題である暗黒物質の解明に直結する重要な手掛かりを得ることを主目的とする。エキゾチック原子を利用した独創的な反粒子識別方法を採用し大面積立体角の測定器と長時間観測によって高感度探索を実現することで、既存の他の実験計画とは相補的な暗黒物質探索が可能となり、暗黒物質に対する多角的な研究においてユニークな貢献を果たすことができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、国際共同研究計画GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)を実現し、宇宙線反粒子の高感度観測によるダークマター探索を推進することである。ダークマターの解明は現在の宇宙物理学の最重要課題の一つである。未発見の宇宙線反粒子である反重陽子は、超対称性粒子ニュートラリーノなどのダークマター有力候補の対消滅などを起源として存在する可能性があり、しかも低エネルギー領域にて二次起源成分(既知の物理学起源)の影響を殆ど受けずに単独で観測できる可能性がある。GAPSは、その反重陽子をかつてない高感度で探索・観測することを計画している。これによりGAPSは、ダークマターの多角的な研究において、他実験とは相補的かつ独自の一翼を担うことができる。 本研究計画の初年度は、南極周回気球飛翔観測に向けて、GAPS測定器フライトモデル(実機)の総合組立および各種試験を進めた。総合組立は、米国の研究協力者が拠点とするMITベイツ研究所やUCバークレー宇宙科学研究所にて段階的に実施した。とりわけ、日本チーム担当分として、GAPS測定器の中核を担うリチウムドリフト型シリコン(Si(Li))検出器トラッカの構築運用や、Si(Li)検出器トラッカの冷却のために独自開発した熱制御システムの開発運用を、米伊の研究協力者からの支援も得ながら、推進した。各種試験のうち測定器の真空環境試験は、当初NASAグレン研究センターにて実施する予定であったが、NASAの事情によりNTS社の設備を使用する計画に変更した。これに伴い一部計画を繰り越し、その結果として、真空環境試験ならびに関連する研究活動を問題なく実施することができた。 このほか、数値シミュレーションや機械学習を活用して、測定器の性能を最大限引き出す手法の開発なども進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で開発するGAPS測定器の真空環境試験は米国の研究協力者と共同で米国にて実施する必要があり、2023年2月にNASAグレン研究センターにて実施する予定であった。しかし、当初の想定に反して当該機関の試験設備運転計画に変更が生じることが判明したことから、同試験を2023年6月に米国NTS社の施設にて実施する計画に変更した。これに伴い研究がやや遅れたものの、同試験ならびに関連する研究活動は無事に実施できており、研究計画は着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
米国での拠点をコロンビア大学ニービス研究所に移して、GAPS測定器フライトモデル(実機)の総合組立や総合試験を重ね、南極周回気球飛翔による宇宙線観測に向けた準備を進める。とりわけ、日本チーム担当分の運用に関して、実体およびリモートで適宜参加貢献し、米伊の研究協力者と共に実験計画を推進する。 また、観測データの解析への準備として、データ解析フレームワークの構築を行う。数値シミュレーションや機械学習を活用して測定器の挙動への理解を深め、測定器の性能を最大限引き出す手法を開発する。並行して、複数回実施する予定の南極実験の二回目以降を見据えて、測定器の性能を高める技術検討も進める。
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