トップダウン噴火トリガー:富士火山宝永噴火での実証的研究
Project/Area Number |
22H00162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 美千彦 東北大学, 理学研究科, 教授 (70260528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 充宏 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (20334287)
無盡 真弓 東北大学, 理学研究科, 助教 (60822004)
新谷 直己 東北大学, 理学研究科, 助教 (80880103)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,470,000 (Direct Cost: ¥31,900,000、Indirect Cost: ¥9,570,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2022: ¥20,930,000 (Direct Cost: ¥16,100,000、Indirect Cost: ¥4,830,000)
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Keywords | 富士火山 / 宝永噴火 / マグマ溜まり / 噴火トリガー / 水蒸気爆発 / 噴火推移 / マグマ水蒸気噴火 / スコリア / X線CT |
Outline of Research at the Start |
大規模地震により外因的に誘発された典型例とされる富士火山・宝永噴火の事例研究により、火山学における最大の未解決問題の一つである噴火トリガー機構の解明に貢献する。地殻浅部に存在していたマグマがまず地下水の補助で噴火し、減圧が下部へと伝播して連鎖的に噴火するというトップダウン型噴火の作業仮説を立て、噴出物の発泡組織解析による爆発メカニズムの同定や、マグマ上昇過程の解明を通じて検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
火山噴出物の組織には、マグマが生成し火道上昇から噴火に至るまでの情報が刻まれており、噴出物の組織を観察することがマグマの破砕条件の解明につながることが期待される。本研究の対象である富士火山の宝永噴火は1707年(宝永4年)に起こったプリニー式噴火で、その噴出物はMiyaji et al. (2011)による気泡サイズや発泡度に基づく組織の7分類に代表されるように非常に多様である。 今回、富士山科学研究所の研究分担者らが富士火山宝永火口東宝約10km、自衛隊東富士演習場内の大日堂付近のトレンチにて、予備的な調査とサンプリングを行うことができた。露頭は大きく4層からなり、下位からA1~4、B1~18、C1~17、D1~9のサブユニットに分けられた。これらのサンプルから、目視により代表的と思われる15試料を選別し、2014年6月に、より遠方の水戸野にて採取した18試料とともにX線CT装置による撮影と解析を行うことができた。撮影条件は、管電圧120kV、管電流200μAを基本とし、再構成とアーチファクトの除去を機器付属のソフトウェア、cone CT expressを用いて行った。 その結果、大日堂の方が水土野よりも宝永火口に近いが、それぞれ試料の組織形態の傾向は一致していることが認められた。CTデータから、まず発泡度と密度を計算した。その結果、Miyaji et al. (2011)に習った分類タイプ毎に傾向の違いがみられることが定量的に確認された。比重はLithic,Dense scoria,Vesiculated-small bubble,Vesiculated-large bubble,Spiky scoriaの順に大きく、発泡度が高く大きな気泡を含むVesiculated-large bubbleやSpiky scoriaで比重が小さな傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研費では、東北大学総合学術博物館のX線CT装置検出器の更新を行うことが金額的に最大の執行項目であった。当初予定していた納入業者の経営上のトラブルによって、1年の繰り越しを余儀なくされ、急激な円安の進行などの問題も付加的に発生したものの、繰り越しを行い、仕様の再検討などの工夫の結果、無事に、当初予定していた性能の検出器を導入することができた。新たな検出器はpixel pitch が100 μm、ピクセル数3008 ×2512 、16bit諧調、フレームレートは1x1ビニングで5fps以上であり、制御プログラム・再構成プログラム・解析プログラムのバージョンアップと併せて本装置の従来の性能に比べ、大幅な向上を果たすことができた。 また、通常ではアクセスのできない自衛隊演習場敷地内において、かつ自然露頭ではなく、人工的なトレンチを行うことによって、粗粒の軽石・スコリア堆積物を、連続性や保存状態において前例の無いほど良好な条件でサンプリングを行うことができた。さらに、これらの噴出物のX線CT解析によって、噴出物の発泡度と密度を定量的に計算することができた。以上の結果から、繰り越し年を実施年度に含めることによって、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
大日堂トレンチのA~D層は、概ね宮地の分類によるHo-Ⅰ~Ho-IVに対応すると思われるが、露頭(火口からの距離や方位、層厚)が異なるため、相互に欠落したあるいは明瞭に識別されていないユニットがあるなど、完全に一致しない可能性もあるため、拙速を避け、今後、全岩化学組成などの分析により慎重に対比を行う予定である。 また、X線CT像による噴出物の発泡度測定においては、本年度は、試料表面の凹凸を無視した概形が占める体積と、実際の固相部分の体積の差を概形体積で割って算出した。この手法は泡が試料の外部に接している場合、発泡度が低く見積もられてしまうことを避けるために選択した。概形は三次元CT画像をX、Y、Z軸それぞれの方向からImageJの”Fill Holes”処理を行うことで求めた。この処理により、外部と連結していて且つ試料内部で入り組んだ形状を持つ気泡を発泡度の計算に含めることが可能となった。それでもなお、複雑な表面形態を持つことの多いSpiky scoriaについては、今回用いた概形算出手法では体積がやや過大に見積もられ実際よりも発泡度が高い結果となってしまう場合があることが分かり、解析・評価方法の追加の検討を行う必要がある。また、噴出物の密度に加えて、・気泡サイズ分布・連結度・3次元形態の定量化も行っていく予定である。さらに、大日堂サンプルのXRF測定も行い、噴火ステージごとの組成の変化やギャップをこれまで以上に高時間分解能で明らかにしていくことで、マグマ供給系と噴火過程の再構築に繋げていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Three-dimensional imaging of high-velocity-impact induced crack growth in carbonaceous meteorites2023
Author(s)
Michikami T., Tsuchiyama A., Hagermann A., Takeda A., Shishido K., Otsuka Y., Sasaki O., Nakamura M., Okumura S., Kano H., Hasegawa S.
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Journal Title
Icarus
Volume: 392
Pages: 115371-115371
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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