Project/Area Number |
22H00166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 嘉夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10304396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 輝彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 副主任研究員 (70611515)
名取 幸花 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (70989722)
奥村 大河 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90867508)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥43,680,000 (Direct Cost: ¥33,600,000、Indirect Cost: ¥10,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2022: ¥27,300,000 (Direct Cost: ¥21,000,000、Indirect Cost: ¥6,300,000)
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Keywords | レアアース / XAFS / TES / 同位体分析 / イオン吸着型鉱床 / 脱炭素社会 / 分地地球化学 / 分子地球化学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、分子地球化学的手法を資源地質学・鉱床学に導入し、脱炭素社会実現(風力発電や電気自動車の開発など)のボトルネックであるレアアース(REE)資源で最重要なイオン吸着型鉱床(IAD)の以下の課題を解決する。 (1)REE化学種やホスト鉱物の情報に基づき、IADの原子分子レベルの濃集機構や最適な抽出法を解明・確立 (2)IADに適した原岩(花崗岩)の地球化学的特徴を把握し、地球化学図を利用した新しい化学探査法を開発 (3)IAD年代決定とREE化学種解析に基づいたReactive Transport Modelにより、典型的なIADが示すREE深度プロファイルを再現し、REE賦存量を推定
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は、中国南部イオン吸着鉱に類似した特性を示す日本国内の風化花崗岩露頭においてハンドオーガーボーリング調査を実施した。その結果、採取試料のREE濃度はイオン吸着鉱特有の深度プロファイルを示した。また本研究ではボーリングコア試料に対するYのK吸収端EXAFS分析を行い、REE濃集部ではREEが水和イオンとして吸着されていること、また、水和イオン・REEリン酸塩・REE珪酸塩を端成分としたk空間フィッティングにより得られる水和イオンの割合は抽出率と強い正の相関を示すことを明らかにした。また、イオン吸着鉱におけるREE深度プロファイルの特徴として、表層部REEパターンのCe正異常、および濃集部REEパターンのCe負異常が挙げられる。これは定性的には、表層部のREEが風化により溶脱される際にCeのみがCe4+として酸化・固定され、Ceに枯渇したREE含有水(天水)が下方へ移動し、粘土鉱物への吸着により濃集するためである。これに対して、本研究ではCeのLⅢ吸収端XANES分析を行い、ボーリングコア表層試料のCeの化学種のうちCe4+:Ce3+比が7:3であり、その結果得られるCe3+濃度は、同試料のREEパターンにおいてLaとPrを結んだ線上に位置することを明らかにした。これは表層部のCe正異常は、水で溶出されたREEのうちCeのみが酸化され、Ce4+としてその場で固定されたことによることを定量的に示している。イオン吸着鉱においてREEが水和イオンとして存在することは、イオン吸着鉱が他のREE鉱に比べて低品位ながらも高い抽出率により採算が取れREE鉱床となり得ること説明し、表層部のCe4+の化学種を解析することは、イオン吸着鉱特有のREE深度プロファイルを定量的に説明することに繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、放射光分析を主な手法としているが、その中でも、SPring-8において新規開発されたKBミラーシステムを用いて40 keV以上の硬X線マイクロビーム(横0.8 um×縦0.4 um)による蛍光X線マッピング及びK吸収端XAFS分析(u-XRF-XAFS)を適用し、これまでREEのL吸収端蛍光XAFS分析で問題となっていた遷移金属元素のK線との干渉の影響を除いた分析を行う手法を開発した。30 keV以上のX線による薄片試料の分析ではマトリクス吸収が無視できることから、標準物質(NIST-610)との比較によりREE濃度を定量することでREEパターンを得られた。その結果、2種類のREE濃集部が確認され、イオン吸着型鉱床の特徴を示すREE濃集が広く存在するとともに、REEリン酸塩あるいはREE炭酸塩と思われる局所的なREE濃集が存在することが可視化された。このような手法開発を達成したこと(Nagasawa, Takahashi et al., 2023)は、その後の研究展開に大きく貢献するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、REE濃集部が確認された国内のイオン吸着型鉱床を発見すると共に、新しい手法として高エネルギー領域のX線マイクロビームを用いた高エネルギー蛍光X線-X線吸収微細構造法(μ-HE-XRF-XAFS法)を確立したことで、今後の天然試料中のREEの化学種をより確度高く分析できることとなり、本研究全体の目的であるREEの濃集過程の解明に大きく寄与するものになると考えられる。ここで外圏錯体の存在が確認されれば、イオン交換反応を組み込んだREE移行のシミュレーション(移流拡散モデル)を行うことで、イオン吸着型鉱床中のREE移行のより根本的な問いに応える必要がある。
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