Project/Area Number |
22H00179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荒川 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10222738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 直 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (10399553)
保井 みなみ 神戸大学, 理学研究科, 講師 (30583843)
小林 浩 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (40422761)
白井 慶 神戸大学, 理学研究科, 技術員 (90870519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,510,000 (Direct Cost: ¥32,700,000、Indirect Cost: ¥9,810,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2022: ¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
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Keywords | 鉄隕石母天体 / 天体衝突 / 水星コア / M型小惑星 / 惑星形成過程 / 分化溶融微惑星 / 鉄隕石 / 水星核 / 衝突破壊強度 / カタストロフィック破壊 / フラッシュX線 |
Outline of Research at the Start |
M型小惑星は鉄隕石の母天体であり、熱進化により内部が融解・分化した微惑星を起源とする。しかしながら、小惑星帯にはこの分化微惑星の岩石マントルに対応する小惑星がほとんど見つかっておらず「失われたマントル問題」と言われる。本研究は、地球型惑星領域の惑星形成期に存在した分化溶融微惑星に着目し、室内実験と数値計算からその衝突破壊と破片の重力再集積により形成されるラブルパイル天体の鉄・岩石比率を調べる。さらにこのラブルパイル天体の衝突寿命の鉄・岩石比率依存性と衝突後形成される微小天体のサイズ頻度分布の時間進化を実験・理論から調べる。その結果、M型小惑星や水星の巨大金属コアの起源について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、神戸大学の設備を利用して、鉄・岩石混合ラブルパイル天体に関する衝突実験をその模擬標的を用いて開始した。模擬標的には、直径6mmの鉄球とガラス球を109個~32個使用したアグリゲイトを準備した。アグリゲイトは、鉄やガラス球を石膏や接着剤で弱く結合して作成した。直径10mmのポリカ球を90~180m/sで標的に衝突させて、飛び散る鉄球やガラス球の速度分布を調べた。この観測のために2台の高速ビデオカメラとカメラ同士の同期のために遅延発生器を導入した。標的の破壊を2方向から視差を付きで高速撮影して、その2方向からの撮影画像の解析から、全ての構成球の速度ベクトルを求める手法を開発した。その結果、アグリゲイト標的が破壊された後の各球の速度を個別に計測することが可能となった。そして、金属球アグリゲイトへの運動エネルギー分配率は10%前後となり、ガラス球アグリゲイトへの運動エネルギー分配率は20%弱であることが分かった。 金属コアを持つ天体の衝突シミュレーションの結果を解析して、衝突結果が「合体衝突」、「すれ違い衝突」、「破壊的衝突」と大別できることが分かった。衝突により衝撃波を起こすエネルギーの大きさを指標にすることで、これらの3種類の衝突結果を包括的に表現できる解析式を導出した。また、岩石マントルに鉄コアをもった分化小天体について,粒子法を用いた衝突数値シミュレーションを行った。分化小天体が衝突した後に自己重力によって破片が再集積する様子を計算した結果、大きい再集積破片は鉄コア成分が衝突前よりも多くなることがわかった。これらに加えて、小惑星観測のデータの解析により、サイズ100km以上では天体表面に非均質性のある小惑星が見られることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄・岩石混合ラブルパイル天体の模擬標的を用いた衝突破壊実験を開始して、衝突後の構成粒子の速度ベクトルを3次元測定する実験方法(粒子画像速度測定法)を確立することができた。さらに、フラッシュX線法とデジタル画像相関法(DIC法)でコア・マントル標的の衝突破壊後の破片の速度分布を計測する手法を、雪マントル・氷コア標的を利用してその応用範囲を広げた。また、X線CT装置を利用したトモグラフィーにより、コア・マントル標的の3次元形状を正確に調べる手法を確立した。 一方、ハロゲンスポットヒーターを用いて分化溶融微惑星の模擬試料を作成する手法は、今のところ確立していない。しかしながら、この高温衝突実験に必要な赤外高速カメラを利用した衝突現象の撮影手法をさらに改良した。 数値シミュレーションに関する研究は、コア・マントル天体の衝突破壊のスケール則の研究とコア・マントル物質の分離と混合という2つの方向から研究を進めているが、両方とも予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている分化溶融微惑星の模擬標的の作成技術を完成させる。その上で、神戸大学において、この標的を用いた衝突実験を開始する。まず、標的に対して視差を付けた2台の高速カメラを同期して撮影することで、標的表面から放出するマントルの速度分布を測定する方法を確立する。同じ標的を宇宙研で作成できるように改良する。その標的を用いて宇宙研において実験することで、フラッシュX線によりコアの速度分布を測定する方法を確立する。 鉄・岩石混合ラブルパイル天体に関する実験は、縦型火薬銃を利用して1km/sを超える高速度で実施する。また、鉄球とガラス球の混合標的の実験も開始する。 数値シミュレーションによる研究は、当初の予定通りに進めて行く。
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