Project/Area Number |
22H00188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 18:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八木 和行 九州大学, 工学研究院, 教授 (50349841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 朋子 京都大学, 工学研究科, 教授 (00340505)
鷲津 仁志 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (00394883)
杉村 奈都子 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00563959)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,770,000 (Direct Cost: ¥32,900,000、Indirect Cost: ¥9,870,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
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Keywords | トライボロジー / 境界潤滑 / 結晶構造 / X線回折法 / 放射光 / 添加剤 / 酸化膜 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、潤滑面の摩擦特性や耐摩耗性を向上させるために必要不可欠な境界潤滑膜を研究対象とする。境界潤滑膜は表面と潤滑油中の添加剤との化学反応によって生み出されるが、本研究では、境界潤滑膜生成および破壊機構を表面層および境界潤滑膜の結晶構造の変化を調べることにより解明する。大形放射光施設を用いたその場X線回折法による多層膜結晶構造測定、AFMによる表面超微細結晶の境界膜生成能分析、分子動力学シミュレーションによる境界膜生成モデリングといった多角的な取り組みにより研究を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
九州大学八木教授の研究グループでは2022年度に得られたXRDスペクトルの解析を行い、それとともにSPring-8での実験で使用した試験片の分析および大学内でその場観察の実験を行った。その結果、塑性流動の結果起こる新生面の露出が境界膜生成にとって重要な現象であることが示唆された。大学内において行ったラマン分光法による表面分析では、硫化鉄のほかグラファイト構造も検出された。さらに焼付き後、焼付き直前、摩擦安定後といった三種類の実験を行ったが、焼付き後や焼付き直前には硫化鉄がほとんど検出されなかったのに対し、摩擦力が安定しているときには硫化鉄の検出量は多く、硫化鉄が焼付きを抑制していることが示唆された。 京都大学平山教授の研究グループでは、表面上にある酸化膜が添加剤の吸着におよぼす影響を調べるために既存の原子間力顕微鏡に環境制御チャンバーを取り付け、しゅう動中の雰囲気制御を可能にした。その結果、例えば、エステル系油性剤は金属酸化膜表面に吸着して摩擦係数を下げるが、無酸素環境下で金属表面を摩耗させて金属素地面を露出させた後に同じ油性剤を滴下したところ、むしろ摩擦係数が上昇する挙動を示した。これより、酸化面および金属素地面での添加剤吸着挙動は異なり、その吸着挙動および形態に応じて摩擦特性を大きく変え得ることが示唆された。 兵庫県立大学鷲津教授および鹿児島高専杉村准教授のグループでは、反応分子動力学を用いた基油および添加剤の両者を含む系の吸着構造の安定性について解析を進めた。チェーンマッチング現象について配向秩序や拡散といった静的・動的構造のみならず、統計熱力学的に定量化できることを示した。また、分子動力学法により高荷重高せん断場におけるbcc結晶構造の崩れと内部エネルギーの変化を明らかにし、SPH法により材料の異なる系におけるフラッシュ温度の発生様態の違いを定量的に示すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の各研究グループの目的であった放射光その場XRDスペクトルの分析、鋼表面への吸着膜の評価実験、シミュレータによる添加剤の吸着挙動および摩擦面のフラッシュ温度の解析手法の確立といった目標を達成することに成功しているため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SPring-8の利用にあたっては申請を行う必要があるが、2023年度は採択されなかった。利用が保証されたものではないため、利用申請書作成にあたってはこれまでに得られた知見と不明瞭な点を明確に区別し、放射光施設の利用が必要不可欠であることを強調していく。また、不採択になった場合でも大学で摩擦実験や境界膜の表面分析を行い、その場観察に向けた基礎データを蓄積していく。幸い2024年度にSPring-8の利用申請に採択されたため、計画している実験を進めていく。京都大学平山教授グループ、兵庫県立大学鷲津教授、鹿児島高専杉村准教授グループとの連携については、定期的に会議を行い、進捗状況を確認して研究を進めていく。
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