Project/Area Number |
22H00239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 23:Architecture, building engineering, and related fields
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
柳 宇 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (50370945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一秀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20329220)
鍵 直樹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (20345383)
永野 秀明 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (50610044)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,120,000 (Direct Cost: ¥32,400,000、Indirect Cost: ¥9,720,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
Fiscal Year 2022: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
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Keywords | 建築環境 / 呼吸器系感染症 / ホットスポット / リアルタイム測定 / 緩和策 / ホット / リアルタイム検知 / シミュレーション / リスク評価 / Covid-19 / 暴露量予測 / ホット・スポット / ホットス・ポット / 迅速特定システム / 感染症対策 |
Outline of Research at the Start |
この20年間で既に4回もコロナウイルスによる大規模な感染症が起きている(2003年:SARS;2009年:新型インフルエンザウイルス;2021年:MERS;2019年:COVID-19)。COVID-19流行期間中における長期間の人流抑制や営業自粛などは経済に悪影響を与えるのみならず,人の精神衛生にも影響を及ぼす。感染症流行期間中であっても,安全な室内場所の確保は事業継続に必須条件である。本研究では,大学キャンパス内におけるエアロゾル感染のハイリスク場所をリアルタイムで特定し,建築設備・環境工学による迅速な対策によりそのリスクを緩和し,教育・研究の継続を最大限に実現することを目標としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では、原著論文4件、国際会議論文12件、国内学会口頭発表1件、著書3件(うち1件海外)、学術雑誌解説・総説2件を発表した。本年度の研究実績は以下に示す通りである。 (1)ホットスポットの迅速検知システムの構築と検証:バイオエアロゾルリアルタイムセンサー(bioaerosol sensor、 BAS)を開発し、大学学習ラウンジを用いた実証試験を行った。その結果、BASは非蛍光粒子(OS-1)に対して応答しないが、蛍光粒子(染色PSL粒子)に対してよい応答性能を示した。また、BASの測定バイオエアロゾル粒子濃度と同時平行で測定した生菌(細菌)濃度の間に有意な相関関係が認められた。さらに、ホットスポットの緩和策として空気清浄機を稼働した結果、バイオエアロゾル粒子の顕著な低減が認められた。 (2)シミュレーション:次に示す研究を実施した:①計算流体力学および粒子力学を用いた第9世代気管支へのヒト気道における超微粒子沈着、②計算流体粒子および宿主細胞力学に基づくヒト鼻腔-鼻咽頭粘液層におけるウイルス動態モデルのパラメータ最適化、③室内環境における空気感染の計算流体力学および粒子力学シミュレーション-感染者との物理的距離の影響、④第16世代までのヒト上下気道における気流パターンのラージ・エディ・シミュレーション: 比較研究、⑤CFPD解析と連動した3次元上気道モデルのための宿主細胞動態モデルの開発と特異的パラメータ化、⑥換気効率と感染制御-in silico人体モデル。(3)人行動モデルの構築:座席選択行動を用いたエージェントシミュレーションによる感染リスク評価を実施したほか、ヒトを検知するシステム精度の向上を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、研究代表者と分担者らは当初計画通り研究を進めた。詳細について次に示す。 (1)ホットスポットの迅速検知とその緩和策の効果の検証:① リアルタイムバイオエアロゾル粒子検出センサー(bioaerosol sensor,BAS)について、計測機器メーカの協力を得て予定通りに開発し、その実証試験を行っている。実験室での基礎実験では、7種類のPSL標準粒子の粒子径について光散乱強度を測定し、散乱光強度の測定値はMie理論値とよく一致していることを確認した。また、赤色蛍光色素で染色された PSL 標準粒子は、広い相関関係を持つ光散乱と蛍光を示すことを確認した。実環境環境での検証結果では、BASがバイオエアロゾル粒子に対して良好な応答を示し、また浮遊細菌濃度との間に有意な相関関係が認められた。さらに、BASを用いて、ホットスポットの緩和策として高性能フィルタを有する空気清浄機の浄化効果を確認した。また、実環境の測定結果を用いて、BASの粒径測定閾値を調整し、測定精度の向上を図った。 (2)シミュレーション:微細な身体振動を再現した数値人体モデルの境界条件を作製し、室内流れ場解析について連成解析を行った。また、ヒトの呼吸器系の各部位の微粒子の沈着特性の定量解析を行ったほか、上気道モデルのための宿主細胞動態モデルの開発と特異的パラメータ化を実現し、さらに、換気効率と感染制御-in silico人体モデルを構築し、次年度の研究に必要な検討を行った。 (3)人行動モデルの構築:エージェントシミュレーションによって、感染者が感染性物質を放出すると仮定した場合には、選好度の高い座席において残留物質濃度を定量した。また、ヒト検知システムの結果を用いたエージェントシミュレーションによるリスクの評価をお行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、以下に示す研究を実施する。 タスク1 昨年度開発したリアルタイムバイオエアロゾルセンサ(BAS)の実環境中の感度を検証する。まず、市販の乳酸菌(細菌)を用いたチャン試験を行う。次に、バイオエアロゾルの発生による濃度急上昇のケースを想定し、病院の手術室手術時のリアルタイムの測定などを行う。(担当:柳、鍵) タスク2:模擬咳発生装置を用いた空間内において発生した粒子について、粒径別粒子係数器を用いた測定を行うことにより、発生源の把握を行えるような精度の検証を行う。さらに、実建築物において、上述の測定機器を用いて、換気、空気清浄装置などの影響を加味した検討を行う。(担当:鍵、柳) タスク3; 複数の数値人体モデルを再現した室内空間を対象として、人体間距離が変化した場合や姿勢(立位・座位)が変化した場合の経気道曝露シミュレーションをパラメトリックに実施することで、飛沫・飛沫核の吸入に伴う感染リスクを定量的に解析し、室内環境中での感染リスクマップを作成する。(担当:伊藤) タスク4:人の移動経路選択および着席座席選択を定式化したモデルを開発し、空間内の人の存在確率を予測可能にする。その存在確率を病原体発生源と見なした移流拡散方程式を解くことで、感染リスク評価を行う。(担当:永野)
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