Project/Area Number |
22H00279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 28:Nano/micro science and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 豊子 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20250235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 名誉教授 (10188790)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,510,000 (Direct Cost: ¥32,700,000、Indirect Cost: ¥9,810,000)
Fiscal Year 2024: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
Fiscal Year 2023: ¥15,600,000 (Direct Cost: ¥12,000,000、Indirect Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2022: ¥14,820,000 (Direct Cost: ¥11,400,000、Indirect Cost: ¥3,420,000)
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Keywords | 周波数変調原子間力顕微鏡 / 赤外分光 / ナノ力学 / タングステン探針 |
Outline of Research at the Start |
周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)は、探針試料間に働く保存的相互作用力による力センサーの共振周波数変化から試料表面を原子分解能で画像化できるプローブ顕微鏡である。FM-AFMでは表面形状観察と同時に、そこで散逸するエネルギーも計測できる。赤外光を探針振動に同期させて試料に照射し、その赤外光励起による試料表面の振動応答を、散逸エネルギー信号として高感度計測する探針振動同期検波赤外分光法(TS-IR)を開発する。TS-IRにより、原子レベルの空間分解能で試料表面の赤外分光を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1-1) 大気型FM-AFM装置への光学系の設計設置 2395-1995 cm-1範囲を掃引可能な量子カスケードレーザー(QCL)システムを導入した。本システムは、QCL素子を、4つまで拡張可能であり、2024年度に追加モジュールを導入予定である。QCLシステムを、現有のFM-AFM装置と同じ除振機構の上に設置し、探針直下の試料に赤外レーザー光を照射するための光学系を設計し、組み込んだ。 (1-2)清浄金属探針作製法の確立 音叉型水晶振動子を基体とするFM-AFM用力センサーに取り付ける清浄な金属探針の作製法を確立する。タングステン(W)線を水素酸素混合ガス(H2:O2=2:1)炎の中で酸化・昇華を繰り返してエッチングする手法により先鋭化された探針を作製してきた。直径0.1mmのW線では、1秒以下の短時間で先鋭化され、最適時間以上に炎の中に入れていると鈍化してしまうため、燃焼ガスラインにソレノイドバルブを導入して、エッチング時間を10 msの精度で制御した。また、冷却時の過剰なW線の酸化を抑制するために、ノズル周囲にArガスを供給できるようにした。W線を挿入後250-300 msで炎を消火すると再現性よく先端半径が100 nm以下のW探針を作製できた。Arガス雰囲気での炎エッチングでも酸化膜が僅かに残るため、高真空中で、青色レーザで約5秒間1300℃で加熱することで、酸化膜を低減した。炎エッチングで先鋭化したW探針先端を透過型電子顕微鏡(TEM)で、観察および電子線回折像を解析したところ、先端は[110]方向を向いて単結晶化していること、先端は扁平しており、扁平面が(001)面のテラスとステップから形成されていることが推定された。探針先端の結晶性を向上させたことで、物性測定のためのSPM探針の性能向上に繋がると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に別予算で導入したレーザー装置を用いて、TS-IR実証実験を開始する予定だったが、当該レーザー装置では、本研究の仕様を満たさないことが分かった。この失敗を活かし、本年度導入したQCLシステムは、本研究の仕様を充分に満たしていることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
QCLが、探針直下の試料表面に集光し、充分な出力で発振しているか確認する。W探針を形成したRTFセンサーの振動に同期して、QCL光を点滅させ、TS-IRの検証から始める。
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