Project/Area Number |
22H00284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 28:Nano/micro science and related fields
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
藤田 博之 東京都市大学, 付置研究所, 特別教授 (90134642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 昌治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90343110)
辻 孝 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50339131)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,640,000 (Direct Cost: ¥32,800,000、Indirect Cost: ¥9,840,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2022: ¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
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Keywords | バイオセンサ / 遺伝子改変 / 早期炎症シグナル / 人工皮膚 / 画像解析 / 生体センサ / ウェアラブルセンシング / 表皮幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
日々の健康の維持や生活の質の向上のため、健康状態を常に把握し早期に対応することが重要であり、生体内情報を個々人が簡単に知ることができるセンシング技術の開発が期待される。そこで本研究では、多様な生体反応に応じた情報を皮膚の表面に表示するリビングディスプレイを作ることを目指す。皮膚または体内浅部の血管の細胞に健康維持と密接に関連する生体情報を感知し、光信号に変換する機能を付与する。細胞からの信号を、目視やウエアラブルデバイスで光学的に検知する。生体をセンサに用いるため、多様な生体情報を高感度、非侵襲に測るだけでなく、センサの更新や電力供給が不要な、革新的な生体計測法を実現しヘルスケアに貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各人が体内の情報を継続的に把握し、体調不良の予兆を早期に捉えて対応可能にするため、健康管理に必要な体内情報のセンシングと表示を、遺伝子改変した細胞で行うリビングディスプレイの基礎技術の確立である。表皮幹細胞の遺伝子改変により、体内情報のセンシング結果を生体表面から読み出せる皮膚を構築し、それを生体に移植することで、永続的なモニタリング部位を形成する。モニタリング部位の細胞は、生体情報の変化に応じて蛍光分子などを生じ、それを外部から光学的に検知する。今年度の成果は下記の通り。 1.皮膚ディスプレイのバイオ技術 初期炎症反応であるNF-kBシグナル経路に介入し、蛍光タンパク質を発現するよう表皮幹細胞の遺伝子を改変する方法を確立した。この細胞から構築した三次元人工皮膚による皮膚ディスプレイのモデルおよび免疫不全マウスへの移植のいずれの場合にも、遺伝子改変した表皮幹細胞が天然表皮幹細胞と同様に適切に分裂、分化し、正常な皮膚構造を形成すること、およびバイオマーカーに反応して生ずる光学的信号が検出可能なことを確認した。さらに酸化ストレスなど、初期炎症反応以外の生体反応に対する検出系の多様化についても検討した。 2.皮膚ディスプレイ読出し技術 皮膚ディスプレイの蛍光信号の測定部とデータ転送部からなる無線センサノードを、薄型フレキシブル基板上に実装した。麻酔下において、遺伝子改変した人工皮膚を移植したマウスからの信号読出しを確認した。しかし連続的な装着を試みたところ、マウスの体格に対してセンサノードが相対的に大きいため、安定した装着はできなかった。新たに非接触型の蛍光画像観察システムの構築と、それを用いてマウスの蛍光応答の動態を自動取得する実験を開始し、自由行動下のマウスからの蛍光応答を自動で画像取得できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚ディスプレイのバイオ技術に関して、当初の予定に従い、酸化ストレスマーカーであるNrf2経路を対象に、NF-kBシグナル経路導入と同様の手法でヒト皮膚ケラチノサイトの遺伝子改変を行い、センサ細胞を作成した。亜ヒ酸ナトリウムや紫外線等の酸化ストレス刺激を与えたところ、作成したセンサ細胞が適切に反応し蛍光信号を発した。一方、過酸化水素水の添加では蛍光強度はわずかな上昇しか示さず、酸素分圧を1%に下げた低酸素処理では応答が見られなかった。これらの結果から、Nrf2信号経路の遺伝子を組み換えたヒトケラチノサイトは、原因の異なる複数の酸化ストレスシグナルを検知し、その刺激に応じて蛍光信号を産生できることが分かった。さらに、マルチセンシングの実証のため、NF-kB経路とNrf2経路のそれぞれに対し緑と赤の蛍光を発するセンサ細胞を作り、刺激に対し特異的に応答することを確かめた。 皮膚ディスプレイ読出し技術については、蛍光測定部としてLEDと高感度かつ暗電流の少ないフォトダイオードを搭載し、Bluetoothで蛍光強度のデータをPCに転送する無線センサノードのプロトタイプを薄型フレキシブル基板上に実装した。このプロトタイプは、麻酔下において、遺伝子改変した人工皮膚を移植したマウスからの信号読出しが可能であった。しかし連続的な装着を試みたところ、マウスの体格に対してセンサノードが相対的に大きいため、安定した装着はできなかった。新たに平行光を遠隔から照射する励起光源と短波長カットの蛍光フィルタを搭載したカメラによる、非接触型の蛍光画像観察システムの構築と、それを用いてマウスの蛍光応答の動態を自動取得する実験を行った。自由行動下のマウスからの蛍光信号を画像として自動で取得できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.皮膚ディスプレイのバイオ技術 初期炎症反応であるNF-kBシグナル経路および酸化ストレスマーカーであるNrf2経路に関して、ヒト由来の皮膚ケラチノサイトの遺伝子改変を行い、センサ細胞を作成した。これを用いた三次元人工皮膚をマウスに移植したところ、ヒト皮膚特有の組織構造が形成される場合があった。このため今年度は、移植皮膚の組織検査を詳細に行う。ヒト由来の移植皮膚およびその周辺のマウス皮膚について、組織の形状、免疫染色による各種細胞の分布を調べる。移植皮膚の長期安定性や、蛍光信号発生機能の維持も確認する。 2.皮膚ディスプレイ読出し技術 令和6年度は、バイオマーカー濃度に応じて変化する皮膚ディスプレイの蛍光強度信号を自動で計測するため、画像を用いた非接触計測系の開発をさらに進める。昨年度、平行光を遠隔から照射する励起光源と短波長カットの蛍光フィルタを搭載したカメラによる、非接触型の蛍光画像観察システムを構築し、それを用いて自由行動下のマウスの蛍光応答の動態を自動取得することができた。本観察システムをさらに改善するとともに、ケージの餌場付近を狭隘なトンネルとし、そこを通過するマウスを検知して、蛍光画像を取得する。その画像をもとに機械学習を行い、信号が計測できる画像だけを抽出したうえで、蛍光強度を測定するプログラムの開発を試みる。
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