Project/Area Number |
22H00313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菱川 明栄 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (50262100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 亨 電気通信大学, 量子科学研究センター, 教授 (20313405)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,250,000 (Direct Cost: ¥32,500,000、Indirect Cost: ¥9,750,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
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Keywords | レーザートンネルイオン化 / 分子イメージング / 強レーザー場 / 超高速分光 / 電子分光 / トンネルイオン化 / 反跳座標系光電子角度分布 / 電子ーイオンコインシデンス計測 / 電子ダイナミクス / 分子軌道 / 光電子運動量分布 |
Outline of Research at the Start |
化学反応や光応答,電子移動など分子の性質を司る最外殻軌道電子の運動を可視化することを目的として,強レーザー場における「トンネルイオン化」を利用した新規分光法の開拓を行う。気相分子を対象とし,トンネル電子の分子座標系角度分布(MFPAD)や垂直方向運動量分布(TMD)が,電子波動関数やイオン化ポテンシャルなどで決まる分子固有の観測量であることを利用する。これに円偏光レーザー場による超高速な電場の角度挿引を組み合わせることで,刻一刻と変化する分子について定量的な実時間イメージングを実現する「超高速レーザートンネル電子分光法」の基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
強レーザー場によって歪められた束縛ポテンシャルを電子がトンネル透過するトンネルイオン化は,標的原子分子のイオン化軌道の特徴を反映することから,化学反応過程における電子ダイナミクスを探る手段として関心が持たれている。本年度は,新たに導入したパラメトリック増幅器(OPA)を用い,ベンチマーク分子の一つであるCF4分子を対象として,反跳座標系光電子角度分布(RFPAD)計測を行った。解離性イオン化で生成したCF3+イオンの運動量から反跳座標系を決定し,トンネル電子角度分布を計測した。近赤外強レーザー場の波長を1550 nmとして得られたRFPADは反跳軸に対して伸長した分布を示し,トンネルイオン化に対してCF4のHOMO-1軌道からの寄与が大きいことが示された。RFPADの形状は,同様のレーザー電場強度で得た波長1035 nmでの結果を異なることが明らかとなり,レーザートンネルイオン化における非断熱効果およびイオン化後の解離過程における電子状態間結合の影響が示唆された。また補助解離パルスを用いてイオン化と分子解離を分離する手法についてより詳細な検討を進め,予備的な結果を得た。 また,4つの等価な結合をもつメタン(CH4)分子を対象として2色強レーザー場における反応ダイナミクスを調べた。2価イオンからのクーロン爆発では,一つのH+が生成する経路と,H-H結合形成を伴いH2+が生成する経路が観測され,いずれの経路もレーザー相対位相によってその放出方向が変化することが見出された。トンネルイオン化理論計算を行うことで,配向選択イオン化によって H+生成の一つの経路が説明できた。一方,他方のH+生成経路とH2+生成経路は,トンネルイオン化による予想とは逆の位相依存性を示した。これは核間ポテンシャルの変形を伴う光と分子の強い結合が非対称解離を支配しているため,と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザーパラメトリック増幅器(OPA)を用いて,波長変換した円偏光レーザー場におけるトンネル電子の運動量分布を3次元計測を行い,反跳座標系のトンネル電子分布にもとづいた分子トンネルイオン化イメージングを実施した。イオン基底状態で解離性ポテンシャルをもつテトラフロロメタン(CF4)分子について,反跳座標系光電子角度分布(RFPAD)はレーザー波長に応じて変化し,長波長化によってより明瞭な構造を示すことを見出した。これは強レーザー場における分子の解離性トンネルイオン化に対するレーザー波長の効果を明確に捉えたものである。2色強レーザー場を用いた研究においては,異なる解離経路における相対位相依存性の比較をもとに,そのダイナミクスおよび制御機構についての理解に進捗が見られている。また,高繰り返しレーザーを用いてトンネルイオン化と分子解離を分離した分子イメージング法の開拓に着手するなど,実施計画に沿った形で研究が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で明らかになった波長効果に関して,レーザーパラメトリック増幅器(OPA)からのレーザーパルスの圧縮を行う。合成石英板などを非線形媒質とした自己位相変調によるスペクトル広帯域化と分散補償によって,パルス幅50fs程度までの圧縮を目指す。これによって同等のパルス幅を持つ強レーザー場における波長効果についてより精密な検証を行う。また昨年度研究を進めたArとH2における分子軌道効果についても,近赤外領域における光電子分布の波長依存性の計測を進める。分子座標系角度分布および垂直運動量分布をもとにトンネルイオン化理論との定量的比較を行い,非断熱効果について明らかにすることを目指す。また予備的なデータを得た補助解離パルスを用いトンネルイオン化と分子解離を分離した分子イメージング法についてより詳細な検討を進めると共に,多原子分子への応用に取り組む。また,ポンプープローブ法を用いた時間分解トンネルイオン化イメージング計測にも着手する。
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