ナノ空間における非平衡分子捕捉過程とゲート型吸着機構の解明
Project/Area Number |
22H00324
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 34:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, and related fields
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 亮太郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00402959)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高坂 亘 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (70620201)
日下 心平 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80749995)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥43,290,000 (Direct Cost: ¥33,300,000、Indirect Cost: ¥9,990,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥23,010,000 (Direct Cost: ¥17,700,000、Indirect Cost: ¥5,310,000)
|
Keywords | MOF / 吸着 / 吸着熱 / ナノ空間 / 非平衡 / 欠陥 |
Outline of Research at the Start |
柔軟なMOFが示すゲート型吸着は、ゲスト分子の「気相」・「吸着相」の相変化と、ホスト骨格の「吸着構造」・「脱着構造」の変化が協同する現象であり、学術的に興味がもたれるが、その機構は分かっていない。本課題では、非平衡状態にあるMOFナノ空間に焦点を当て、「非平衡状態でのナノ空間における界面現象がどのようなものであるか」という問いの解を提示し、ナノ空間科学のブレイクスルーを図る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
柔軟な骨格を有するMOFが示すゲート型吸着は、ゲスト分子の「気相」・「吸着相」の相変化と、ホスト骨格の「吸着構造」・「脱着構造」の相変化が協同する他に例のない現象であり、機能的、学術的に興味がもたれるが、そのメカニズムは全く分かっていない。これはゲート現象が動的な過程を多く含むのにも関わらず、バルクの平衡論的な研究しかなされていないことによる。そこで、本研究課題では、非平衡状態にあるMOFナノ空間に焦点を当て、下記の3つの課題解決を目指し研究を行った。 ・MOFの「サイズ・形状・欠陥」と「ゲート型吸着機構」の相関の解明 ・ゲート型吸着におけるナノ空間内の界面での局所的構造変化の解明 ・ゲート型吸着におけるナノ空間内での熱移動の解明 ゲート型吸着機構の解明を通して、ナノ空間科学における学術のブレイクスルーを図ることを目的とした。 その結果、ゲート吸着が粒子サイズのみならず、粒子の凝集状態で変化することを見出すとともに、その粒子集合化を制御して行うことで、構造変化を制御することが可能であることを発見した。さらに、MOFの熱伝導度測定をゲストを含まない状態とゲストを吸着した状態に関して、精密に行う事で、MOF結晶構造変化が熱伝導度の変化に及ぼす影響についての検討を進めることができた。本成果は錯体化学討論会にて発表を行い高く評価された。そのほか、本年までの研究成果の一部を査読付き国際誌に論文として発表するとともに、多数の学会で研究発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は下記の研究実施計画に基づき研究を行った。 課題A(MOFの「サイズ・形状・欠陥」と「ゲート型吸着機構」の相関の解明)および、課題C(ゲート型吸着によるナノ空間でのエネルギー移動)を中心に研究を推進する。課題Aの具体的取り組みとして、次の3項目を実施する。カゴメMOFについて、10nm~200μmの範囲で粒子径を制御した合成手法の確立を引き続き実施する。さらに、MOFの結晶形状とゲート型吸着の関係について系統的な検討を行う。また、形状が制御されたMOF結晶を成型しそのゲート挙動についても検討を行う。課題Cの具体的取り組みとして、課題Aで合成したMOFについてin-situでの吸着と熱の同時測定を実施する。ゲート型吸着のプロセスでは、まず骨格の構造変化のために熱が奪われ、それに続いてゲスト分子の相転移が誘起されていることが示唆されているが、その実験的検証は行われていない。形状やサイズを制御したMOFに加え、成型加工されたMOFについて、系統的に吸着および熱測定を実施し、ゲート型吸着におけるMOFナノ空間の熱動態を体系的に理解することに挑戦する。 それぞれの設定した課題に対して研究を実施し、成果を得て、それらの一部を論文や学会発表として行うことができている。また、当初の想定していなかった粒子集合化による構造変化及び機能制御についても見出すことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の課題A-3および課題Cに注力して研究を進める。 課題A:MOFの「サイズ・形状・欠陥」と「ゲート型吸着機構」の相関の解明。 A-3)結晶欠陥の濃度・種類とゲート現象の関係。結晶の点欠陥(配位子および金属イオンの欠陥)を制御してMOFを合成し、その欠陥量をNMRおよび元素分析によって定量する。欠陥量が明確な結晶に関して、ゲート吸着測定を行って、欠陥量とゲート型吸着に関して系統的な検討を行う。 課題C:ゲート型吸着によるナノ空間でのエネルギー移動の解明 通常、分子吸着は、発熱過程で、脱着は吸熱過程である。しかしながら、ゲート型吸着では、骨格構造の変化に必要なエネルギーも重要になる。すなわち、脱着状態で安定な構造と吸着状態で安定な構造は異なっており、骨格だけに注目した場合、吸着状態の骨格は脱着状態の骨格よりも不安定である。したがって、吸着に伴って発熱したエネルギーの一部は構造変化に消費されるため、発熱量の小さな吸着や、吸熱量の小さな脱着を実現できると期待される。また、「吸着相」と「気相」の間の相変化に伴う熱移動と、骨格の「吸着構造」と「脱着構造」の構造相転移に伴う熱の移動がどのような関係にあるか、すなわちゲート型吸着におけるナノ空間での熱動態については全く不明であるので、2つの相変化が協同して起こる熱動態のモデルとして、これを明らかにする。これまでに構築した吸着に伴う発熱や吸熱を直接観察する装置を用いて、サイズを制御したMOFについて、系統的に吸着および熱測定を実施し、ゲート型吸着におけるMOFナノ空間の熱動態を体系的な理解を進めていく。
|
Report
(3 results)
Research Products
(10 results)