Budget Amount *help |
¥42,770,000 (Direct Cost: ¥32,900,000、Indirect Cost: ¥9,870,000)
Fiscal Year 2025: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
低次元材料である量子ドットは、極めて大きな比表面積をもつ非平衡材料であり、他の物質との相溶性や非化学量論組成が大幅に拡大するので、材料設計の自由度が大きい。現在、高毒性元素を含むCdSe,CdTe,PbSなどの二元半導体量子ドットが主な研究対象となっているが、その利用範囲は厳しく制限されており実用化が困難な材料といえる。そこで本研究課題では、低毒性元素からなる多元半導体(3元素以上)の化学組成・非化学量論性と異種元素のドープ量を精密に制御し、量子ドットの電子構造を自在に制御することを目指す。本年度は、近赤外光領域にバンドギャップ(Eg)をもつ新規多元量子ドットの合成を継続して行うと共に、光電変換特性に及ぼす粒子組成・サイズの影響を評価した。 近赤外領域にバンドギャップを持つ半導体としてAgBiS2を選び、、液相化学合成により粒子サイズと組成の制御を行った。反応温度を100oCから200oCへ上昇させると、量子ドットのサイズが2.6 nmから8.1 nmに増大した。粒子組成は、反応温度の上昇に伴ってAg割合が増大し、150℃以上で合成した量子ドットでは、AgBiS2の化学量論組成に近い値を示した。化学量論組成のAg-Bi-S量子ドットをITO電極上に担持して光電気化学特性を評価したところp型半導体の光応答が得られ、その光電流の立ち上がり電位は価電子帯準位によく一致した。光電流の作用スペクトルを測定から、近赤外光照射によって光電流が生成したことがわかった。一方で、Ag含有率の少ない量子ドットは、バンドギャップ内に光電流の立ち上がり電位を示し、再結合中心となる欠陥サイトがバンドギャップ内に存在することが示唆された。以上のように、粒子内の欠陥準位を精度良く制御することで、効率よく光エネルギー変換できるAg-Bi-S量子ドットが作製できることを明らかにした。
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