Project/Area Number |
22H00367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 39:Agricultural and environmental biology and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井澤 毅 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10263443)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥43,420,000 (Direct Cost: ¥33,400,000、Indirect Cost: ¥10,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,360,000 (Direct Cost: ¥7,200,000、Indirect Cost: ¥2,160,000)
Fiscal Year 2022: ¥25,480,000 (Direct Cost: ¥19,600,000、Indirect Cost: ¥5,880,000)
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Keywords | イネ / 短日植物 / フロリゲン / ゲノム多様性と進化 / ゲノム編集 / 雑種強勢 / 野外栽培 / WCS品種 / 咲かないイネ / 出穂期 / 収量性 |
Outline of Research at the Start |
トウモロコシやトマトをはじめ、雑種強勢を利用した育種は多く知られているが、その分子機構が明らかになったケースはごくわずかであり、特に、超優性を示す雑種強勢遺伝子は、トマトのフロリゲン様遺伝子のひとつであるSFT遺伝子のケースしか報告がない。 そこで、本研究では、ゲノム編集技術により作成された二つのイネのフロリゲン遺伝子の破壊系統を用い、様々な交配により、フロリゲン遺伝子の破壊状況が異なるF1個体を作成して、その雑種強勢の有無を確認し、個々の農業形質への作用機作を分子遺伝学的に解明し、農業上役に立つ新しい遺伝資源の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に、文科省に、イネフロリゲン遺伝子の変異体を野外栽培する計画書を受理していただき、その際に、交配を行い、Hd3aとRFT1の両方をヘテロに持つ系統を見つけることができた。2022年度に、これら、ゲノム編集により突然変異をヘテロに導入したイネフロリゲン変異体を、野外栽培し、雑種強勢効果の有無について確認したところで、個体数が小規模ながら、ヘテロ系統で、約3割の種子収穫量が増加するという結果を得、特許を出願した。2023年度は、規模を大きくして、再度、雑種強勢が起こるか再現性を確認したが、想定外の形質の分離が確認され、その影響もあり、再現性のある結果を得ることはできなかった。そこで、2024年度は、再度、系統を選抜し、再現性を確認する栽培を行う。 一方で、2023年度は、咲かない個体のバイオマス(地上部乾燥重量)や可溶性糖やでんぷんの蓄積量を測定し、バイオマスで2倍、可能性糖含量が3倍、穂に着く穀粒のでんぷんの総量に相当するでんぷんが、茎葉部に蓄積することを明らかにした。この系統は、穂の形成がないこともあり、WCS品種としての利用を検討している。 また、知財に関しても検討したが、TLOからのアドバイスもあり、進歩性が足りないとの判断で、特許出願は見送った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2022年度の結果を再現できなかったわけだが、逆転の発想で、咲かない稲の有効利用に関して、想定を大きく超える値を得た。しかしながら、咲かなくして、穂の形成を起こさないイネで、糖が茎葉に蓄積することは想定内の結果であり、知財を抑えるには、進歩性が足りないとの判断になった。今年度の試行錯誤で、咲くイネと咲かない稲の種子を外観で選別する技術開発にトライする。
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Strategy for Future Research Activity |
咲かない稲は穂を形成しないことから、飼料利用時の未消化分を大きく削減できる。加えて、想定を大きく超える糖が茎葉に蓄積することから、画期的な飼料となる品種の育成が視野に入っている。そこで、自殖種子で、咲くヘテロ個体と、咲かない二重変異体を外観で区別する技術の開発に力を注ぐ。一方で、雑種強勢の再現性を追試し、確認できた時は、強勢が起きる分子い機構に関して、分子遺伝学的な解析をすすめる。
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