Project/Area Number |
22H00422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 克文 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50300695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
齋藤 馨 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (70215531)
礒川 悌次郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (70336832)
中村 和彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (70707075)
坂本 健太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80374627)
高橋 英俊 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90625485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,990,000 (Direct Cost: ¥32,300,000、Indirect Cost: ¥9,690,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,530,000 (Direct Cost: ¥8,100,000、Indirect Cost: ¥2,430,000)
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Keywords | バイオロギング / オオミズナギドリ / エネルギーコスト / 限界値の定理 / GPS / 心電図 |
Outline of Research at the Start |
限界値の定理では、単独で振る舞う個体の最適な採餌行動を予測している。しかし、実際には多くの動物種の採餌行動が、同種他個体との個体間相互作用に左右されることが知られている。海洋での採餌と巣のある島での雛への給餌を繰り返す海鳥であるオオミズナギドリをモデル種として、バイオロギングとリアルタイム生理情報収集システムを駆使して、時空間的に変動する海洋環境の中でいかにして効率的な採餌を達成し、同じ餌資源を巡る同種他個体がいる状況でいかに振る舞っているのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
オオミズナギドリの育雛期に相当する8月末から9月中旬にかけて、岩手県船越大島において、GPSデータロガー・GPS加速度ロガー・ビデオロガーを繁殖中の背中に装着しデータを得た。これまでは装置を回収することによりデータを得る装置を使っていたが、今回は携帯電話回線網経由でデータが自動送信されるGPSデータロガーを用いた。その結果、育雛期中に繰り返し行う採餌旅行だけでなく、繁殖期を終えた後、ニューギニア島周辺の越冬海域に戻った後の経路データも得ることが出来るようになった。育雛期の採餌旅行の特徴として、これまでも時々北海道東岸海域まで出かける事例が報告されていたが、今回新たにロシア領にまで到達する雄個体が複数みられた。近年、温暖化の進行に伴い東北沖の水温上昇が顕著になりつつあるが、本種の採餌海域が北上していくことを反映した結果なのかもしれない。 成鳥に取り付けたビデオカメラによって、水中に突進潜水して採餌を繰り返す様子を撮影できている。得られた映像を解析するにあたり、人間が判断した魚種名など、映像の判定に必要な教師データを与え、AIによる自動判別手法を立ち上げた。 鋭敏な圧力センサを備えた体重と心拍数を測定できる人工巣箱を制作し、繁殖地から一時的に連れ帰った成長を対象とした測定を行い、体重と心拍数を同時に測定した。また、心電図ロガーを装着した成長をチャンバーに入れて、休止中の酸素消費速度を測定し、休息中の心拍数と酸素消費速度を測定することに成功した。 調査地に設置した後、不具合が生じて情報の伝送が途絶えていたライブモニタリングシステムは、2024年10月に行ったメンテナンスにより復旧した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年8月及び9月に、岩手県山田町船越大島の繁殖地において、繁殖中のオオミズナギドリ成鳥を対象とした調査・実験を行った。採餌旅行中のデータ取得には成功し、特に携帯電話回線経由でデータを得る新たな装置を導入し、データを得ることはできた。しかし、全個体からデータを得られたわけでは無く、また翌年の繁殖期に再び島に戻ってくることはまだ確認できていない。2024年度の調査では、データの取得率を上げ、前年の繁殖個体の回帰を確認する予定である。体重と心拍数を測定するために作成した人工巣箱によるデータは得られているが、そこで心拍数が正しく測定されていることの確認はまだ取れていない。 以上、年度初めの研究実施計画をおおむね遂行できているため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
心電図ロガーをつけた成鳥の酸素消費速度に加え、二酸化炭素排出速度の測定を行うことが今年度の実施項目となる。また、成鳥に付けるGPSデータロガーについては、より小型のタイプと太陽電池を改良したタイプの2通りを導入し、データ受信率を向上させることを目指している。調査地に導入したソーラー電源システムと無線ネットワークを用いたライブモニタリングシステムのうち、マイクによる音声データが途絶えているので、今年度の調査においてそれらを復活させる予定である。AIによる画像自動判別の精度を上げるため、より多様な教師データを使ってトレーニングを進めていく。
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