Project/Area Number |
22H00425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 名誉教授 (10197197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩尻 かおり 龍谷大学, 農学部, 教授 (10591208)
米谷 衣代 近畿大学, 農学部, 講師 (50618593)
松井 健二 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90199729)
山内 靖雄 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (90283978)
村田 純 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 主席研究員 (90500794)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,640,000 (Direct Cost: ¥32,800,000、Indirect Cost: ¥9,840,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
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Keywords | 植物間コミュニケーション / 揮発性物質 / 受容機構 / 生態機能 / 構造活性相関解析 / GCaMP3高発現シロイヌナズナ / 圃場実験 / 枯草菌 / 環境センシング / 揮発性物質受容機構 / 植物揮発性物質 / 分子機序 |
Outline of Research at the Start |
「研究 1 植物の匂い受容機構」では、動物に匹敵し、動物の化学感覚に比肩するような匂いシグナル受容機序をシロイヌナズナ等を用いて行う。 「研究2 環境中の微生物起源の匂いに対するセンシング」では、枯草菌の匂い対するシロイヌナズナ、ミナトカモジグサの応答を解析する。 「研究3 多様な匂いが混在する環境における匂いセンシングによる防衛機能の実態」では、自然環境中で、植物が匂いをどの程度正確にセンシングできるかを化学分析と機械学習を用いて解明する。 「研究4 発育段階に依存したセンシング力の違い」では、植物の発育段階における植物間コミュニケーションの特異性を浮き彫りにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物の匂い受容機構に関しては、プロテアーゼ阻害因子のシスタチン遺伝子の発現量を指標にトウモコロシ実生のみどりの香り応答を調査した。(Z)-3-ヘキセノールを鍵化合物、(Z)-3-ヘプテノールをコントロール化合物として遺伝子発現誘導の時間経過を検討すると処理20分程の早い応答は処理化合物の構造特異性が低く、処理2時間の遅い応答は構造特異性が高いことが明らかとなった。また、みどりの香り応答時にMAPKがリン酸化されることも確認した。2-HALの受容体候補タンパク質を確定するため,FRET法を用いた細胞生物学的観察に向けた準備を行なった。また2-HALシグナル伝達系で機能するCa結合タンパク質であるカルモジュリンのスクリーニングを開始した。傷害性テルペンについては,有機合成法を確立することで自前での用事調製が可能になった。枯草菌と植物との相互作用系では、枯草菌由来BVOCを測定した結果、培養開始2日後に2-methylbutyric acid等複数の化合物の検出量がピークを迎え、4日目にはその10-30%にまで低下することを見出した。圃場実験では、初期の段階(種子・芽生え直後)に匂いを受容したものの方が、成長がよく、また、被害も少なくなった。統計的には有意ではないが、種子よりも芽生え直後から匂いを受容させている方が、効果が高い傾向がみられた。一方、後半になるほど、匂い受容効果はないことが明らかになった。また、植物の匂いシグナルを最初に受容した後、その後も変動する匂いシグナルを受容し続けた場合の匂いを受容し続ける植物(評価植物)の応答の特異性を野外圃場で短期・中期的調査で明らかにす実験では、イヌコリヤナギのRNAseqによる解析の準備及び、イヌコリヤナギの1~3年枝をからの実験個体60株の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年に引き続き、「研究 1 植物の匂い受容機構」、「研究2 環境中の微生物起源の匂いに対するセンシング」、「研究4 発育段階に依存したセンシング力の違い」では、着実に成果が出ている。特に、「研究4 発育段階に依存したセンシング力の違い」では、トウモロコシ株での発育段階と株間コミュニケーションの特異性に関して、浮き彫りにすることができた。「研究3 多様な匂いが混在する環境における匂いセンシングによる防衛機能の実態」では、実験条件を整備し、現在圃場実験を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
植物の匂い受容機構に関しては、構造特異性の違いという観点で再現性を確認する。またリン酸化プロテオームを実施してトウモロコシの香り受容に相関するリン酸化による信号伝達経路の解析を進める。これまでに植物に応答を引き起こすことを明らかにした化合物について,網羅的遺伝子発現解析としてRNAseq法により,遺伝子発現の面から揮発性化合物の生理機能を推察できる方策を確立する。また青葉アルデヒドについて,細胞生物学的手法による観察結果を得て,植物にも動物の嗅覚と類似した揮発性化合物受容メカニズムがあることを証明する。枯草菌との相互作用に関しては、植物生長を抑制する枯草菌由来揮発性化合物として同定したイソ吉草酸処理および枯草菌揮発性化合物群への暴露処理の両方に共通して蓄積量が変動するシロイヌナズナ代謝物を探索する。RNA-Seq解析およびGCaMP3導入シロイヌナズナを用いたカルシウムシグナリング解析により、枯草菌の匂い受容後のシロイヌナズナ生理応答の解析をおこなう。野外調査では、暴露時期を種子、発芽直後、栄養成長期、繁殖成長期にわけて行い、その効果を昨年度に引き続き検証する。2023年度は、一度も農薬を撒かなかったため、アワノメイガの被害が多く、定植数週間後には殆どの個体が食害されて枯死し、収穫まではできなかった。2回目の実験は8月から始めたため、トウモロコシの栽培時期が過ぎており、被害調査や成長量調査はできたが、収穫量調査ができなかった。今年度は、農薬を数回散布し、収穫量まで調査できるように実施する。圃場において、周囲の環境を評価する「評価植物(イヌコリヤナギ)」の周りの環境応答因子として、植物が放出する揮発性物質の捕集と匂いシグナルの誘導に関わる節足動物組成(種と個体数)の観測を行う。同時に、「評価植物」のRANseq用のサンプルを採集する。
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