Project/Area Number |
22H00431
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 46:Neuroscience and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (70252525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 美紀 (日野美紀) 立教大学, 理学部, 特定課題研究員 (40301783)
平田 祥人 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40512017)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,510,000 (Direct Cost: ¥32,700,000、Indirect Cost: ¥9,810,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,910,000 (Direct Cost: ¥10,700,000、Indirect Cost: ¥3,210,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | クロマチン / 3次元構造 / ニューロン |
Outline of Research at the Start |
近年、クロマチンの3次元構造が遺伝子の発現制御において重要な要素であることが明らかになってきた。ヘテロクロマチンやユークロマチンといった古典的な染色体の凝集状態や、エンハンサーとプロモーターの近接状態(ループ構造)に加えて、種々の核内ボディ(相分離した空間的な集合体)の遺伝子発現制御における役割が注目されてきている。本研究においてはポリコーム群タンパク質による抑制性の核内ボディ(ポリコームボディ)を中心に、それぞれの核内ボディに局在する構成因子やゲノム領域の解明を試み、神経幹細胞からニューロンへの分化および神経可塑性のメカニズム(遺伝子発現制御基盤)の理解に迫りたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、クロマチンの3次元構造が遺伝子の発現制御において重要な要素であることが明らかになってきた。ヘテロクロマチンやユークロマチンといった古典的な染色体の凝集状態や、エンハンサーとプロモーターの近接状態(ループ構造)に加えて、種々の核内ボディ(相分離した空間的な集合体)の遺伝子発現制御における役割が注目されてきている。しかし、それぞれの核内ボディにいかなるゲノム領域や制御タンパク質が局在し、いかなるコンテクストで核内ボディの制御が行われているのかについては、未だ不明な点が多いR5年度までに神経幹細胞の未分化性を保ちつつニューロン分化能を付与する因子としてHMGA2を同定し、この因子が核内ボディを作ることを見出し論文報告した(Kuwayama et al. Nat Commun 2023)。そしてこの因子がヌクレオソームを直接凝集する活性を持つこと、ヌクレオソームと共に相分離することを明らかにし、その凝集活性にHMGA2のAT hook1 domainが必須であることを示した。さらにこのドメインを欠損し凝集活性を失ったHMGA2は、神経幹細胞の未分化維持活性を失うことも見出した。さらにこのHook1欠失HMGA2にPUB1タンパク質の変性領域IDRを付加して強制的に凝集活性を復活させると、神経幹細胞の未分化維持活性も回復することを見出した。つまり、HMGA2がクロマチンを凝集し、核内ボディを形成することが神経幹細胞維持に重要であるという結果を得た(Kuwayama et al. Nat Commun 2023)。また、HMGA2の凝集活性が、神経発生にとどまらず個体発生における様々な組織形成においても重要な役割を果たすことを示唆する結果も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R5年度までの研究において、神経幹細胞の未分化性を保ちつつニューロン分化能を付与する因子としてHMGA2を同定し、この因子が核内ボディを作ることを見出した。特筆すべきは、in vitro再構成系において、HMGA2タンパク質がポリヌクレオソームを直接凝集させる活性、相分離させる活性を持つことを示し、その凝集活性に必要なドメインとしてAT Hook1ドメインを同定し、このドメインがHMGA2の神経幹細胞未分化性維持活性に必須であることを示したことである。さらにHook1ドメイン欠損HMGA2に対して、強制的に凝集活性を付与することで神経幹細胞未分化性維持活性がレスキューされることも示し、凝集活性の重要性が明らかにされた。昨年度までにHMGA2が新しい核内ボディを形成していることを示したが、今年度はどの核内ボディ/クロマチン凝集活性の神経幹細胞制御/神経発生における重要性を示した点で大きく前進した。さらに神経発生にとどまらず、HMGA2のクロマチン凝集活性が他の組織発生においても重要な役割を果たすという結果も得たことも大きな進展であると考えている。
ポリコーム複合体によって形成される核内ボディについても、いくつか重要な知見を得た。特に神経幹細胞およびニューロンにおけるポリコームボディが不均一な構成因子分布を示すことを示唆する結果を得ている。また神経発生/ニューロン分化過程におけるポリコーム複合体およびそれによって施されるヒストン修飾の特徴的な分布変化を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
HMGA2が結合するターゲットゲノム領域について検討を進め、核内に分布するHMGA2ボディにいかなるゲノム領域が集合しているのかを明らかにする。ChIP-seqによる解析に加えて、1細胞Hi-Cを元に計算的にゲノムの3次元再構築を行い、そこにHMGA2結合ゲノム領域を投射してHMGA2ボディの実態を明らかにしたい。そのために1細胞Hi-Cデータから得られるスパースなゲノムコンタクト情報から密度の高いゲノム空間配置を算出する手法の開発を行う。
同様にポリコーム複合体ならびにそれによって施されるヒストン修飾のターゲットゲノム領域をChIP-seqにより明らかにし、1細胞Hi-Cから得られたゲノム空間配置情報に投射してポリコームボディの実態を明らかにしたい。
また新たに同定した神経発生/ニューロン分化過程におけるポリコーム複合体およびそれによって施されるヒストン修飾の特徴的な分布変化の意義を検討する。すでに分布変化に関わる因子の候補を同定しており、その重要性を調べる予定である。
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