Project/Area Number |
22H00514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 60:Information science, computer engineering, and related fields
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和田山 正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20275374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 和則 京都大学, 国際高等教育院, 教授 (50346102)
小蔵 正輝 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10800732)
高邉 賢史 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (60804218)
岡野 訓尚 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80778209)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,600,000 (Direct Cost: ¥32,000,000、Indirect Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
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Keywords | 深層展開 / 深層学習 / 無線信号処理 / 信号処理 / 分散信号処理 / 無線通信工学 / 符号理論 / 制御工学 |
Outline of Research at the Start |
1) 深層展開に適した基礎アルゴリズムをどのように構成していくべきか,2)学習パラメータをどのように選択すべきか,3) 深層展開から得られる学習結果の数理的特性はどのようなものであるかを系統的に論じる研究はない.本計画の主たる学術的問いは,深層展開に基づくアルゴリズム構築において,実践的・数理的理解に裏打ちされた系統的な方法論は存在するかという問いである.上記の課題1), 2), 3)の緻密な検討を通して,従来の深層展開の研究で欠けていた部分を埋めることができれば深層展開の適用範囲のさらなる拡大に繋がり,広範な反復型信号処理アルゴリズムの特性改善と新規アルゴリズムの創出が可能であると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の主たる目的は,深層展開に基づくアルゴリズム構築において,実践的・数理的理解に裏打ちされた 系統的な方法の確立である. 2023年度は,当初計画に従い,(SP-1)LDPC符号,(SP-2)光ファイバー+深層展開,(SP-3)チェビシェフ法のダイナミクス解析,(SP-4)完全分散型MIMO信号検出 について研究を実行した.さらに研究分担者の小椋は,モデル予測制御への深層展開の適用について研究成果を挙げている.計画全体として研究の進捗は順調であり,十分な研究成果も得られてきており,最終年度での国際会議発表・論文出版が期待される.
SP-1のLDPC符号では,特に近接勾配復号法をベースとして新たに連続時間勾配力学系に基づくLDPC符号の復号法を新たに提案した.光アナログ回路などにおける実装を想定した手法であり,従来にはなかった観点の復号法として,2023年9月にフランスにおいて開催された符号理論の国際シンポジウムでは注目されていた.SP-2の光ファイバー通信における深層展開においては,有川らは多層フィルタ型信号補正法に深層展開を適用し,顕著な特性改善が可能であることを示した.その結果により,電気通信普及財団 第38回テレコムシステム技術賞を受賞している点は特筆に値する.SP-4の完全分散型MIMO検出アルゴリズムへの深層展開の適用は新たなテーマであり,基地局における負荷分散を狙う手法である.ここでも,特性改善に深層展開が大きな役割を果たしている.この結果は2024年IEEE ICCにおいて成果報告が行われる予定である.
2023年内にプロジェクトメンバー全員が集まる機会を複数回設けて進捗報告会を実施し情報交換を行った. また深層展開に関するアウトリーチ活動の一貫として,深層展開に関する専門書籍を出版した.深層展開を一般に広く知ってもらうために役に立つことが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[SP-1] LDPC符号 近接勾配復号法に端を発して2つの研究を進めた.そのひとつは近接勾配復号法への深層展開の適用である.近接勾配復号法は,その内部に複数のハイパーパラメータを有しておりその設定が復号特性に大きな影響を与えることが知られていた.我々はそれらのパラメータの決定に深層展開を利用することで,近接勾配復号法の復号特性が大きく改善されることを実験的に示した.もうひとつは,連続時間勾配力学系を利用したgradient flow decoding を新たに提案したことである.これは近接勾配復号法の近接降下ステップを勾配力学系に組み込んだものであり,連続時間復号法として新しい研究分野を開くことを目指したものである.この成果は,情報理論のトップ会議であるIEEE ISIT2024において発表される予定である. [SP-2] 光通信の受信器では,波長分散補償・MIMO 信号検出といった目的毎の処理が順に行われる多層フィルタの構成をとる. 全ての層のフィルタ係数を一括して決定する深層学習的手法について研究を進めてきた.これに関する研究成果は,論文出版ならびに電気通信普及財団 第38回テレコムシステム技術賞の受賞を受けており,高く関連分野において評価されている. [SP-3] チェビシェフステップを利用した高速に収束するMIMO信号検出アルゴリズムに関しての研究を行った.従来知られている手法よりも高速な収束特性を示す手法であり,学習が必要ない点が特色である.この結果は,電子情報通信学会の論文誌に掲載予定である. [その他] 上記で述べた以外にも,モデルベース制御への深層展開の適用(小椋),モンテカルロ法への深層展開の適用(高邉)など通信分野にとどまらない深層展開の適用が検討されており,深層展開の応用がさらに広がりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
[SP-1] LDPC符号の復号法に関する研究を継続する. 特に勾配流復号法について,スコアベース学習に基づく通信路学習の可能性を追求したい.また,近接勾配復号法の復号性能の向上を目指した停留点の脱出手法について検討を進めたい.AWGN通信路における復号性能の不足が改善されると近接勾配復号法の有用性が大きく高まる.さらに当初計画通り,IoTアクティブユーザ検出問題 (スパース信号推定問題に類似する問題)に対して深層展開の適用を目指す研究を開始したい. 特に完全分散型のスパース信号推定アルゴリズムを検討の対象とする. すでに予備実験は成功しているので,より詳細な実験を実施する予定にしている. [SP-2] 光ファイバー系で得られた知見を無線信号系に適用することを考える.特にIQインバランスの補正に深層展開型マルチフィルタの適用を検討する.この方向についてすでにポジティブな成果がでてきるので論文化をしっかり進めたい. [SP-4] 完全分散型MIMO信号検出に関して,国際会議(IEEE ICC)発表の成果をベースとしてフルペーパーをまとめていきたい.
今年度は特に今までに得られた成果の論文化,国際会議における発表を念頭にしっかりと3年間の成果を論文化することにエネルギーを注いで行きたいと考えている.また,本年度も昨年度に引き続きセミナー・チュートリアルも積極的に受けて,深層展開に興味を持ってくれる研究者を一人でも増やしていきたいと考えている.裾野が広がれば,新しいイノベーションにつながる研究が現れる可能性も高くなる.
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