Project/Area Number |
22H00547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 62:Applied informatics and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo (2024) The University of Electro-Communications (2022-2023) |
Principal Investigator |
高玉 圭樹 東京大学, 情報基盤センター, 教授 (20345367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尾 雅之 東京情報デザイン専門職大学, 情報デザイン学部, 教授 (90508821)
田中 健次 電気通信大学, 産学官連携センター, 特任教授 (60197415)
白石 真 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40350631)
廣瀬 雅宣 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50812492)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥41,080,000 (Direct Cost: ¥31,600,000、Indirect Cost: ¥9,480,000)
Fiscal Year 2025: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,570,000 (Direct Cost: ¥8,900,000、Indirect Cost: ¥2,670,000)
Fiscal Year 2022: ¥14,950,000 (Direct Cost: ¥11,500,000、Indirect Cost: ¥3,450,000)
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Keywords | 認知症 / 兆候検知 / 進行予防 / 身体認知機能 / 内発的動機づけ |
Outline of Research at the Start |
認知症研究は症状進行後の判定や緩和が主流であり,発症以前のケア基盤技術は確立していないため,本研究ではその基盤技術を探究するとともに,認知症兆候検知・進行予防支援システムを構築する.具体的には,(1)継続的に身体認知機能を推定し,認知症になる前からその変化を追える機能,(2)認知症の初期症状を見過ごさないために,日常生活の中でその兆候を自動検出する機能,(3)身体認知機能維持のためのリハビリを継続する動機づけ機能を考案する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,長期に亘って取得した高齢者のパーソナルヒストリー生体・行動データから,(1)高齢者の身体認知機能をADL(日常生活動作)として評価しながら,(2)マットセンサを敷いた布団やベッドに寝るだけで得られる心拍から継続的に認知症の兆候を推定し,(3)長期リハビリに向けた個人への内発的動機づけによって自身の身体認知機能の低下を抑制する3つの手法を探究するとともに,その有効性を介護施設や病院にて検証することを目的としている. その目的達成に向けて,令和5年度では次の研究を実施した.(1)実際の医療現場の認知症診断に用いられるHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)に基づく対話型認知症診断ロボットを構築し,ロボットからの質問に対する被験者の回答(対話データ)から記憶や理解などの認知ADLを評価する手法を考案した.(2)認知症者の生体リズムは乱れるという知見を基に,マットセンサを通して得られた就寝中の心拍数からそのリズムの乱れ具合いを明確に示す時系列特徴量を約800個の中から見出し,それを基に認知症を判定する方法を考案した.(3)長期間に亘り高齢者にWearable健康機器を装着してもらい,歩行や睡眠等の結果(グラフや数値,言語表示)に対する理解度や受容性のヒアリングを通して,内発的動機付けへの影響を分析した. 学会活動としては,生体工学分野のIEEE EMBC2023で本研究の成果を発表するとともに,人工知能分野のAAAI 2024 Spring Symposiumにて“Impact of GenAI on Social and Individual Well-being”というシンポジウムのプロポーザルが採択され,研究発表を通して,多くの研究者と本研究テーマに関して討論した.さらに,スタンフォード大学(米国)の医師ともディスカッションし,医学的な助言を受けた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,介護施設における新型コロナウイルスの感染拡大による影響で,医師である研究分担者から被験者実験の許可が下りず,予定していた実験が延期となっていたが,本年度は新型コロナウイルスの5類移行したことから, 医師による管理の元で実施可能となった.その結果,特別養護老人ホーム片平長寿の里にて本格的な被験者実験を開始でき,次のような成果が得られたため,おおむね順調に進んでいる. 具体的には,(1)ADLからの身体認知機能の判定に関しては,過去の被験者実験から高齢者にとって親しみを感じやすい小さな犬のぬいぐるみ型のロボットを構築し,ロボットと対話をする高齢者が認知症診断をしていると気づかれないように,ChatGPTやLlamaなどの大規模言語モデル(LLM)を用いることによって日常会話にも対応できるように拡張するとともに,日常会話の中でHDS-Rの質問を混ぜる工夫を施した.また,認知症コーパスに収録されている日常会話から音声とテキストを特徴量として機械学習モデルを構築することによって,80%の精度で軽度認知症を認識できることに成功した.(2)マットセンサから得られる心拍数を用いた認知症判定に関しては, 10~90分程度の心拍数の乱れ具合いを表す時系列特徴量によって,90%以上の感度(認知症者を正しく認知症者と判定できる確率)を達成した.また,見出した時系列特徴量から,認知症者は心拍数に影響を与える自律神経障害を発症することが多いため,心拍数を一定に保つという恒常性が健常者に比べて弱いことが示唆された.(3)長期リハビリに向けた内発的動機づけに関しては,歩行数/睡眠の深さ/心拍数など,日常生活の中での自発的行動に関する成果のグラフや定量的表示は一定の効果はあるものの,高齢者の場合は,それ以外に対話による称賛(自己有能感を高めること)と叱責が必要であることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,申請書に記載された計画を進めることを基本とする.また,研究を加速するために,被験者数を増やすとともに,被験者実験を実施可能な介護施設数も増やす(現在,特別養護老人ホーム 潮見台みどりの丘にセンサ類を設置する計画である).以下,個別の推進方策をまとめる. 具体的には,(1)ADLからの認知症判定に関しては,本年度は認知症コーパスに収録されている日常会話(人同士の対話)から構築した機械学習モデルを用いることで,認知症者の発話の特徴(指示代名詞や無言期間の増加など)が明らかになったため,来年度は介護施設にてぬいぐるみ型の犬ロボットとの対話(人とロボットの対話)で同様の結果が得られるかを検証する.さらに,専門医による評価と比較することによって,対話による軽度認知障害の早期発見法の可能性を検証する.(2)心拍数に基づく認知症判定に関しては,初年度は心拍のサーカディアンリズム(約24時間周期の生体リズム)という長い期間の乱れ具合いに着目した判定方法を考案したが,睡眠時間が短いと正しく心拍のサーカディアンリズムを推定できずに誤判定することがある.そこで,本年度は10~90分程度という短い期間の心拍数の乱れ具合い着目した判定方法を考案し,睡眠時間が短くても誤判定をする可能性は減少したが,心臓に疾患のある方を認知症と誤判定する可能性がある.そこで,来年度は両者を融合したハイブリット手法の性能を明らかにする.(3)長期リハビリに向けた内発的動機づけに関しては,本年度は「歩行歴の図表示」による内発的動機付けを分析したため,来年度は「対話での称賛と叱責」で同様の結果が得られるかを検証する.特に,称賛と叱責のフィードバックの影響に関しては,リハビリの専門家(理学療法士)の認知症者への対話を分析し,適切な対話内容や発話タイミングを明らかにする.
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