Project/Area Number |
22H00556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
恩田 裕一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00221862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 康記 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00854085)
五味 高志 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30378921)
高橋 純子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (30714844)
榊原 厚一 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40821799)
吉田 智弘 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60521052)
谷口 圭輔 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 准教授 (80774794)
加藤 弘亮 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90732636)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥42,640,000 (Direct Cost: ¥32,800,000、Indirect Cost: ¥9,840,000)
Fiscal Year 2024: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
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Keywords | Cs-137 / 福島第一原子力発電所事故 / 森林 / 渓流 / 河川 / DOC / 水質 / カリウム / アンモニウム |
Outline of Research at the Start |
福島原発事故によって福島に沈着したセシウムは,森林流域から流出しつつあるものの,河川水中の溶存態セシウム濃度は,チェルノブイリ影響河川よりも遙かに低いことがわかってきた。その理由として,渓流水と土壌,リター(落葉)との反応時間が長いほど,渓流水中のイオン総量(EC)が多いほどセシウムが溶脱しやすく,溶存態濃度が高くなる可能性が指摘されている。そこで,福島県の浪江地域において異なる地形勾配の調査流域を複数設け,斜面から河川,上流から下流へ流出するTravel timeとセシウム溶脱の関連性を把握する。そして,データ解析と現地観測より,河川中のCs-137濃度を推定する統合モデルを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、チェルノブイリ原発事故以降の長期間にわたる環境影響評価を継続することを目的とし、ヨーロッパ河川における放射性セシウムの流出状況に関する包括的な調査を実施した。本研究は、放射性物質の環境中での挙動を理解することにより、本研究目的の達成を目指す。 今年度、本研究においては、以下の研究者および機関と協力を行った。1)イギリス・ウクライナ:Jim Smith, Portsmouth大学,2)ウクライナ:Genaddy, Laptevウクライナ水文気象研究所(UHMI).3)オーストリア Christian Katzlberger オーストリア水環境科学研究所. 4)ハンガリー Sandor Tergan (IAEA) イギリス、オーストリア、イタリアの各国河川でのサンプリングを通じて、河川水中の 溶存態及び懸濁態のセシウム濃度、各種イオン濃度、EC値などのデータを取得した。また、セシウム133の測定も行い、放射性物質の詳細な分析を実施した。加えて、サンプリング地点近傍のリターおよび表層土壌から137Csの濃度を測定し、アンモニウム、カリウムイオン濃度との関連性についても分析を行った。これにより、セシウムの環境中での挙動をより深く理解することができた。さらに,福島県内の浪江および川俣の試験流域において、源流域のCs-137濃度とK+、NH4+およびDOCとの相関を詳細に分析した。この結果を基に、Science of Total Environmentに研究論文を発表した。この論文では、源流域における放射性セシウムの挙動と有機物分解の関連性についての新たな知見を提供しており,本研究の方向性の1つを導き出すものとなった。本年度の研究により、ヨーロッパおよび日本の河川環境における放射性セシウムの広範なデータベースを構築することができた。これにより、本研究目的「福島の水はなぜきれいなのか」の達成に近づくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「福島の河川水がなぜきれいになったのか」を解明するための、海外サンプリングが順調に推移している。また,森林流域の水質形成機構がセシウムの濃度を規定している可能性については,国内の研究事例により,従来提示されてきた水質に加え、有機物分解について初めて定量的に評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,海外のサンプリングを継続するとともに,水質,同位体等の測定,また水循環モデリングを介して,福島の河川水がなぜきれいになったのかを明らかにする。その上でその成果を高インパクトファクター雑誌に投稿する。
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