Project/Area Number |
22H00569
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
山本 誉士 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (70637933)
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
山本 麻希 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90452086)
塩見 こずえ 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50756947)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥41,730,000 (Direct Cost: ¥32,100,000、Indirect Cost: ¥9,630,000)
Fiscal Year 2024: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
|
Keywords | バイオロギング / 風 / 鳥類 / コウモリ類 / 風況 / 哺乳類 |
Outline of Research at the Start |
人間社会と野生動物の距離が近づくにつれ、動物の移動分散に伴って生じる様々な生態系問題(獣害や風発衝突など)を包括的に解決するアプローチが強く求められるようになってきた。本研究ではこの要求に対して、解決の難しい問題を現在抱えている飛翔動物(鳥とコウモリ)の移動分散を最先端の動物搭載型センサを用いて追跡し、高精度・高解像度の移動情報と風況データを統合するモデリングとシミュレーションを実現して、生物移動予測の基盤技術を高度化する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
人間社会と野生動物の距離が近づくにつれ、動物の移動分散に伴って生じる様々な生態系問題(獣害や風発衝突など)を包括的に解決するアプローチが強く求められるようになってきた。本研究ではこの要求に対して、解決の難しい問題を現在抱えている飛翔動物(鳥とコウモリ)の移動分散を最先端の動物搭載型センサを用いて追跡し、高精度・高解像度の移動情報と風況データを統合するモデリングとシミュレーションを実現して、生物移動予測の基盤技術を高度化する。本年度は機材調達の後、新潟県で育雛するオオミズナギドリと青森県で育雛するウミネコに対して、ロガーの取り付けを行った。また、沖縄のオオコウモリに対してバイオロギングによる採餌移動経路の記録も行い、季節や成熟度による夜間移動の違い等に関して分析を行った。解析と論文発表に関しては、ヒトが作り出す移動経路(ヨットレースの経路)と、ワタリアホウドリの移動経路のデータを扱い、ミクロの力学的共通性がマクロの移動経路の相似形を生み出すことを示した論文を発表した(Goto, Yoda et al. PNAS)。まず、アホウドリとヨットの移動経路の多様性と類似性(直線的にゴールに向かうこともあれば、大きくジグザグに進みながらゴールに向かうこともある)を指摘した。次に、GPSデータを解析し、風に対してどちらに向かえばどの程度の速さで飛べるかという、風に対する速度性能が類似していることを示した。さらに、この速度性能の類似性が、マクロスケール(500km)の移動経路の類似性を生み出すことを示した。言い換えると、ヨットもアホウドリも、ゴールへ到着する時間を最小化していることが示された。さらに、海鳥の移動データから推定された風を同化し、風況の解析及び台風位置推定への影響を調査した結果、鳥データを加えることで台風中心気圧の予測に高い再現度をもたらすことが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鳥類、コウモリ類ともに、当初の計画以上に行動データを得ることができた。さらに、飛翔動物と風に関する解析も、統計モデルやデータ同化などの異なる方面から進行している。特に、過去に発見した、オオミズナギドリが台風の目に向かうことを明らかにした研究(Lempidakis, Yoda et al. PNAS 2022)を発展させ、GPSと加速度データを用いた解析から、台風の中でどのようにオオミズナギドリが飛翔しているかについての理解が進展した。また、飛行に働く力学的な制約がマクロスケールの移動経路を生み出す要因であることを明らかしたことは、当初目的の一つである複数の時空間スケールを繋ぐことに成功したことを意味する。また、成果の一部をトップ誌(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表することができた。これらを鑑みて、おおむね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
野外行動データの取得に関してはおおむね順調に進んでいるため、引き続き野外実験を行っていく。また、得られたデータの解析をさらに進めていく。
目的達成のために、本年度は機材調達の後、1) 野外生態調査:海鳥とコウモリに超小型ロガーの装着を行い、行動、生態、環境情報を取得する。環境情報の取得には、衛星リモートセンシングや現場観測等も併用する。動物装着型GPSには、AxyTrek(テクノスマート、イタリア)やPinpointtag(Lotek wireless社、UK)などを使用する。新潟県で育雛するオオミズナギドリと青森県で育雛するウミネコに対して、データロガーの取り付けを行う。親鳥が巣にいるときに捕獲し、装置を装着、放鳥する。約1ヶ月後に再度捕獲し、装置を回収する。また、繁殖期終了間際に電波発信型GPSの装着を行い、渡り・越冬に関する移動データを得る。野生のコウモリ(オオコウモリ)に対してGPSロガーを装着して数日から数週間後に回収、夜間の採餌移動生態を調査する。2) 経路解析、映像解析、GIS解析、状態空間モデルなどを用いて、得られたデータを解析する。海鳥の移動データから推定された風を同化し、台風の解析および予測の精度への影響を調査する。
|