| Project/Area Number |
22H00571
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Medium-sized Section 64:Environmental conservation measure and related fields
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| Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹門 康弘 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 客員研究員 (50222104)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 草平 京都大学, 防災研究所, 准教授 (20378920)
加藤 幹男 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 教授 (30204499)
角 哲也 京都大学, 防災研究所, 特定教授 (40311732)
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2025)
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| Budget Amount *help |
¥41,860,000 (Direct Cost: ¥32,200,000、Indirect Cost: ¥9,660,000)
Fiscal Year 2025: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2024: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
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| Keywords | 生息場構造 / 生物多様性 / 進化理論 / 動的河床地形管理 / 河川生態系 / 生息場類型 / 生息場齢 / 生息場寿命 / 時空間的棲み分け / 種分化ポテンシャル / 河床地形管理 / 生態系管理 / 総合土砂管理 / 生息場多様性 / 遺伝的系統関係 / 土砂動態管理 / 河川生態系管理 |
| Outline of Research at the Start |
河川生息場の空間分布と種類別日齢の関係を調べ、生息場の時空間構造と生息種・種多様性の対応関係について、「単調成長」「成長衰退型」「成長劣化型」3類型仮説に基づいた検証を行う。その上で、生息場の空間分布や種類別日齢と生息種間の遺伝的系統関係との連関を分析し、生息種の種分化に果たす生息場の時空間的多様性の役割(生息場の種分化ポテンシャル)や棲み分けの進化過程を推定する。その上で,ダム運用や河川改修を通じた生息場多様性の時空間変化を河床変動計算によって予測し,河川生態系を健全化するための総合土砂管理シナリオを提案する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ダムや河川改修により多様性が低下した河川生息場を保全・再生するために、以下3つの研究を実施した。 1)生息場の生成・消滅履歴と種多様性の関係を明らかにする研究: 木津川15-6km砂州において定点観測を行い、出水後の日数に応じた生息場の生成消滅様式について調査し、木流心明帯には ヨシノマダラカゲロウ、ミツトゲマダラカゲロウ、ヒメヒラタカゲロウ属、クサカワゲラ属が多く、流心暗帯にはオオマダラカゲロウ、アカマダラカゲロウ、シマトビケラ科が多いことを示した。天竜川下流域において、河床地形変動に基づく生息場齢と底生動物群集との関係を解明するために現地調査を行なった。本調査で得た洪水直後の生物群集は、生息場齢が28日以上の生物群集と組成が異なる事が明らかとなった。 2)生息場の生成・消滅履歴を支配する土砂水理過程をダム管理や河道管理シナリオに反映する研究: 宇治川を対象として、河川環境再生のために資する天ケ瀬ダムからの土砂還元の量と粒径が下流河川の粒度分布の変化に与える影響とその時間変化について検討を行った。 3)生息場棲み分けと種分化の関係を解明する研究: DNAのCOI遺伝子部分配列に基づく日本産トゲマダラカゲロウ属の網羅的系統解析と未記載2系統を新種記載した。生息場環境の異なるミツトゲマダラカゲロウの隠ぺい系統を検出した。天竜川の5地点を対象にして、キックネット法で定性採取した底生動物群集からDNAを抽出して、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を実施した。生息場間の棲み分けと適応進化の関係の評価に用いるための選択性遺伝子座(自然選択を受けている可能性の高い遺伝子座)を水生昆虫のゲノム上から探索するddRAD(double-digest restriction-site associated DNA sequencing)の実験手法の最適化に成功した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
河川における水域生息場の時空間的な存在様式の類型化と棲息種の群集組成との対応関係については、淀川水系木津川・宇治川・賀茂川、天竜川、落合川、紀伊丹生川などの調査結果に基づいて、有用な試料を得て分析することができた。一方、本研究で計画した出水により新たに形成された生息場が消失するまでの棲息種の群集組成変化をモニタリング調査については必ずしも予定通りの成果が得られていない。2022年度には、各地調査地で想定した平均年1回の生起確率以上の出水がなかったため出水前後の生息場変化のモニタリング調査ができなかった。そこで、2023年度には中小規模の出水撹乱後に平水や渇水時ま での生息場変化過程の調査を目標とした。ところが、2023年の9月から2024年3月までの本来平水や渇水が生じる期間にも降雨日が多く、中小規模の出水が頻発した結果、生息場の形成後の時間と底生動物群集の種組成との対応関係について短期間のデータしか得ることができなかった。また、2024年度には引き続き大規模な撹乱による生息場変化に備えた調査の準備体制を整えたが、調査対象河川では平均年1回の生起確率以上の出水が起きなかったため、大出水後の日数に応じたワンドやたまりの生成消滅様式についての知見が得られていない。ただし、前年度のに引き続き、流心明帯(砂礫が常時移動し粒状有機物が掃流される砂利底生息場)と流心暗帯(砂礫が掃流され安定した粗粒化した石礫底生息場)、河岸暗帯(砂州頭、砂州尻、砂州岸際の緩流部に有機物やシルト粘土が堆積した生息場)の生成消滅様式について調査についてのデータや知見を増やすことはできた。以上の結果、2024年度も大規模出水時の変化や長期にわたる安定期の変化については不足しているものの、日常的に生じる生息場の変動様式については目的に沿った成果が得られたといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
木津川、天竜川、那賀川では地形・生息場のモニタリングデータを系統的に整理して、中小規模出水時における生息場や底生動物群集の輪廻様式を取りまとめる。とくに天竜川については、生息場齢のバリエーションを増やし、生息場齢と底生動物群集との関係解明を推進し、安定同位体比に基づく底生動物の餌利用の時空間変化についても検討する。 大規模出水や長期安定期間の影響調査については、引き続き撹乱が起きた場合のモニタリング調査の体制を備える。天ケ瀬ダム下流で開始された土砂還元の流出形態および下流河道のモニタリングを継続し、粒度や生息場の変化と継続時間の関係について検討する。 生息場齢-生物群集-遺伝的特性の対応関係については、生息場類型に対応して検出されたDNAの種内変異について、より詳細な形態記載並びに鋭敏な種判別法を確立する。ミツトゲマダラカゲロウの隠ぺい系統について、卵形態の差異に着目した記載を進める。日本産カゲロウ目全般(とくにヒラタカゲロウ科、ヒメフタオカゲロウ科、トビイロカゲロウ科)について、未記載系統を含めた網羅的分子系統関係を示し、種群の生息場選好性を特徴づけるとともに、生息場環境の変遷(人為工作物の設置等による短期中期の環境変化を含む)と分布域の変化を対応付ける。群集構成要素(種群)の解析に基づき、生息場間の生物類似度を評価する。 生息場間や異なる生息場齢(age)間の種の適応放散に関する仮説に関しては、生息場ごとの水生昆虫のddRAD解析を継続するとともに、ddRAD解析を改良して、より多くの選択性遺伝子座を検出することが可能な次世代シークエンシングに基づく解析手法の開発も目指す。さらに、底生動物群集のメタバーコーディングによる集団遺伝構造解析については,微生息場・生息場・流程間の解析に、環境DNAも含めた分析を行い、生息場間の集団レベルの棲み分け現象解明に繋げる予定である。
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