Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
2007年の先住民族の権利に関する国際連合宣言に象徴されるように、20世紀末から21世紀初頭にかけて、各国で先住民、少数者の権利は拡大され、歴史的な暴力や不正義について主流社会側が認め、謝罪し、和解しようとする動きが顕著になった。少数者の記憶や語りを重視する場面も増加し、返還、補償などもキーワードとなっている。ポストコロニアル状況において、歴史や政治的公正性を求める動きはどのように広がり、受け入れられているのか。本研究は、少数者の語りの具体的な諸場面に注目し、ネオ・エンライトメント(新啓蒙主義)という概念を手がかりとして考察し、現代世界の人権、自由をめぐるモラルの諸相の見取り図を描く。