Project/Area Number |
22H00851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Asian Growth Research Institute |
Principal Investigator |
八田 達夫 公益財団法人アジア成長研究所, 研究部, 理事長 (70008647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐渡 広志 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00345555)
山鹿 久木 関西学院大学, 経済学部, 教授 (50334032)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 収集の利益 / 都心の生産性 / リモートワーク / オフィス賃料 / 就業者密度 / 集積の利益 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、リモートワーク(以下RW)の普及がもたらした郊外や地方のオフィス・住宅の生産性向上を、各地点の賃料を分析することによって測定する。具体的には、2019年以前と2020年以降のオフィス・住宅賃料のミクロデータが示す、東京都心・郊外間の相対賃料の変化のうち、RWの普及に帰せられる部分を計量経済学的に抽出する。 分析結果の活用例として、適正な通勤混雑水準達成のために混雑料金と並んで必要な、RWへの補助金の水準の算定を行う。さらに、上の分析結果は、都心内指定容積率の再設計にも、都市間の交通インフラ整備の必要性にRW普及が及ぼす影響の解明にも有効である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リモートワークの普及による都市の生産性への、次の貢献を測定することである。 ①東京都心内における地点ごとの集積度の生産性への貢献度(すなわちオフィス業務の生産関数のパラメータ)の変化。②通勤回数減による通勤混雑と通勤時間の減少。③リモートワークの普及により全国の他都市との経済距離の重要性は低下を通じた地方都市の生産性向上に与える影響。 これらの目的を達成するための具体的な手段として、以下を分析する。 ①リモートワークが普及したことにより、都心からの距離に応じた賃貸住宅の家賃がどう変化したか。②リモートワークが普及したことによって、都心のオフィスの賃料がどれだけ変化したか。③全国の都市における都心各地点のオフィス賃料を、地点周辺の就業者密度などで説明する回帰分析において、変数の一つとしての「平均経済距離」の係数の生産関数における変化。 2023年度は、これまでに著者らが行ってきた研究を含めて文献を整理し、今回の研究での上記の実証研究に用いるモデル設計を検討し、精緻化するための議論を重ねた。さらに、平行して、2019年のまでのオフィス賃料および住宅家賃のデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の実績の概要で述べた分析を具体的に述べれば、次の通りである。 まず、通勤に関する理論面では、混雑の不快度をレジャーの減少に相当するものとして捉えるか、消費財の損失と同等の損失ととらえるかによって、モデル構築が異なるため、それらの融合を図るべく、モデル分析を検討した。 次に、都心のオフィス賃料分析においても、外部性の測定の仕方に関するさまざまな指標による分析を試みた。 さらに、これらの理論モデルの選択肢の一つを分析する以下の論文を、現段階では未発表であるが、作成した。 Tatsuo Hatta and Hisaki Yamaga, “Fatigue Cost of Commuting and Optimum Congestion Charge: An Empirical Estimation” March 2023.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はコロナ禍の下で生じたリモートワークの普及が、都心のオフィス業務の生産性向上にどれだけ貢献するかを分析するものである。最終的には、2024年度において、コロナ禍が落ち着いた2023年のデータを用いた分析とコロナ禍以前の2019年のデータを用いた分析の比較を行う。 そのため、2022年度に蓄積したコロナ禍前の2019年以前のデータ(東日本不動産流通機構のレインズ情報、住宅家賃情報及びゼンリンから購入した都心オフィス賃料情報)および同年度に構築した理論モデルを用いて、2019 年以前のオフィス賃料と就業者集積度との関係を分析するとともに、都心との距離や混雑度に応じた家賃の分析を行う。 さらに都市との距離や混雑度に応じた家賃の分析を行う。この分析では、まず、東京の郊外における数多くの地点における家賃に対する都心までの距離と通勤鉄道の混雑度の影響を測定する。次に都心オフィスの各地点におけるオフィス賃料への就業者密度への影響を分析する。この分析とコロナ禍が終わった2023年度のデータを用いた分析を比較することによって、リモートワークの普及による①通勤混雑度が軽減と都心から離れた住宅地点における相対的な家賃の上昇および、②就業者集積度の減少に応じた都心賃料曲線の勾配変化とを測定する予定である。
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