Project/Area Number |
22H01129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栄 伸一郎 北海道大学, 理学研究院, 特任教授 (30201362)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 反応拡散型モデル / スポット解 / 境界との相互作用 / メトリックグラフ |
Outline of Research at the Start |
樟脳片運動の数理モデルにおける樟脳片や交通流方程式における自己駆動粒子, あるいは神経伝搬方程式における神経パルスなど, それぞれの数理モデルにおいて局在スポットパターンは, 重要なキーとなる解として出現する.それらスポットパターンの運動を, 一般の領域において境界などの影響を取り込んだ形で解析することを目標とする.本研究課題では領域の境界やその拡張としての領域内部に存在する障害物, あるいはネットワーク上のノードなど, 多様な領域と境界に対して, その影響を取り入れたスポット解の重心位置に関する運動方程式導出のための理論構築を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は特にメトリックグラフ上のパルス解運動に関して解析を進めた. 結果として, 最も単純な場合である, ノードが一つの Y 字型メトリックグラフにおいて, キルヒホッフ条件がノードに課されている場合にパルス解あるいはフロント解といった局在解の運動を記述する方程式を陽に書き下すことが出来た.その結果から, 局在解運動がノードから受ける影響は, 局在解同士の相互作用に現れる係数にマイナスの符号を付けた量に比例することがわかった.これはもし局在解同士が反発的に相互作用しているなら, その局在解はノードに近づくこと, 逆に互いに近づき合う相互作用なら, ノードから離れることが意味する.これまで知られていた, アレン・カーン方程式など具体的な方程式に現れる局在解の運動に関する結果を拡張する形で得られたこの結果は, ノードからの影響に相互作用の性質が直接的に関与しているという新たな知見を与えることとなった.さらに複数の局在解が存在する場合は, 局在解同士の相互作用, およびノードとの相互作用が互いに関係して, 極めて複雑な挙動が現れることも明らかにすることができた.これらは運動を記述する方程式を 解析してはじめて知る得た知見であって, 帰着された運動方程式の有効性を示唆している. 一方, 一般領域の問題に関しては, ある種のヘルムホルツ型の楕円型方程式を解く必要が生じるが, ノイマン境界条件が課されている場合, 境界の曲率が小さいとき, その解をある程度具体的に表示することに成功しつつある.次年度以降の解析の進展の大きな足がかりとなると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動を具体的に書き下すという目的の一つがメトリックグラフ領域に関して達成出来たことが大きな理由の一つである.さらにその結果から, 当初予想されていなかった新たな知見が得られたことは今後のさらなる発展に確かにつながると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
Y 字型のメトリックグラフで得られた結果と方法を, さらに拡張することを目指す.具体的には, 実際の神経細胞における樹状突起などを想定して, より多くの分岐があるようなメトリックグラフ, さらに, 太さにかかわるパラメータが各辺毎に異なるといった場合に拡張することを予定している.またメトリックグラフ以外に, 一般の領域における問題に対しても本格的に解析を進めていく.
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