オリゴマーを標的とするシヌクレイノパチーの新規治療法開発
Project/Area Number |
22H02948
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若林 孝一 弘前大学, 医学研究科, 教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 康生 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30709142)
森 文秋 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (60200383)
丹治 邦和 弘前大学, 医学研究科, 助教 (10271800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | シヌクレイノパチー / オートファジー / モデル動物 / レビー小体病 / 多系統萎縮症 / αシヌクレイン / オリゴマー / パーキンソン病 |
Outline of Research at the Start |
αシヌクレイン(α-Syn)の蓄積を特徴とするシヌクレイノパチーではオートファジーの異常が認められる。そこで、脳内オートファジー活性化によってα-Synの蓄積を抑制できると考えた。その検証のために中年~老年期の任意の時期にヒト型α-Synの過剰発現を起こすモデルマウスを開発した。このマウスでは不溶化したα-Synに加え、オリゴマーが蓄積している。このマウスにトレハロースを経口および経鼻的に投与すると、オリゴマーが減少し症状が改善する。さらに、α-Synの凝集を抑制する分子を見出した。そこで、本研究ではオリゴマーの除去およびタンパク質の凝集制御による、シヌクレイノパチーの治療法開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
多系統萎縮症(MSA)では最大37%が認知機能障害を呈する。そこで我々が開発した任意の時期にオリゴデンドログリアにαシヌクレインを発現するMSAモデルマウスとヒトMSA剖検脳を用い、記憶障害の成因について検討した。 MSAマウス海馬において、αシヌクレイン発現前、発現1週および4週後の神経細胞質内封入体(NCI)の数を計測した。次に、発現5週後のMSAマウスと正常対照の記憶をobject location testで比較検討した。また、MSAマウスおよびヒトMSA剖検脳に蓄積しているαシヌクレインの性状をproximity ligation assayおよびfilter trap assayで評価した。さらに、MSAマウス海馬を生化学的および電気生理学的に検討した。 MSAマウス海馬ではNCIが経時的に増加し、正常対照に比較して記憶障害を伴った。さらに、正常対照に比してMSAでは、αシヌクレインオリゴマー量が有意に増加していた。一方、神経細胞のスパインは有意に減少、長期増強も減弱していた。さらに、ヒトMSA剖検脳を用いた検討では、記憶障害を有するMSA患者では有さないMSA患者に比べ、海馬においてオリゴマーが有意に増加した。ヒトMSA側頭葉でも同様の所見を認めた。 さらに、Late-onset MSAにおけるAlzheimer病変の合併は通常のMSAや正常対照群と差がないことを英国Queen Square Brain Bankの171剖検例を用い示した。 今回の結果は、海馬におけるオリゴマーの蓄積がMSAの記憶障害に深く関わることを示唆する。この結果を踏まえ、MSAモデルマウス脳におけるオリゴマーの軽減、除去を目的に経鼻投与の実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MSAでは海馬におけるαシヌクレインオリゴマーの蓄積が記憶障害の形成に深く関わることを指摘した。これまで、MSAモデルマウスにトレハロースを経鼻投与すると行動学的に病態が改善することを確認しており、MSAにおいてαシヌクレインオリゴマーの軽減を目的とした治療実験を進めている。以上より、研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もシヌクレイノパチーにおける異常タンパク質の蓄積機序やオートファジー関連分子が病態に果たす役割について研究を進める。さらに、αシヌクレインオリゴマーの蓄積が症状発現の鍵となることから、オリゴマーの除去を目的とした治療法開発を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)