病原体プリオンに対する生体防御機構の解明および免疫システムに着目した治療薬の開発
Project/Area Number |
22H02989
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石橋 大輔 福岡大学, 薬学部, 教授 (10432973)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | プリオン / インターフェロン |
Outline of Research at the Start |
プリオン病は、ヒト、ウシなどの各種動物で引き起こされる人獣共通の感染症であり、生体内で長い年月をかけて異常型プリオンタンパクが蓄積し、脳内において神経細胞死が生じることにより引き起こされる疾患とされている。ウイルスや細菌など微生物によって引き起こされる感染症とは異なりタンパクのみが病原体として認知されているが、発症するまでの一連の現象について何がきっかけで、どのようなメカニズムで生じているかは完全には明らかになってはいない。本研究では生体防御機構である免疫機構が病原体プリオンに対して、如何に働いているかについて解明し、治療・予防薬開発に向けた研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、病原体プリオンに対する宿主免疫機構の役割を明らかにすることを目的とし、Toll-like receptorsに代表される宿主自然免疫応答のシグナル経路の中でもI型インターフェロン活性化システムに注目し、病原体プリオンの感染病態を解明する。特に1) I型インターフェロンに着目したプリオン抑制メカニズムの異常PrP分解機構を含めた詳細な解析、 2) I型インターフェロンシグナル経路を視点としたプリオン病薬の開発の基盤構築、に重点を置いて研究を行う。本年度では、300種類以上あるインターフェロン刺激遺伝子の中から、10程度の遺伝子をクローニングして、哺乳類系の正常細胞でそれぞれのコードされている遺伝子由来のタンパクが誘導されるかを、生化学的実験法を用いて確認した。タンパクの発現を確認後、次に、MHM2のプリオンタンパク遺伝子がコードされた哺乳類系の発現プラスミドを用いて、プリオン持続感染細胞に発現させMHM2由来の異常プリオンタンパクの合成に対するインターフェロン刺激遺伝子の影響について検討した。結果として、複数のインターフェロン刺激遺伝子にて、異常プリオンタンパクの産生が優位に阻害されることを確認した。これまでにI型インターフェロンの細胞へのシグナル興奮によって、プリオン感染を抑制することが示唆される結果を得ていることから、I型インターフェロン受容体のアゴニストとなる新規化合物を探索している。I型インターフェロン受容体の結晶構造解析から新規創薬開発を試みるため、そのリコンビナントの作成、精製などの検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、1) I型インターフェロンに着目したプリオン抑制メカニズムの異常PrP分解機構を含めた詳細な解析、2) I型インターフェロンシグナル経路を視点としたプリオン病薬の開発の基盤構築の遂行を目的としており、特に2022年度は、インターフェロン刺激遺伝子のクローニングから、そのタンパク発現確認、異常型プリオンタンパクの発現に対する影響について検証した。さらに、創薬開発の足がかりとして、I型インターフェロン受容体のタンパク結晶解析のためのリコンビナントタンパクを作成に従事しているが、十分な結果は得られていないため、今後も継続して遂行する必要がある。プリオンの感染実験などは、異常型プリオンタンパクの発現解析に時間を要することや、感染病原体であることから基本的に実験を従事する環境に制限があるため、順調に研究を遂行するにも一般的な感染症研究に比べ時間を要する場合がある。その中でも今年度は特に大きなトラブルは無かった。現在も、モデル細胞を用いた実験などのI型インターフェロン受容体を刺激する実験系における生化学的検討や分子生物学的検討の実験なども順調に遂行していることに加え、研究協力者とも密な連絡を取り、研究状況の共有を行っているなど、今後の実験計画にも問題ないことから、総合的には、おおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して、1) I型インターフェロンに着目したプリオン抑制メカニズムの異常PrP分解機構を含めた詳細な解析、2) I型インターフェロンシグナル経路を視点としたプリオン病薬の開発の基盤構築の遂行を目的とする。そのために、昨年度からの研究を引き継ぎ、I型インターフェロンの細胞内シグナル伝達の関与やI型インターフェロンの下流の遺伝子におけるプリオン感染に対する影響を評価する。そのためには、異常プリオンタンパクを発現した培養細胞を用いた検討を主体にし、様々なインターフェロン刺激遺伝子発現させた際の影響について生化学的、分子生物学的手法を用いた解析を行う。また、低分子化合物の開発や、その評価としてプリオン感染モデル動物やEx vivoプリオン感染モデル細胞の実験系における解析を行う。具体的には、正常プリオンタンパクを発現し、病原体プリオンの感染後、異常プリオンタンパクを発現しうるインターフェロン刺激遺伝子を恒常的に発現する細胞を樹立し、プリオン感染に対する抵抗性の評価を行う。そこで、特定のインターフェロン刺激遺伝子を絞り、プリオン感染実験やリコンビナントを用いた結合実験などの検討を行う。創薬開発においても研究協力者との連携を図り、リード化合物となる分子を創出することで効率よく計画を遂行していくことに従事する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)