モデル動物とiPS細胞を用いた心臓前駆細胞発生制御による予防医学的基礎研究
Project/Area Number |
22H03045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山岸 敬幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40255500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古道 一樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10338105)
内田 敬子 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 准教授 (50286522)
石崎 怜奈 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70528299)
湯浅 慎介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90398628)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子 / 循環器・高血圧 / 発現制御 / シグナル伝達 / 多因子遺伝 / 総動脈幹症 / Tbx1 / Tbx20 |
Outline of Research at the Start |
先天性心疾患の主要な成因である多因子遺伝による発症機構の解明と新規発症予防・治療法の開発を目指し、正常な心臓発生過程および先天性心疾患の発症機序に遺伝因子と環境因子がいかに寄与するか、臨床と基礎、ヒトと実験動物の両面からアプローチし、分子基盤を解明する。先天性心疾患のうち特に臨床上難治性の心臓流出路疾患と心室異常に着目し、遺伝因子として複数の疾患家系を対象とした全エキソーム遺伝子解析で検出された遺伝子バリアントおよび環境因子として葉酸を筆頭に化合物ライブラリーから絞った候補因子に対し、ヒトiPS細胞と当研究室独自の疾患モデルマウスで検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経堤細胞系譜が特異的にGFPを発現するマウスとTbx1発現低下マウスを交配し、妊娠母体に妊娠(胎齢:E)7.5, 8.5, 9.5日の3回、葉酸を腹腔内注射した(葉酸群)。Vehicle群には葉酸の溶媒である重炭酸を腹腔内注射した。心臓表現型をVehicle群と葉酸群で比較したところ、葉酸群で総動脈幹症の病型がVan Praagh分類type A2からtype A1に軽症化し、E10.5の流出路でGFP陽性の間葉系細胞数が有意に増加していた。Vehicle群では左第6咽頭弓動脈が低形成であるのに対し、葉酸群では改善しており、より多くのGFP陽性の神経堤細胞が咽頭弓動脈周囲に遊走して層を形成していた。Vehicle群では神経管背側から遊走した神経堤細胞が耳胞周囲に異常な集塊を形成し、神経マーカーHu陽性細胞に分化していることが確認された一方、葉酸群ではこの異常な細胞集塊が縮小していた。以上から、Tbx1発現低下マウスでは正常に遊走できない神経堤細胞が細胞集塊を形成して異所性に神経細胞に分化してしまうため、咽頭弓と流出路に到達する神経堤細胞が低下して総動脈幹症をきたすことが明らかになり、葉酸投与により神経堤細胞の神経細胞への異所性分化が抑制されて心臓表現型が軽症化することが示唆された。さらに、E10.5胎仔の心臓・咽頭弓組織を摘出してsingle cell RNA-seqを行った。Vehicle群と比較して葉酸群ではNotchレセプターとその下流遺伝子の発現が増加していた。Notchレセプターの活性化を示すNotch1細胞内ドメイン(N1ICD)の免疫染色で、葉酸群では第6咽頭弓動脈周囲のGFP陽性の神経堤細胞でN1ICDの発現が増加していた。以上より、葉酸投与によるTbx1発現低下マウスの心臓表現型の軽症化には、Notchシグナルの活性化が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、2022年度の研究実績の概要に記載の通り、当初の研究計画のうち、①葉酸による先天性心疾患軽症化の解析、1) 葉酸による総動脈幹症の軽症化の再現、2) 葉酸のTbx1neo/neoマウスに対する作用の検討、②心臓神経堤細胞の発生の可視化、1) P0-Cre::CAG-CAT-EGFPマウスの交配、2) P0-Cre::CAG-CAT-EGFPマウス解析法の改良、③葉酸の心臓神経堤細胞に対する作用機序の解明、1) 葉酸投与Tbx1neo/neoマウス胚の分子的解析まで進み、2) iPS細胞から誘導した心臓神経堤細胞の分子的解析について、ヒトiPS細胞から神経堤様細胞(iNCLC)を誘導する分化系(Nature 2010)の確立およびマウス胎仔in vivoから神経堤細胞を摘出することに成功したため、この細胞を用いてsingle cell RNA-seq解析で、葉酸添加による心臓神経堤細胞の制御に関与する分子およびエピジェネティック作用を解明した。 2023年度以降、以下の残りの研究計画について進める。④ヒト先天性心疾患を再現し心臓神経堤細胞の挙動を可視化するモデルマウスの作製、1) 完全大血管転位症モデルマウスの作製、2) 心室中隔欠損症モデルマウスの作製、⑤先天性心疾患モデルマウスにおける心臓神経堤細胞異常の分子機構の解明、⑥天然化合物ライブラリーを用いた心疾患の発症ないし重症化を予防する因子の同定
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Strategy for Future Research Activity |
Tbx1発現低下マウスでは、神経堤細胞は背側大動脈周囲まで遊走すると神経細胞に分化し集塊を形成するため、咽頭弓動脈周囲と流出路まで到達する細胞は少なく、流出路中隔が形成されない総動脈幹症を発症することが明らかになった。葉酸を投与することにより、Notchシグナルが亢進し、神経堤細胞が多能性を維持しやすくなり、神経細胞への分化も阻害され、神経堤細胞がより多く咽頭弓動脈周囲まで遊走し、結果として流出路に到達する細胞が増加し、流出路中隔が一部形成されて総動脈幹症の表現型が改善する。本研究で今後さらに葉酸による遺伝子発現変化のメカニズムを明らかにする必要がある。葉酸はDNAメチル化に関与する栄養素であることに着目し、上記Vehicle群と葉酸群についてATAC-seqを行い、クロマチン構造の変化が起きているかを確認する。加えて特定のDNA領域のメチル化を特異的に定量することにより、葉酸によるメチル化への影響を解析する。また、葉酸が生化学的に母体と胎仔にどのような影響を与えたかを明らかにするため、メタボローム解析を行い、葉酸投与によりどのような下流化合物量が変化するかを定量化する。 さらに2023年度以降、以下の残りの研究計画について進める。 ヒト先天性心疾患を再現し心臓神経堤細胞の挙動を可視化するモデルマウスの作製および1)先天性心疾患モデルマウスにおける心臓神経堤細胞異常の分子機構の解明:妊娠母体への葉酸過剰投与胚に観察された先天性心疾患およびTbx20の遺伝子改変マウスに観察された心室中隔欠損症において、各疾患発症に関与する心臓神経堤細胞の分子機構を解明する。 2)天然化合物ライブラリーを用いた心疾患の発症ないし重症化を予防する因子の同定:神経堤細胞を制御する可能性のある因子について、人体に安全な2840種の天然化合物を含むライブラリーによりスクリーニングする。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Effect of procedural volume on the outcomes of congenital heart surgery in Japan2023
Author(s)
Naoki Yoshimura , Yasutaka Hirata , Ryo Inuzuka , Hisateru Tachimori , Akinori Hirano , Takahisa Sakurai , Shuichi Shiraishi , Hikoro Matsui , Mamoru Ayusawa , Toshihide Nakano , Shingo Kasahara , Yuji Hiramatsu , Masaaki Yamagishi , Hiroaki Miyata , Hiroyuki Yamagishi , Kisaburo Sakamoto.
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Journal Title
J Thorac Cardiovasc Surg
Volume: 4
Issue: 4
Pages: 1541-1550
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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