認知機能低下に起因する二足行動の転倒リスク増加の脳内神経生理機序
Project/Area Number |
22H03495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
望月 圭 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50779931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中陦 克己 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60270485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Research at the Start |
考えごとに夢中になるあまり、うっかり転びそうになる。誰しも似た経験はあろうが、その生理学的機序はよくわかっていない。そもそも二足での立位や歩行(二足行動)は、極めて複雑な身体運動である。認知負荷や認知機能低下で脳の処理リソースが圧迫されれば、身体制御が疎かになり、最悪、転倒につながるのは当然ともいえる。実際、認知機能の低下による認知症の高齢者の転倒リスク増大は、高齢化社会の日本が抱える社会的問題である。本研究では、二足行動の実験動物モデルを確立し、薬理学的介入や生理学的記録を行なうことで、認知機能と転倒リスクの因果関係の詳細を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
認知機能低下による転倒リスクの増加は、運動器症候群(「ロコモ」)の大きな要因のひとつだと考えられる。しかし、脳内の如何なる活動変化が、どのような運動学的変容を通じて転倒リスクを増加させるかはわかっていない。そこで本研究では、無拘束サル起立・歩行課題パラダイムを用いて、ヒトと相同な二足行動の実験動物モデルを確立したうえで、行動薬理学的な介入実験と、電気生理学的な大脳皮質感覚運動関連領野からの計測により、認知機能低下に起因した転倒リスク増大の神経生理学的機序を明らかにすることを目的とする。 研究1年度目である2022年度は、まずサルにおける二足行動の動物実験モデル確立するため、ニホンザルの馴化および行動訓練を中心として研究を遂行した。実験は、二重に逃走防止措置を施したシールドルーム内でサルを完全無拘束で解放し、実験者も同スペースに入って実施した。このために、実験個体となるサルは長期間をかけて段階的に実験者および実験空間に馴化し、無拘束状態でも充分ハンドリングが可能となるよう訓練を行なった。この個体において、サルに床反力計上での座位での静止、起立、立位での静止、さらに歩行開始動作を訓練し、基本的な課題の遂行までは達成できた。これに加え、サルの歩行動作の運動学的解析を可能とするため、床上およびトレッドミル上における四足および二足での継続した歩行動作と、四足-二足間の姿勢変換動作についても訓練を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画調書に記載した計画に則り、2022年度はサル個体の馴化および行動訓練を重点的に遂行した。その結果、実験個体は実験者および実験空間に充分に馴化でき、無拘束で解放しても、実験者が問題なく課題遂行の指示や身体的接触ができるようになった。また、こうした実験に必要となる移送ケージへの出入りや、モンキーチェア等への保定および保定からの解除などの操作についても、リードなどの保定具を用いることなく、サルにストレスを与えずに実施できるようになった。ニホンザルにおけるこのようなレベルでの馴化は、認知神経科学研究における一般的な動物馴化のレベルと比して極めて高く、本研究のために不可欠となる無拘束でのサル行動実験系の確立が達成できたことを意味している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の行動訓練により、当初予定した行動実験系の確立が達成された。次年度は、当該個体における神経生理学的計測系の確立をまず優先し、これが達成され次第、筋電図計測とあわせた神経生理・運動生理学的データの取得に着手する予定である。またこれと並行して、2頭目のサル個体の馴化および行動実験訓練を行ない、研究期間全体で2個体からのデータ収集に基づく成果創出が達成できるよう研究を実施する。前述のとおり、実験者や実験空間に対する実験個体の高度な馴化は、本研究の成功にとって不可欠である。しかしながらこの過程の成功の可否は、サル個体の性格などの個体差の影響を極めて大きく受け、必ずしも実験者側の思い通りに進むとは限らない。そのため次年度以降も、サルの馴化のプロセスには引き続き比較的大きなエフォートをかけ、これとの兼ね合いにおいて他のデータ収集の過程を進めることで、実験動物に過剰な負荷やストレスなどを与えないよう注意して研究を推進する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)