Integrated Statistical Approach for Quantum Thermodynamics of Precision
Project/Area Number |
22H03659
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61040:Soft computing-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 禎彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20512354)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
|
Keywords | 量子推定 / 量子情報 / 量子確率過程 / 不確定性関係 |
Outline of Research at the Start |
熱力学不確定性関係は「熱力学コスト」と「精度」に対する不等式で,高い精度を達成するには高い熱力学コストが必要であることを示している.このようなコストと精度の関係は,量子熱機関や量子計算においても注目されている.しかし,古典系と比べて解析計算が難しい点や,量子系の熱力学コストが明確ではないことから,量子系において熱力学不確定性関係は明らかとなっていない.本研究課題では,機械学習によるデータ解析によって関数形を推定し,この推定結果に基づいて統計的推定理論によって量子熱力学不確定性関係を導出する.さらに,相転移点の解析により,どのような条件で量子性による精度向上が可能であるかを明らかにする.
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では,情報不等式によって,量子熱力学不確定性関係を新たな視点で解明する予定であった.2022年度では,Hellinger距離不等式との関連では,Loschmidt echoと呼ばれる量子系における不可逆性を表す量と精度の関係を明らかにした.この成果はPhysical Review E誌に採択された.特に,First passage timeと呼ばれる量子確率過程に対する量子熱力学不確定性関係を初めて導出している.また,熱力学不確定性関係と速度限界の関係については,エントロピー生成と動的活性の間の関係を明らかにした.エントロピー生成と動的活性は熱力学において重要な物理量となり,速度限界や熱力学不確定性関係で中心的役割を担う.この二つを統合し,統一的な不等式を導出し,Journal of Physics Aに採録された.また,計算物理で良く用いられるサンプリング手法を,非平衡熱力学の知見を用いることで改良した手法を提案した.具体的には,従来手法では確率的な方法を用いていなのに対して,決定論的な方程式に従うサンプリング手法を提案している.この論文はPhysical Review Eに採録されている.古典的な熱力学のみならず,相対論的量子力学におけるエントロピーに関する関係式も導出している.この研究では,Cavityと呼ばれる相鏡を加速させるシチュエーションにおいて,熱力学と同様の現象が起き,エントロピー生成が定義できることを明らかにした.この論文はPhysical Review Dに採録されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった,量子熱力学不確定性関係と統計的推定の関係について明らかにすることができ,論文誌に発表できた.また,当初想定していなかった点として,相対論的量子力学におけるエントロピー生成の関係式を導出することができた.これらを含めて,2022年度は査読付き論文誌に合計4報採択された.これらのことから,順調に進展していると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては,さらなる統計的推定理論の適用や,量子推定理論を非平衡熱力学に適用することを考えている.具体的には,量子状態の幾何的な性質に基づき,量子熱力学不確定性関係を導出することを考えている..特に,量子系における熱力学不確定性関係はまだ研究がほとんど進んでいない分野である.現在ある研究では特定のケースによって示されているが,幾何的性質を用いることで,一般的な系で成立する関係式を導出することができると考えている.
|
Report
(1 results)
Research Products
(10 results)