Project/Area Number |
22H04098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
1180:Education on school subjects, primary/secondary education-related
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
NAGURA Masami 奈良教育大学, 理科教育講座, 特任准教授
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥450,000 (Direct Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥450,000 (Direct Cost: ¥450,000)
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Keywords | 生物の共通性 / 生物の定義 / 生物と無生物の相違点 / 生物の観察と分類の仕方 / パフォーマンス評価 / ルーブリック / 素朴生物学(誤概念) / 生命領域カリキュラム / 生物の定義(共通性) |
Outline of Research at the Start |
生物学上の概念は擬人化されて解釈され,生物は「優れた者へと進化する」や「強い者が生き残る」などの誤概念は,優生学や社会変革などの論拠に援用されてきた。すなわち,このような誤概念が科学的進化概念に変容しうるカリキュラム開発が求められているといえる。これまでに,中学校「生命」領域において,生物多様性と階層性,生物学の統一的理解による科学的概念の形成に資する授業実践と検証を行ってきた。さらに推し進めて,初等から高等教育に至る「生命」領域における校種横断的なカリキュラムの再編と統合をめざす。例えば,生物と無生物の違いなど生命の本質に関わるカリキュラムを開発し,その検証結果から新たな提言を行う。
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Outline of Final Research Achievements |
本研究の目的は,「生命」を柱とする領域のカリキュラムを,進化概念によって統合しようとする試みである。そこで,令和4年5月に大阪府の公立中学校において,生物と無生物の区別に関する設問や,生物の共通性(代謝・適応・遺伝)を到達目標においたパフォーマンス課題を中心に据えたカリキュラムを,中学校第1学年「生命」領域において実施した。この授業実践における質問紙調査の統計的分析,パフォーマンス課題の回答結果による質的分析などから,生物の共通性に関する概念形成や誤概念の修正には,真正の評価が重要になるという知見が浮き彫りになった。この成果は,日本科学教育学会誌「科学教育研究」に令和5年6月に掲載された。
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Academic Significance and Societal Importance of the Research Achievements |
TIMSS 2019の結果において,小学校第4学年理科の「生物と無生物」を区別する出題の正答率が,国際平均より低いことが指摘された。生物概念に関する出題への正答率が低いことは以前から指摘されていた(TIMSS2007;2011)。「生物と無生物,動物と植物」を区別する課題の正答率が低いのは,我が国の教育課程にはTIMSSが求める生物概念の育成につながりにくい要因が潜んでいることを指摘する報告がある。本研究におけるパフォーマンス評価中心のカリキュラムでは,生物の共通性に関する概念形成を促すことが明らかとなった。本研究におけるこのような成果は,我が国の生物教育に寄与する可能性を示唆するものである。
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