Project/Area Number |
22H04938
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section B
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芳村 圭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50376638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三津間 康幸 関西学院大学, 文学部, 准教授 (00568280)
岡崎 淳史 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (10790842)
田上 雅浩 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 研究官 (20735550)
庄 建治朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40283478)
市野 美夏 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 特任助教 (40376968)
新田 友子 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (50754652)
松本 淳 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (80165894)
八代 尚 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (80451508)
平野 淳平 帝京大学, 文学部, 准教授 (80567503)
諫早 庸一 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 特任准教授 (90831397)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥193,440,000 (Direct Cost: ¥148,800,000、Indirect Cost: ¥44,640,000)
Fiscal Year 2024: ¥44,330,000 (Direct Cost: ¥34,100,000、Indirect Cost: ¥10,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥33,930,000 (Direct Cost: ¥26,100,000、Indirect Cost: ¥7,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥47,320,000 (Direct Cost: ¥36,400,000、Indirect Cost: ¥10,920,000)
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Keywords | ミレニアム大気再解析 / 古天気データ同化 / 同位体プロキシ / 社会変動への気候影響 / 文理融合 |
Outline of Research at the Start |
これまでに申請者らが開発してきた、気候代替情報と古文書天候記録で気候モデルを拘束するためのデータ同化手法を駆使し、世界初の過去1000年間の気候・気象を再現した大規模データセットを創出する。そのデータセットについて、新たな信号処理解析手法を導入し地球物理学的・歴史学的観点から十分検証した後、「過去1000年間の歴史の中で、気候・気象の変動は人間社会にどのような影響を与えてきたのか、または与えてこなかったか」という問いに対し、気候変化が社会変化に至るまでの複雑な要因や、それらの時空間影響範囲・連続性を考慮した、歴史と気候との因果関係に関する定量的な解析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
・複数の水同位体大気大循環モデルによる水同位体分布を、観測された降水同位体比・水蒸気同位体比と比較し、どのモデルが、どのような設定で最高性能を得られるのか、詳細な検討を行った。その結果、IsoGSMをERA5で動かすのが一番性能が良いことが判明した。加えて、水同位体過程を導入した全球非静力学モデルNICAM-WISOによる開発を行った。開発後、現在気候を対象とした実験を行い、その実験で見られたモデルのバイアスについて整理した。また、長期(1000年間)の気候実験を試験的に行い、モデルが長期的に安定に計算できることを確かめた。 ・歴史天候データベース(HWDB)をはじめとするデータ整備を進めた。また、HWDBの天気記録を用いて、1813-1818年の夏季の同化実験を行った。1815年のタンボラ山の噴火による1816年の「冷夏」現象を確認し、同年における梅雨時期における降水、気圧の推定結果の検証も行った。さらに、歴史天候データベースの整備に向けた方針(欠測値処理・データフォーマット変換等)について検討した。また、従前の長期再解析には使用されていない19 世紀後半におけるオランダ海軍船の航海日誌についての情報を収集し、フランクフルトで開催された東アジア科学史学会において研究成果を報告した。 ・古気候データが得にくい西アジアについて、1270~80年代のバグダード地方の寒冷化を明確に伝えるアラビア語年代記『あらゆる出来事』を読解し、その文献データがアルプスの年輪データと整合することを、本科研共同研究者の中塚との共同研究で明らかにした。さらに、2022年8月に、大型(直径128cm;1千万分の1スケール)のデジタル地球儀「スフィア」を東大柏キャンパスに設置し、本研究の成果の可視化及び教育・アウトリーチに活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究は順調に進捗し、それぞれのテーマにおいて複数の論文発表やプレスリリースにつながるなど、期待したとおりの成果が上がってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
・ミレニアム再解析プロダクト創出班では、水同位体大気モデルの比較を進めるとともに、水と水同位体の収支解析を行い、モデル間の違いの原因に迫る。既存のデータ同化を用いた古気候復元プロダクトの手法を精査し、それぞれの特徴を整理するとともに復元に有効な技術の抽出を行う。加えてNICAM-WISOを用いた長期気候実験を実施するとともに、水同位体情報をデータ同化できるよう、オンラインデータ同化システムの開発に着手していく。 ・古天気解析及びプロダクト検証班では、古天気データ同化を用いた気候復元結果の検証を進めるとともに、復元対象範囲を時空間的に拡大するため、データ同化の手法を改善していく。また、日記に記載されている「雨」・「雪」記載の利用方法について検討していく。加えて、手書き観測原簿のデジタル化を進めるとともに、日記に記載されている天気が具体的にどのような気象現象を反映しているのかを系統的に探索する手法について検討する。さらに現在気候下でのアジアモンスーン変動に関する研究を進めると共に、長期再解析の入力データとしてのオランダ海軍の航海日誌資料についての検討を進める。 ・歴史と気候の関係性解明班では、「14世紀の危機」をこれまでのヨーロッパ中心的な見方ではなく、広くアフロ・ユーラシア規模で議論するために、国内外から東アジア史、西アジア史、ヨーロッパ史、古気候学、古遺伝学、情報学といった文理を問わない幅広い分野の研究者たちを招待して、国際シンポジウムを開催する。また、『バビロン天文日誌』からの気候データ抽出の作業を開始する。
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