| Project/Area Number |
22H04970
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Review Section |
Broad Section E
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| Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 将行 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (70322998)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 香里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50447512)
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| Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2025)
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| Budget Amount *help |
¥193,440,000 (Direct Cost: ¥148,800,000、Indirect Cost: ¥44,640,000)
Fiscal Year 2025: ¥37,050,000 (Direct Cost: ¥28,500,000、Indirect Cost: ¥8,550,000)
Fiscal Year 2024: ¥37,050,000 (Direct Cost: ¥28,500,000、Indirect Cost: ¥8,550,000)
Fiscal Year 2023: ¥37,050,000 (Direct Cost: ¥28,500,000、Indirect Cost: ¥8,550,000)
Fiscal Year 2022: ¥44,980,000 (Direct Cost: ¥34,600,000、Indirect Cost: ¥10,380,000)
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| Keywords | 天然物合成 / 生物活性分子 / 化合物ライブラリー / 構造活性相関 / 活性発現の分子機構 |
| Outline of Research at the Start |
現代において新規医薬品に求められている生物活性制御法は多岐にわたり、科学の革新的な進歩が必要である。分子量が500を超え官能基が密集した巨大複雑天然物は、一般的な医薬品よりも強力かつ特異な生物活性を有するため、未開拓創薬資源として最重要化合物群である。しかし、自然界からの単離、発酵や全合成による調達が困難であるため、有効活用は不可能であった。我々は、天然物合成化学・分析化学・計算化学・ナノサイエンスを分野融合し、全合成、類縁体創出、超微量構造決定および活性向上・新機能付与を同時推進する。本研究によって、ペニシリンの発見以来連綿と続く天然物創薬を刷新し、革新的な機能分子を創造する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
我々は、(1)分子構築、(2)機能向上、(3)分子解析および(4)機能創造の4項目に課題を分割し、多角的かつ総合的に研究を推進している。 (1) ユーフォルビアロイドA (抗炎症作用)の世界初の全合成を総35工程で達成した。本合成では、我々が独自に開発した光触媒型ラジカル的C-C結合形成反応を応用することで高度に酸素官能基化された炭素骨格を効率的に連結した。また、本分子に構造的特徴である3次元的に密集したアシル基の導入法を新たに確立した。さらに、植物由来のクロトン油からの精製および全合成の双方の方法によって得られるホルボールから、総7工程の変換によりクロトニアノイドBの初の全合成を達成した。 (2) エフラペプチンC (抗がん活性)の6種類のメチル化人工類縁体を設計し、固相反応を利用した効率的合成と評価により、巨大複雑天然物の抗がん活性と分解耐性の向上を実現した。 (3) エフラペプチンCのメチル化による配座特性の変化を分子動力学シミュレーションで解析し、活性向上に有効な導入位置、立体化学を予測する方法を提案した。また、OSW-1 (抗がん活性)の分子解析の結果、がん細胞はゴルジストレス応答経路の活性化によって、ホスファチジルイノシトール4リン酸をゴルジ体膜上に異常蓄積し、細胞死を誘導することを初めて見出した。 (4) 従来求電子基は非選択的なタンパク質ラベル化剤としてアフィニティーラベリングに不適だと考えられていた。しかし、金ナノ粒子上に置換トリアジン基を導入したプローブでは、標的タンパク質表面に偏在する極性残基を高効率的に架橋できることを見出した。また、複数種類の求電子性金ナノ粒子プローブを組み合わせ、多変量解析により標的タンパク質を識別する新規手法を開発した。さらに、タンパク質分解誘導タグであるアダマンチル基修飾した金ナノ粒子を調達し、標的タンパク質の分解誘導に成功した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2024年度は、10報の学術論文を出版し、24回の招待講演、41回の一般講演を行った。これらの研究成果は国内外から高い注目と評価を得ている。特に項目(1)-(3)において、想定を超える研究の進展があった。 (1) 本提案で標的としている巨大複雑天然物群に属するユーフォルビアロイドAおよびクロトニアノイドBの全合成を実現した。達成した巨大複雑天然物の全合成は、現在の有機分子構築法よりも優位性を有し、巨大複雑天然物の合成の単純化および項目(2)の網羅的全合成の迅速化に寄与する。研究計画調書に記載の類縁体を凌駕する構造複雑性をもつ天然物の全合成に成功しており、当初の目標を超える研究の進展があった。 (2) エフラペプチン類を高効率的に供給する固相全合成法を確立した。本合成法を応用して、天然物よりも優れた生物活性と分解耐性を示す類縁体を創出した。本成果により、低分子や環状化合物に比して生物活性の制御が困難と考えられてきた柔軟な鎖状ペプチド系天然物の創薬シード化合物としての潜在力を世界に先駆けて示した。そのため、項目(2)では天然物創薬としての想定を超える研究の進展を果たした。 (3) 鎖状ペプチド系天然物の柔軟な配座特性を、最小の炭化水素基であるメチル基によって制御するための分子動力学シミュレーション法を提案した。また、巨大複雑天然物の未知の作用を明らかにし、生物活性の創薬応用への可能性を示した。鎖状ペプチド系天然物の創薬応用や、がん細胞におけるオルガネラ機能制御と細胞死誘導を実現する新たな指針となるため、想定を超える研究の進展があったといえる。 (4) 新規な反応性を示す求電子基、抗がん薬やタンパク質分解誘導タグを、金ナノ粒子に修飾したプローブを種々合成して天然物の高機能化のための基盤を構築し、標的タンパク質の分解誘導を実現した。そのため順調に研究が進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究では4項目に課題を分割し、進化的に選択され、優れた生物活性をもつ巨大複雑天然物を、さらに優れた化合物・機能分子へとアップグレードする。 (1) 我々は、創薬シード化合物として有望な10個以上の巨大複雑天然物を標的化合物としている。前年度は、巨大複雑天然物であるユーフォルビアロイドAおよびクロトニアノイドBの全合成を達成した。本年度は、糖からの革新的な炭素鎖伸長法・分岐法を開発し、ジヒドロ-β-アガロフラン類(抗免疫活性・抗HIV活性)およびクラジェリン類(抗がん活性)を全合成する。 (2) アシル基の構造変換によるチグリアンジテルペン類の機能向上を目的として、固相合成の方法論を応用した新規合成戦略を構築し、アシル基をランダム改変した類縁体群を網羅合成する。また、ハイスループット活性評価を多角的に行い、多様な生物活性を持つ類縁体を創出する。これにより、チグリアンジテルペンから、より優れた抗がん薬やHIV感染症薬の創薬シード化合物を得る。 (3) 前年度は、OSW-1の分子解析によって天然物の未知の作用を示した。本年度は、分子解析の対象とする巨大複雑天然物を拡大し、各天然物の示す特異な機能や物理化学特性を司る分子機構の解明を目指す。 (4) 巨大複雑天然物であるタキソールや抗がん薬、タンパク質分解誘導タグであるアダマンチル基や、タンパク質と効率的な架橋する置換トリアジン基、蛍光ラベルなどを、金ナノ粒子に自在に表面修飾する方法を確立した。また細胞内へ導入し、標的タンパク質の同定や分解が可能であることを示した。様々な巨大複雑天然物と種々の機能性部位と組み合わせた修飾した金ナノ粒子を網羅的に作成し、生物機能のスクリーニングを実施することで、天然物のみでは実現不可能な新しい機能を創造する。
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| Assessment Rating |
Interim Assessment
A: 順調に研究が進展しており、期待どおりの成果が見込まれる
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