Project/Area Number |
22K00006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
増山 浩人 電気通信大学, 情報理工学域, 准教授 (30733331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | カント / バウムガルテン / ライプニッツ / マイアー / 自然神学 / 『純粋理性批判』 / 神の存在証明 / 形而上学 |
Outline of Research at the Start |
ライプニッツは「神が存在しなければ、学問の対象は可能ではないだろう」と主張していた。本研究では、このライプニッツの神による学の根拠づけ理論が18世紀ドイツにおいて受容されていったプロセスを当時の一次文献における直接引用を手がかりに明らかにする。この作業によって、本研究は、①カントがライプニッツの神による学の根拠づけ理論をライプニッツ本人からではなくバウムガルテン経由で受容していたこと、②カントがライプニッツの神による学の根拠づけ理論との長年の対決を通じて自らの理念論を提唱するに至ったこと、の二点を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究を応募した後に、報告者は複数の学会・研究会からの推薦・依頼を受け、特定テーマの論文執筆・論集編纂を行うことになった。そこで、2022年度はこの依頼との適合性が高い2024年度以降の研究計画を前倒しで実施した。その成果は以下の通りである。 (1)1760年代後半から1780年代初頭までにカントがマイアーの『論理学綱要』とバウムガルテンの『形而上学』第四版に書き込んだ覚書を精査した。その結果、a.1760年代後半から1770年代のカントが「「神は存在する」という命題は根源的仮説である」という見解を支持していたこと、b.この見解が神の存在証明を支持していた1760年代までの立場と『純粋理性批判』におけるカントの理念論の中間段階と位置付けられること、c.ライプニッツ的な「可能性にもとづく神の存在証明」と当時の論理学における仮説概念の双方と対決することでカントがこの見解に到達したこと、の三点を裏付けた。 (2)『純粋理性批判』と1780年代のカントの形而上学講義録を精査し、「カントの理念論は人間の理性による神学の根拠づけ理論である」という本研究の仮説を裏付けることができた。さらに、その過程で、a.カントの学の根拠づけ理論は、自然科学と倫理学の双方をライプニッツとバウムガルテンの理論とは異なる仕方で根拠づける理論であること、b. a.が「体系的連関にある純粋理性に基づく(真ならびに真らしい)哲学的認識の全体」というカントの形而上学定義の独自性を明らかにするために決定的に重要であること、の二点を新たに突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画実施の順序は入れ替わってしまったものの、文献調査によって当初予定していたより多くの成果を得ることができた。確かに、今年度は学会発表と論文投稿を行うことができなかった。その一因は2022年度の前期までオンライン授業の課題のフィードバックにかなりの時間を取られていたことにある。しかし、コロナ禍が一段落したため、2023年度以降は研究時間が増加することが予想される。そのため、この遅れは十分挽回可能である。以上の理由から、現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度の成果を論文の形にまとめ、推薦・依頼を受けた学会と研究会で発表する。その上で、当初予定していたバウムガルテンのライプニッツ哲学受容に関する文献調査も開始する。
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