Project/Area Number |
22K00030
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
西村 正秀 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20452229)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
|
Keywords | 信念の地図理論 / 信念体系の断片化 / 合理性 / 徳認識論 / 環境合理性 / 概念 / 可能世界的表象内容 / 断片化された信念体系 / 認知地図理論 / 認識的非難 / 信念 / コネクショニズム / 深層学習 / ベイズ主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、認知状態の代表格である信念の本性を、信念の認知地図理論とその射程を批判的に検討することによって明らかにすることを試みる。具体的には、(a)不整合な信念体系の存在など、信念の認知地図理論が抱える諸問題を解消する、(b)認知地図理論がどのような概念理論と結びつくのかを明らかにする、(c)認知地図理論とコネクショニズムのアップデート版である深層学習の関係を精査するという三つの課題に取り組む。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)一年目に残されていた課題である「信念の認知地図理論(以下、地図理論)と合理性」と、(2)二年目の課題である「地図理論における概念のあり方の検討」に取り組んだ。 (1)地図理論で信念体系の合理性を適切に説明する一つの方法は、信念体系の断片化を導入することである。C. Borgoniによれば、断片化された信念体系の合理性には、各断片内の整合性と証拠に対する応答性という二つの基準が必要となる。本研究では、(i)彼女の提案は証拠なしに信念を持つ主体の非合理性を適切に扱えないこと、(ii)その扱いは規範的反駁子さらに「認識的に責任のある行為者」という徳認識論的概念を導入すれば可能となること、(iii)彼女の提案は環境合理性の概念を使って補強しうることを論じた。これは断片化された信念体系の合理性をより十全に説明する試みであり、その成果の一部は2024年2月にイリノイ大学シカゴ校にて口頭発表された。 (2)地図理論では、概念は言語的構造を持った表象内容の構成要素としては措定されない。信念体系の断片化と地図理論を組み合わせるS.Yalcinは、概念を主題や質問に応じて区切られた可能世界の集合に反応する傾向性や能力として特徴づけている。だが、概念を能力として同定する立場には、能力の基盤となる心的プロセスをどう説明するのかという問題がある。本研究ではこの問題を、(i)可能世界的表象内容が心的プロセスをどこまで説明できるのかという問題と、(ii)心理学では標準的に概念は表象として措定されるが、Yalcinによる説明は心理学の成果と整合的なのかという問題に分けて、現在その解決を試みている。また、地図理論には可能世界的表象内容ではなく地図的表象の内部構造を軸とする立場(E.Campなど)もあり、概念の説明に関するYalcinの立場との異同も合わせて検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に学内業務などに多くのエフォートを割いたために大幅な遅れが生じたが、その遅れを2年目においてもまだ取り戻せていない状況であり、2年目の課題である「地図理論における概念のあり方の検討」を現在行っているところである。また、初年度に計画していた「信念内容の多元主義の検討」を地図理論における概念の検討と連動して行う計画を今年度に立てていたが、後者の検討がまだ終了していないために、前者についても結論を出すに至っていない。 合わせて、2024年2月に「地図理論と合理性」に関する研究内容をイリノイ大学シカゴ校において複数の研究者たちと討議し、口頭発表したが、その際に「証拠に対する応答性は信念体系を断片化する動機を失わせる恐れがある」、「偽なる信念を規範的論駁子として主体が持たねばならないという主張は奇妙に思われる」などの問題点が指摘されたので、現在その修正を行っている最中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であり、課題「地図理論と合理性」に関するこれまでの研究を修正して論文化するとともに、課題「地図理論における概念のあり方の検討」を早期に仕上げて、学会発表あるいは論文という形で公表したい。また、3年目の研究課題である「地図理論と新しいコネクショニズムの関係の検討」については、海外の研究者との研究打ち合わせも取り入れながら行う予定である。
|