Project/Area Number |
22K00096
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 正幸 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (90126649)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 歴史思想史 / 歴史概念 / 比較思想史 / 歴史理論 / 歴史哲学 / 史学史 / 歴史教育 |
Outline of Research at the Start |
歴史学はディシプリンである。しかし、ディシプリンとしての根幹をなす歴史理論に関する日本独自の研究は極めて少ない。
そのような状況の中で、欧米の歴史家がこれまで提出してきた歴史理論の二項対立概念である「歴史における芸術と科学」に代えて、「歴史における規範と認識」という新たな歴史理論の二項対立概念を提起し、認識の学問として発達してきた西洋の歴史学と、規範形成の学問として展開してきた伝統的東アジアの歴史学を比較検討した。
本研究は「認識方法としての歴史」と「規範形成としての歴史」という二項対立概念的視点から、歴史理論の研究を行い、「歴史とは何か」という究極の学術的問いに答えんとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は「日本型歴史教育における規範的要素と認識的要素」の研究を行った。確実で揺るぎない過去を教える東アジアの規範的歴史教育と、歴史には様々な解釈がありその解釈によって多様な過去が考えられるという西洋型の認識的歴史教育とを比較し、両者の得失を明確にした。 具体的には、日本の歴史教育における歴史年表の使用に焦点を当てて研究を遂行した。研究代表者がこれまで歴史教育の現場を研究調査した結果は、欧米の学校では歴史年表はほとんど使用されていないのに対し、東アジアの学校における歴史教育では、歴史年表が多用されている。この歴史教授法の違いを手掛かりに、規範形成型歴史教育と認識型歴史教育という視点から研究を遂行した。 本年度の研究成果は、英文論文1件、国際学会での研究発表2件、国内学会での研究発表1件の計5件である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、研究成果の一部を、英文論文として国際研究雑誌で公刊し、ロンドン大学とタリン大学で開催された国際学会で研究報告を2件行うなど、研究全般は順調であった。ただし、共編著書として2023年度中に公刊される予定であった Masayuki Sato, "East Asia and Its Tradition of Historical Thinking." が、他の著者の事情により出版が遅延しているため、「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は「日本型歴史概念が内包する認識的要素と規範的要素の解明」である。最終年度である令和6年度は、現代日本の歴史研究が、歴史理論的に拠って立つ「認識方法としての歴史」と「規範形成としての歴史」の、そもそもの起源について比較研究を行う。東アジアにおいては正史が、2000年にわたって、現在に至るまで編纂され続けている。その編纂目的は、「我欲載之空言、不如見之於行事之深切著明也。」という、司馬遷が引用する孔子のこの言葉が、東アジアにおける「規範形成としての歴史」の論拠を明示している。ところが、啓示宗教を持つ西洋文化においては、『旧約聖書』は東アジア的視点から見れば歴史書そのものであるのに、信仰の書として読まれている。なぜこのような認識行為の差異が生ずるのかについての解明する。そして、「東アジアでは人間存在を歴史によって義とするのに対して、啓示宗教を持つ西洋文化では、人間存在を神によって義とする。両文化におけるこの義認のあり方の差異が、東アジアと西洋における歴史叙述の役割や形式の違いを生じさせている」という仮説を検証し、海外の研究者との討議を経て、その成果を国際学会で発表する。
|