Project/Area Number |
22K00116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
日暮 雅夫 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70222239)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 市民社会 / ハーバーマス / ホネット / 市民運動 / 権威主義 / ブラウン / フレイザー / 新自由主義 / ドイツ批判理論 / アメリカ批判理論 / 啓蒙の弁証法 / 視覚 / 批判理論 / フランクフルト学派 / 公共圏 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ドイツ・アメリカで展開する批判的社会理論の立場から、世界的に進行する新自由主義とその帰結としての権威主義を分析し、それらに対する対応策を検討するものである。そのために、ドイツ・アメリカにおける批判的社会理論の展開を子細に分析・対比し、彼らの理論を、親密圏・市場経済圏・公共圏・日常的な政治文化等にわたる一つの総合理論的な図式にもたらすことを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
この年度においてA.ドイツ批判理論、B.アメリカ批判理論、C.それらの批判理論を総合して新しい知見を生み出すこと、は次のように進展した。 A. ドイツ批判理論 2023年5月4日にドイツ・フランクフルト大学で開催されたワークショップ「批判理論と文化的差異――ドイツと日本との対話」において、基調講演「瓦礫の中の市民社会――ハーバーマスと日本の市民社会論」を行った。そして、この英語原稿を和訳し、立命館大学紀要に掲載した。そのなかでハーバーマスの市民社会論とホネットの社会主義論の鮮明化を行った。さらに書評「ハーバーマスとホネットの理論の今日的到達点を確認する――成田大起著『「批判」の政治理論』」の準備のために、ハーバーマスとホネットの理論形成史を、再構成的批判の観点からそれぞれ分析し対比した。 B. アメリカ批判理論 『思想』(岩波書店)からの2024年9月締め切りの「フランクフルト社会研究所100周年記念号」への論文執筆依頼を受けて、W.ブラウン、N.フレイザーの新自由主義批判を検討した。ことにブラウンの「新自由主義のフランケンシュタイン」(『アメリカ批判理論』(ジェイ・日暮共編、晃洋書房、2021年所収)と、ブラウンの単著『新自由主義の廃墟で』(人文書院、2022年)とを対比し分析した。 C. 批判理論の総合 5月のフランクフルトにおけるワークショップは、日本とドイツにおける批判理論の連続性と差異を討議する場であった。日暮報告は、ハーバーマス、ホネットの市民社会論と日本における平田清明等の市民社会論を比較した上で日本の市民社会の特徴を明確化するものであった。その後の討議のなかでは、市民社会派マルクス主義とA.グラムシの理論との関係、日本の批判理論の独自性、日本とドイツの市民社会の比較、緊急時の政治的意思形成と常態的なそれとの関係等が取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、A.ドイツ批判理論の分析、B.アメリカ批判理論の分析、C.両者の総合による新しい知見の形成、の三領域において概ね順調に推移している。A.B.C.の各領域ごとに、研究報告、論文等の成果が上がっている。ことにC.の新しい知見は、ドイツにおけるワークショップの討議のなかで、批判理論の背景となる両国の歴史の違いを論じる中で獲得できた。 Cの新しい知見では、日暮の基調報告「瓦礫の中の市民社会――ハーバーマスと日本の市民社会論」において、ハーバーマス、ホネットの市民社会論と日本における平田清明等の市民社会論を比較した際、グラムシ的であるという開催者フォアストのコメントが寄せられた。日暮は日本の市民社会の特徴を、全体としてドイツにおけるほど活発ではないが災害時に被災者に共感するボランティア活動が活発に行われる点で、ベンヤミンの歴史哲学テーゼにおける「新しい天使」の性格と関連づけた。ワークショップ全体では、日本側の報告が単にドイツの批判理論を受容解釈するだけではなく、独自の視点を提起する段階に至っていることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初2025年度にW.ブラウンをワークショップに招聘する予定で交渉を行う。この年度は、『思想』9月掲載予定の論文「批判理論のアメリカの100年」執筆のために、ホルクハイマー、アドルノの批判理論形成、ブラウンの新自由主義批判、フレイザーの資本主義批判を検討する。M.ジェイのハーヴァード大学で開催された社会研究所100年記念シンポジウムにおける報告論文「拡張された領域におけるフランクフルト学派の歴史」を翻訳発表する。9月の経済理論学会の「オルタナティヴ社会」部会で八木報告にコメントする。この間執筆した、批判理論の視点から新自由主義・権威主義を批判する諸論文を総合し、単著とする方向で努力する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)