洋楽合奏から交響楽へ ―明治末期~昭和初期の洋楽受容史再考
Project/Area Number |
22K00133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
武石 みどり 東京音楽大学, 音楽学部, 教授 (70192630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 交響楽団 / オーケストラ / 山田耕筰 / 洋楽導入史 / 洋楽 / 宮内省楽部 / 白系ロシア人 |
Outline of Research at the Start |
これまで日本における交響楽運動は山田耕筰が牽引したものと考えられてきた。本研究は、山田が直接関わっていない演奏団体の音楽活動にも目を向けることで、日本の交響楽団創立前史の全体像を見直し、交響楽団あるいはクラシック音楽という概念がどのように成立したのかを複合的な観点から検討するものである。東京音楽学校、東洋音楽学校、明治音楽会、陸海軍軍楽隊、一般大学のオーケストラ、三越少年音楽隊、東京フィルハーモニー会管弦楽部、宮内省楽部オーケストラ、東京シムフォニー管弦団、日本交響楽協会、新交響楽団、東京の映画館の楽団等、多様な演奏団体の活動を対象に、1898年~1929年の期間について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.初の交響楽団である日本交響楽協会が定期演奏会を始めた1926年の直前、すなわち1920年から1926年までの間(大正末期)に演奏活動を行った演奏団体について、現存するプログラムを収集し、加えて雑誌・新聞記事を検索して、演奏曲目と楽団員についての情報を収集した。その結果、これまでまとまった情報がなかった宮内省楽部オーケストラ、帝国劇場管弦楽部、ドブラウチッチ指揮の東京シンフォニー管弦団、ゲルスコヴィッチ指揮の東京シンフォニー管弦団、および山田耕筰が指揮したオーケストラについて、演奏記録と楽員に関する情報を整理することができた。 2.1の結果、以下のことが判明した。a.上記各団体のうち、自ら演奏教育を行っている団体が20~30名程度の編成で演奏していたのに対して、演奏だけを目的とした団体においては45名以上の規模による交響楽団創成へ動きが現れた。b. 後者の団体においては楽員に重複が見られる。すなわち45名以上のオーケストラは多様な出自の楽士を組み合わせて編成された。c.その際に当初は宮内省楽部、帝国劇場管弦楽部のメンバーが中心となり、1925年の日露交歓交響管弦楽演奏会以降は、船の楽団出身者が中心的な役割を果たした。 3.資料収集の過程において、船の楽団で使用された春洋丸のピアノ(実物は消失)の設計図および写真を確認することができたため、このピアノの製作と使用に関係しうる補足情報を収集した。その結果、このピアノは日本楽器製造株式会社による初期のグランドピアノ(1910年、製造番号不明)であり、木象嵌仕様という大変珍しい装飾によるものであったことが判明した。1920年代の交響楽団成立に至る経緯を解明するために直接貢献するものではないが、明治末期における楽団形成とピアノ産業史が交錯する点で興味深い対象であるため、副次的な考察範囲として研究対象に加えることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年5月に所属大学の学長が急逝したことにより学長代行を拝命したため、研究に費やせる時間が大幅に少なくなった。そのため特に年度の前半は作業効率が落ちたが、デジタルアーカイブ化された資料が増加したことと関係図書館のご協力とにより、資料調査をほぼ順調に進めることができた。また、資料収集の過程において研究対象に加わった「春洋丸のピアノ」に関しては、主要情報源が静岡の地方紙(複数)であり、さらに相当量の閲覧作業が加わることとなった。これについては、紙媒体の所蔵館で閲覧することにより効率化を図りながら作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究実績のうち、1920~1926年の楽団の構成(どのような出自のメンバーがどのように組み合わされたか)については、2023年11月に開催される日本音楽学会第74回全国大会にて発表する予定である。 並行して、1920~1926年の各楽団の演奏レパートリーについての考察を進める。 また、副次的研究対象として「船の楽団のピアノ」についての資料収集を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)