Project/Area Number |
22K00153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
萩原 健 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (50409728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 愉 明治大学, 文学部, 専任講師 (00816556)
熊谷 知子 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員(客員研究員) (00968331)
稲山 玲 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (50968328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 築地小劇場 / 日本演劇 / ドイツ演劇 / ロシア演劇 |
Outline of Research at the Start |
築地小劇場(1924年設立)で展開された活動を、時空間的・ジャンル横断的に広くとらえて探究する。戯曲・演出台本・舞台写真・録画・劇評・聞き取り調査等を活用して追究を進め、構成員間で意見交換を行い、その成果を、主として国際ないし国内学会でのパネル発表および英文論文で発表する。また築地小劇場創設100年にあたる最終年度(2024年度)は、関心を寄せる国外の研究者を招いた国際シンポジウムを開催する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度上半期に計画していた英語によるパネル発表を、当初予定していた国際演劇学会(IFTR)2023年大会(7月、ガーナ、アクラ市)に代えて、ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)の2023年大会(8月、ベルギー、ゲント市)で実施した(大会開催地および研究スケジュールの点でより好都合だったため)。パネルの表題は「築地小劇場の戦間期と戦後の文脈を再考する」とし、萩原が導入と司会進行を務め、日本近代演劇の熊谷が「戦間期と戦後の築地小劇場と広島」、ロシア演劇の伊藤が「土方与志の経験から戦後新劇の社会主義リアリズム理解の可能性を探る」、日本現代演劇の稲山が「築地小劇場と新国立劇場の接点:現代演劇向けの日本初の国立劇場設立のための第二次世界大戦後の運動」という題目で発表し、それぞれの専門分野に立脚して、築地小劇場を主題とした最新の研究成果を発信した。聴衆として居合わせた、日本国外の、築地小劇場に関心を寄せながらも英語での情報に恵まれずにいた研究者たちに大いに歓迎された(後述するその後の研究活動の展開と関連)。 さらに、伊藤がガウズネル『見知らぬ日本』を翻訳刊行し、戦前に訪日したロシア人著者の築地小劇場との関わりを日本語で初めて明らかにした。また熊谷が『久保田万太郎と現代』を分担執筆し(「演劇の新と旧の間で―久保田万太郎と小山内薫」)、築地小劇場の設立者のひとりである小山内薫の、同時代日本の演劇界における立ち位置を示した。 加えて、萩原が論文「ゲーリング『海戦』(1917)のアクチュアリティーと普遍性―戦中の反戦劇、ドイツでの上演と日本での受容―」を発表し、築地小劇場の開場公演(1924)のひとつだった『海戦』の翻訳と演出が、原作に相当な手を加えていた、あるいは原作を顧みていなかったことを、またその手続きが上演時点の日本の、相当な抑圧下にあった社会を背景にしていたことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年度上半期に計画している国際シンポジウムへ招く国外の研究者として、上記、ヨーロッパ日本研究協会2023年大会でのパネル発表を聴いた研究者たちのなかから、イェーテボリ大学(スウェーデン)のマルティン・ノルデボルグ上級講師の快諾を得ることができた。同氏は、スウェーデンの劇作家ストリンドベリの作品の近代日本での受容を研究しており、築地小劇場でのストリンドベリ作品の翻訳上演は、まさに氏の中心的な関心のひとつである。すみやかに適任者を見つけられたことで、その後の研究活動は実に順調に展開した。 以降、現在までの研究活動は、日本演劇学会2024年度全国大会(6月8日・9日、明治大学駿河台キャンパス)に向けた準備を軸として進められている。各メンバーおよびノルデボルグ氏が、情報共有、および発表の準備を行なっている。加えて萩原は前出のゲーリング作『海戦』の、リーディング公演(6月7日、後述)を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の上半期にリーディング公演および国内外での研究発表を実施し、下半期に論文を作成する。 6月7日、萩原が学生たちをキャストおよびスタッフとして、『海戦』のリーディング公演を実施する(明治大学中野キャンパス)。翌日の国際シンポジウムに向けたプレイベントとして位置づけられる。 6月8日、前出のノルデボルク氏を迎えた国際シンポジウム「築地小劇場(で)の抑圧:翻訳・ジェンダー・社会制度」を、日本演劇学会2024年度全国大会のパネルセッションの枠で開催する。メンバーは萩原、ノルデボルグ、稲山で、それぞれの発表タイトルは、「ゲーリング『海戦』の日本語訳上演にみる抑圧:築地小劇場の男優版(1924)と〈理性的な変人たち〉の女優版(2023)」(萩原)、「築地小劇場でのストリンドベリ作品上演にみる抑圧:重訳を経て成立した日本語訳と上演」(ノルデボルグ)、「君主制と抑圧:築地小劇場と戦後日本の公共劇場」(稲山)である。さらに、熊谷が同大会の別のパネルセッション「築地100年~その足跡の真の姿を探る~」において、研究発表「小山内薫改作『国性爺合戦』(1928)における国劇観再考」を行なう。 また翌7月半ばには萩原が、国際演劇学会(IFTR)2024年大会(7月15~19日、フィリピン、マニラ市)において、研究発表「翻訳された悲劇の上演からわれわれは何を学び得る/得ないのか:ラインハルト・ゲーリング『海戦』(1917)の築地小劇場による上演(1924)の場合」を行なう。 秋には西洋比較演劇研究会(日本演劇学会分科会)の紀要「西洋比較演劇研究」へ、各メンバーが英語論文を投稿する(11月1日投稿期日)。内容は上記の各大会で実施した研究発表の発表原稿に基づく。紀要は年度内刊行の運びである。
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