Project/Area Number |
22K00157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
甲斐 教行 茨城大学, 教育学部, 教授 (60323193)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ルネサンス / 彫刻 / 墓碑 / 図像解釈 / カトリック / パトロネージ / 教皇 |
Outline of Research at the Start |
本研究はフィレンツェ出身の彫刻家バッチョ・バンディネッリ(1493-1560年)の前期作品の図像を対象に、その主要な委嘱主で彫刻家と深い交友関係で結ばれたクレメンス七世(ジュリオ・デ・メディチ 1478-1534年/教皇在位1523-34年)の文化的・思想的メッセージを読み解く包括的研究の一環として、バッチョの前半生の総決算である《レオ十世墓碑》と《クレメンス七世墓碑》(1541年、ローマ、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂)の新解釈をめざすものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年7月23日~9月29日、および2024年3月13日~4月2日にかけてイタリアに滞在し、研究を実施した。いずれの滞在でも、フィレンツェ美術史研究所、フィレンツェ国立中央図書館、ベレンソン研究所ヴィッラ・イ・タッティで資料収集に専念した。 また夏期滞在においては、以下のバンディネッリ作品の実地調査と撮影を実施した。フィレンツェ、サンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂バンディネッリ墓碑。フィレンツェ、サンタ・クローチェ聖堂地下祭室の《死せるキリストと天使》。フィレンツェ、パラッツォ・メディチ・リッカルディ所蔵《オルフェウス》。 その間、フィレンツェの美術史専門誌L’ARTISTAの編集担当者グリエルモ・フォンディ氏と複数回面会し、研究の方向性について助言を受けた。またフィレンツェで活動する文献学者ヴェロニカ・ヴェストリ氏と面会し、バンディネッリのパトロンであるジュリオ・デ・メディチ枢機卿(のちの教皇クレメンス七世)が登場する、人文学者ピエトロ・アルチョーニオが著した対話篇『メディチの使節』(1522年)について助言を受けた。 最終的に、ローマ、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ聖堂にバンディネッリが残した《レオ十世墓碑》《クレメンス七世墓碑》に関して、墓碑委嘱計画の当初から諸案、契約書、最終作品の記述と図像的検討に至る概要と、特に四点の小型物語場面の主題について新たな解釈を提起した日本語論文を起草した。『五浦論叢』31号に投稿申請中である。 またキケロの懐疑主義的主張がバンディネッリとその後援者クレメンス七世に共通して見出される新たな観点を提起し、それに基づいてバンディネッリの諸作品を解釈するイタリア語論文を起草した。フィレンツェの学術誌L'Artistaの査読を経て、2023年号(刊行2024年)に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
別項記載のように、《レオ十世墓碑》《クレメンス七世墓碑》の概要と物語場面の図像選択に関する新解釈を含んだ日本語論文の起草に至った点と、さらにクレメンス七世とバンディネッリの共通点としての懐疑主義的前提を新たに指摘し、イタリア・ルネサンス期の基本参照文献であったキケロに基づいてそれを裏付け、バンディネッリの諸作品に新解釈を提起したイタリア語論文の起草に至った点で、想定範囲内での一定の成果を得つつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
キケロ主義の教皇庁宮廷での受容の様態、そのフィレンツェでの広がりについて、さらに実証的検討が必要であり、本年度はその方向性を進めていく。また上記論文で触れられなかったバンディネッリの諸作品についても検討を広げていく。その過程で、イタリア語で起草したL'Artista誌のための論文に関して、日本語の論文としての再編集を進めていく。 またバンディネッリの文化圏の他の彫刻家への波及も検討対象とする。具体的には、一時バンディネッリ工房に身を置いたピエリーノ・ダ・ヴィンチについて検討を開始する。 本年度も7月~9月の夏期のイタリア滞在を中心に、上記の内容での検討を進める。
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