Project/Area Number |
22K00160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂口 愛子 (藏田愛子) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (40843024)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 植物画 / 川澄理三郎 / 植物図譜 / 写生 |
Outline of Research at the Start |
本研究では近代日本の植物画(植物写生図、図鑑、図譜、下絵等)を主な分析対象とする。明治期以降、日本植物学やその周辺分野では、野外や植物園での植物写生が盛んに行われ、植物学書や植物図鑑に掲載するための原画が数多く制作されてきた。紙に鉛筆や水彩絵具を用いて緻密に描く植物画は、学問や実用のための図としてだけでなく、絵画や画集としての性格をもち、鑑賞の対象ともされてきた。明治大正昭和期の植物写生の表現に自然科学の視点が導入された経緯を解明することにより、日本における「植物画」の展開を捕捉することを本研究の目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、昨年度に引き続き(1)明治期の植物画の継続的な調査を進めるとともに、新たに(2)川澄理三郎の画業と作品に関する調査を開始した。 (1)明治期の植物画の調査に関しては、申請者の単著『画工の近代-植物・動物・考古を描く』(2024年1月)の「第五章 小石川植物園の画工-渡部鍬太郎」において、東京大学総合研究博物館所蔵の植物画調査を進める過程で得られた知見や修正事項を反映するかたちで、明治10年代半ばから明治20年代半ばにかけて渡部鍬太郎が描いた植物画に言及した。また、2024年4月28日に大阪市立自然史博物館の特別普及講演会「自然史の描き手たち-明治期の画工について」において、本研究課題の研究成果の一部分を報告する予定である。 (2)明治大正昭和期の植物写生における描画者の関心や観察視点を探るため、川澄理三郎の作品調査に着目した。川澄理三郎(号は芳蘭)は、明治期後半に臨時台湾土地調査局技手をつとめ、大正昭和初期にはインドネシアに居住し、そこでラン科植物を熱心に描写している。1930(昭和5)年には東京博物館(現・国立科学博物館)や市立名古屋図書館(現・名古屋市図書館)において川澄の描いた熱帯蘭写生図の陳列会が開催されており、1931(昭和6)年には川澄理三郎写生蘭頒布会より『蘭譜』が刊行されている。さらに、1936(昭和11)年には台湾日日新聞の本社講堂において「熱帯蘭写生画展」が開催されている。当該年度は、千葉大学附属図書館所蔵『蘭譜』の閲覧、国立公共資訊図書館(台湾)で開催されている展覧会「蘭譜解密-茂物植物園裡的川澄理三郎畫作」(主催:国立公共資訊図書館、会期:2024年1月9日-同年12月22日)の見学、川澄理三郎の文献調査等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)東京大学所蔵植物画の調査に関しては、各図の表裏面に書き込まれた文字の解読がおおむね完了したものの、判読できない文字の解読をさらに進める必要がある。 (2)当該年度は台湾のラン科植物に関連する植物画を調査する機会があり、その過程で、大正昭和初期に川澄理三郎が数多くの植物画を描いていた点に注目することとなった。一人の画家がどのような関心や視点で植物を描いていたのかを考察するうえで、川澄理三郎の作品を具体的な分析対象とすることが適当であると判断したものの、当該年度は調査の初期段階にあり、研究成果の見通しはまだ見えないため「2: おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度は、植物学分野の専門家の助言を仰ぎながら、東京大学総合研究博物館所蔵植物画の目録作成の目処を立てたいと考えている。 美術と植物の接点に関する考察としては、川澄理三郎の画業と作品の分析を中心に研究を進めていく。大正昭和初期に洋画家や図案家が手がけた植物図譜にも目を向けながら、美術家による植物学や植物図譜への接近について考察する。 昨年度に引き続き、美術と植物学の関連を示す年表を作成する。以上の個別課題を着実に進めていきながら、「美術」の視点から近代日本の植物画の展開を考察することを目指す。
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