Project/Area Number |
22K00182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石井 祐子 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60566206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長名 大地 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 研究員 (00850900)
進藤 久乃 國學院大學, 文学部, 准教授 (40613922)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | シュルレアリスム / 展覧会 / 展覧会カタログ / アーカイブ / オブジェ / 展示空間 / テクスト空間 / 展示 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、20世紀前半のシュルレアリスム美術の展開における展覧会の機能について、展示空間と展覧会カタログ等の印刷空間からなる展覧会と、展示をめぐる言説との有機的連関から明らかにすることを目的とする。具体的には、シュルレアリスムの展覧会を印刷空間も含めて再定義し、その固有の、かつ運動全体での働きについて美術史的、文学的、ミュージアム論的アプローチを横断しつつ検討する。三年間の期間全体で、以下の三つの課題を設定する。(I)展示をめぐる言説と理念の批判的再考察、(II)展示空間と印刷空間の分析、(III)シュルレアリスム美術における展覧会の位置づけ(個別研究から総合研究へ)
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究計画に従い、シュルレアリスムの展覧会に関する具体的な事例研究を深化させた。研研究代表者の石井祐子は、9月に英仏のアーカイブで展覧会関連の一次資料調査を行い、その成果の一部を、12月に開催したシンポジウム「シュルレアリスムと展覧会:展示空間とテクスト空間のひろがり」で発表した。同シンポジウムでは、シュルレアリスム研究および近現代美術研究を牽引する鈴木雅雄氏、河本真理氏、齊藤哲也氏を招聘し、1920年代から現代に至るまでに開催されたシュルレアリスム展および関連する展覧会に関する発表を行っていただいた。総合討議では、シンポジウム参加者を含め、展示空間とテクスト空間の関係について活発な議論が行われ、多角的に考察を深めることができた。
研究分担者の進藤久乃は、前之園望氏を招いて公開研究会「第二次世界大戦直後のシュルレアリスム展」を企画・開催した。コブラグループの「時代を通じたオブジェ」展(1949)をめぐって口頭発表を行い、論文も発表している。同じく研究分担者の長名大地は、戦後日本で開催されたシュルレアリスム展を中心に、展示の再構成や再演を通じて考察を深め、様々なかたちで成果発表を行った。加えて、利根川由奈氏、松岡佳世氏、中田健太郎氏を招いて「シュルレアリスム宣言100年記念講演会」を企画実施し、自身も「東京国立近代美術館とシュルレアリスム」と題する発表を行った。研究協力者の長尾天は、ヒューストンで開催された国際学会(ISSS)でケイ・セージの作品と展示に関する口頭発表を行い、その成果を論文として公表した。
今年度はとくに、研究メンバー間以外でも、数多くの専門家と本研究課題に関する議論を深める機会を得られたことの意義が大きい。いずれの機会にも、考察を深化・拡張するにふさわしい幅広い観点が提出され、昨年度の理論的研究を具体的事例研究とともに進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【研究活動】今年度は、計7回の定例会に加え、シンポジウム(「シュルレアリスムと展覧会:展示空間とテクスト空間のひろがり」2023年12月23日、國學院大学)、公開研究会(「第二次世界大戦直後のシュルレアリスム展」、2024年2月24日、オンライン)、講演会(「シュルレアリスム宣言100年記念講演会」2024年3月17日、東京国立近代美術館講堂)等を企画・実施し、当初の計画以上に幅広く活動した。とくに、研究メンバー以外にも多くの研究者を招いて専門的な議論を複数回行うことで、本研究課題のテーマについて多角的に議論を深めることができた。また、研究代表者が9月にイギリスおよびフランスに滞在し、主にテート・アーカイブ(テート、ロンドン)やカンディンスキー図書館(ポンピドゥー・センター、パリ)、フランス国立図書館(パリ)等で関連する展覧会カタログや展覧会資料等の一次資料調査を行うことができた。 【成果発表】本研究課題に取り組むメンバーが各々、口頭発表や論文として着実に成果を発表した。加えて、研究分担者(長名)の企画によって、一般の聴衆にも広くひらかれた講演会(上記)やシュルレアリスム関連資料の紹介(東京国立近代美術館「アートライブラリからのおすすめ」シュルレアリスム関連資料、海外編および日本編)など、幅広いアウトリーチ活動も行うことができた。よって、全体として当初の計画以上に順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前半は、シュルレアリスムにおける展示をめぐる言説と理念を批判的に再考察するため、同時代の展示をめぐる言説と理念を概観し、シュルレアリスム美術の展開における本テーマの広がりを再考した。さらに、2022年度後半と2023年度は、その成果をふまえ、具体的事例における展示空間とテクスト空間について、作品やイメージの取捨選択や構成論理等から互いの構造的関係を分析した。 次年度は最終年度のため、これまでの研究を総合し、シュルレアリスム美術の展開に位置づけることで、個別研究から総合研究へと舵を切る。すなわち、事例研究によって付された点と点を結び、展示、印刷物、テクスト、理念等の有機的連関の中でのシュルレアリスムの展覧会の機能と意義を立体的に捉えたい。こうした研究によって、これまでに提出された多様な論点を総合的に考察し、議論するとともに、その成果をシンポジウム等で総括することを目指す。また、それらの研究成果を報告書としてまとめる予定である。
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