Project/Area Number |
22K00185
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
京谷 啓徳 学習院大学, 文学部, 教授 (70322063)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | エフェメラル・アート / 活人画 / 仮設性 / アッパラート / パヴィリオン / インスタレーション / 仮設装飾 / 仮設建築 / 舞台美術 / スペクタクル / 仮設 / エフェメラル / 展示 / 劇場 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、美術史を「仮設性」という新たな観点から再検討するための基盤の形成を、幅広い事例の収集によって行い、さらに、美術作品を「仮設性」という観点から眺めることによって、新たに姿を現す諸問題の整理と考察にまで至ろうとするものである。作品のテンポラリーな展示、素材自体がエフェメラルな美術、仮設の美術が有するスペクタクル性、実験の場としての仮設、劇場と仮設美術等、多様な観点からの研究を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究計画書の記載に従い、「隠蔽と開示のシステム」によって生み出される美術作品のテンポラリティについての考察を行った。収蔵されている場所から取り出されてテンポラリーに使用・展示される美術に対して、常に同じ場所に存在しながら、「隠蔽と開示のシステム」によってテンポラリーに出現する美術というものも考えられる。日本でいえば秘仏の開帳などがそれに当たるが、西洋の教会においても、たとえば開閉式の多翼祭壇は、特別な祝日などの機会に開閉されることによって、テンポラリーにイメージが観覧に供される。そのような事例を広く収集し、分類した。また宗教的な文脈の美術以外にも隠蔽と開示のシステムの存在を探った。 また、エフェメラルな素材による美術についての調査も行った。 現代美術であれば、エフェメラル・アート、ランド・アート等がそれに当たるが、素材自体がエフェメラルなものである美術の歴史について検討した。例えば、エフェメラルな素材としては、火(花火)、水(噴水)、雪・氷(雪祭り)、生花(花時計、菊人形)などが挙げられる。また料理もエフェメラルな芸術であると言えるが、食材を使用した美術/食べられる美術というものの存在も特筆される。さらに生身の人体を素材とする芸術形態についても検討を始めた(ボディー・アート、活人画、刺青など)。 また演劇・舞台芸能における舞台美術・舞台装飾について、今年度も引き続きその事例を収集した。 仮設の美術についてのテクストと記録図像・写真双方における一次資料の収集と整理も昨年度に引き続き行った。収集整理は今後も継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に示したように、当初の研究計画に従い、おおむね順調に研究目的が達成された。本務多忙により国外調査は見送り、資料調査に関しては、国内の図書館や研究機関等に所蔵されるものを中心におこなった。研究雑誌『日本歴史』に明治時代の活人画に関する論文を発表したほか、『迷宮のアルストピア』(ありな書房)に分担執筆をした。各種研究発表は都合5回行い、仮設物としてのアッパラートやパヴィリオン、インスタレーション、商業デザインの問題、活人画と身体、舞台の絵画化、美術における複製の問題などを扱った。論文執筆、書籍の分担執筆、研究発表などを行い、本年度も研究成果をしかるべくアウトプットすることができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき仮設の美術に関して、テクストと記録版画・写真双方における一次資料の収集整理をおこない、データ・ベース構築を目指す。また、当初の研究計画に記載した、「仮設的な美術の有するスペクタクル性と権力によるその利用」「実験の場としての仮設」の事例収集および分析に努める。また本年度から引き続き、舞台美術・舞台装飾の事例を収集し、その意義についての分析を進めていく。それらの調査を、ヨーロッパの主要図書館における調査や国内研究機関の調査等により推進する。また研究成果を研究会や論文等で発表することに努める。
|