Project/Area Number |
22K00214
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
|
Research Institution | Tohoku Seikatsu Bunka College |
Principal Investigator |
落合 里麻 東北生活文化大学, 美術学部, 講師 (00713710)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 女乗物 / 形態 / 装飾 / 江戸時代 / 駕籠 |
Outline of Research at the Start |
一本の長い柄に居室部分を吊るす構造の乗用具を「駕籠」と呼び、その中で支配者層が用いたものを「乗物」と呼ぶ。乗物の中には、江戸時代を通して身分の高い女性が用いた、装飾性の高い「女乗物」がある。本研究では現存する女乗物を対象として調査・分析を行う。「女乗物とは、どのような形態と装飾的要素によって成り立っているのか」「女乗物はどのように設計されているのか」ということについて、全体の俯瞰と細部に及ぶ観察、各部の寸法、比率、デザインの比較を通して具体的に示す。 また、女乗物は比率によって特徴的なプロポーションが保たれるよう考えられていた可能性があり、調査・分析を経て、この仮説を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
女乗物の現存資料の調査、文献調査を行い、学会に参加して情報交換等を行った。現存する女乗物の調査では、木瓜唐花浮線綾朱塗網代女乗物(人吉城歴史館蔵)が修理のため元興寺文化財研究所に移動されたタイミングに合わせて調査を行った。朱塗網代女乗物は『守貞謾稿』に記された順位としては3番目だが、現存数が少なく、調査実績がなかったため、よい機会であった。この資料の観察を通して、特に外装の技法や材料が黒漆金蒔絵や天鵞絨巻とは異なり、順位相応であることがわかった。修理中のため、一部の内装画が外された状態で、普段は見ることのできない構造部を観察することができた。奈良県立民俗博物館の調査では、乗物・駕籠を37挺確認し、つくりの良さと装飾の関係は一様ではなく、依頼主やデザイン担当者の意向によって注力する箇所が異なることを理解した。新潟県糸魚川市の善正寺では、1826年に京都の二条家の孫 中院利子が輿入れの際に乗ったと伝わる乗物を調査した。外装が網代で装飾は少ないが、整ったつくりで、日覆などの付属品が全て揃っている点が貴重である。公家の女性がこのような仕様の乗物を使ったという新たな発見で、形態が特徴的な「女乗物」との関係性を今後も研究していきたい。松本市立博物館では「松竹梅と桐紋蒔絵の女乗物」(松本市重要文化財)の調査を行った。蒔絵のデザインには絵画的な要素が見られ、江戸後期に主流であった黒漆金蒔絵とは異なる印象である。唐破風状の屋根でありながら窓が夢想窓ではない形は初見であった。女乗物の多様性として捉えてよいものか、今後も研究を続けていく。京都府綾部市の正暦寺では「邦姫の嫁入り駕籠」の調査を行った。内装・外装のデザインが和歌山市立博物館所蔵「黒塗六星紋蒔絵女乗物」と共通しており、その由来等を今後調査したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は新型コロナウイルスの感染拡大のため、調査が滞った。令和5年度は状況が緩和され、支障は少なかったが、令和4年度の遅れが影響し、完全に遅れを取り戻すには至らなかった。令和6年度は後れを取り戻すべく、スケージュールの組み方も含め、効率的な調査方法を検討して進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き現存資料の調査を進める。現地での調査は限られた時間で効率よく多くの内容を記録する必要がある。実測と記録方法の改善案があるので、計測機器等を購入して検討し、現地で実践する。並行して文献調査を進める。 令和5年度までの研究成果で発表できる内容をまとめた。6月に文化財保存修復学会(タイトル:女乗物の細部のつくりと製作方法・工程に関する考察)、8月に意匠学会(タイトル:「女乗物の形態と内装・外装のデザインに関する考察」)で研究発表を行う。可能であれば日本伝統文化学会でも研究発表を行いたい。 女乗物の屋根の制作実験のための図面を作成し、実践する。
|