Project/Area Number |
22K00215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
岡村 宏懇 尚美学園大学, 芸術情報学部, 教授 (70826784)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 竹人形文楽 / 文楽式竹人形劇 / 現代口語文楽 / 二人遣い / 語りの世界 / 水上勉 |
Outline of Research at the Start |
『雁の寺』『越前竹人形』『飢餓海峡』などの小説で知られる作家・水上勉(1919-2004)。 水上が劇団を主宰し演劇活動を実践していたことは意外に知られていない。 2019年、水上の故郷福井県で生誕100周年の記念公演(竹人形文楽)が行われた。当該研究者は水上の主宰劇団で正座員として18年間文楽人形遣いを務めてきた。 本研究は、公演未公開資料を基に、1978年から現在に至る水上勉の演劇活動の全容を明らかにすることを目的とする。 初年度は、水上が創始した竹人形文楽について総合調査を実施し、資料の価値づけを行いながらデータ・ベースを作成して研究基盤を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1978年から現在に至る水上勉の竹人形文楽の公演活動の全容を明らかにすることである。水上が創始した竹人形文楽は、人形浄瑠璃の芸態を参考にした現代口語の語りによる二人遣いの文楽式「人形劇」ということができるが、その舞台様式および竹人形の操法は特異なものである。竹の素材を活かして創られた竹人形そのものが他に類例の無い独創的な機能を持つため、操演に際し、特異な人形操作術が人形遣いに求められることとなった。 研究初年度の本年度は、竹人形文楽の基礎資料を収蔵する若州一滴文庫人形館の展示竹人形を中心に、主として竹人形の形態調査および竹人形文楽に関わった座員への聞き取り調査を行った。現存する竹人形は、当人形館の所蔵および若州人形座の所有分が全てであることがわかっているが、人形館展示の竹人形を作品別に調査した結果、竹人形文楽の公演で実働した人形数と展示人形の数が合わないことが分かった。これは、作品によって人形の使い回しが行われ、A作品のa人形のボディーをB作品のb人形に面だけを付け替えて再使用するということが行われていたことによるものである。この事実により、竹人形文楽の舞台様式および竹人形の人形操作術の変遷を竹人形の製作年代の仕様から推定するという当初の調査方法は見直しを余儀なくされた。上記の理由により、研究初年度は初演時の使用竹人形の選別および特定というところからリスタートすることになり、現在、ひきつづき調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水上勉の竹人形文楽の公演活動は3期に区分されるが(Ⅰ期は1978~80年の越前竹人形の会、Ⅱ期は1983~85年の竹芸、Ⅲ期は1986~現在に至る若州人形座の活動期間)、竹人形文楽の舞台仕様の変遷を調査するにあたり、先ず、作品ごとに実際に公演で使用された竹人形の選別と特定を行った。竹人形の造作仕様から竹人形の操作術が編み出されたという予見に基づき、そこから竹人形文楽の芸態の推定を試みる予定であったが、調査の過程で竹人形本体の使いまわしが一部認められ、作品ごとの竹人形の造作仕様に混乱が見られたため、改めて初演時の使用竹人形の選定から再調査した。また、並行して、竹人形文楽の公演記録映像の収集を行った。2000年以降の公演については残っている映像記録を作品ごとに分類整理したが、2000年以前の公演は記録が少なく、また、わずかに散見される映像資料の断片も、そのほとんどがVHSビデオ形式であったため、映像のデジタル化を進めながら保存作業を行った。さらに、2月には若州人形座座長と座員1名の聴き取り調査を実施した。その結果、竹人形文楽「はなれ瞽女おりん」初演時の演出方法および芝居内容について、出演当事者による貴重な証言を得ることができた。3月には若州一滴文庫の協力の下、一滴文庫の旧蔵資料の調査を行い、現有公演資料の確認を行った。 研究初年度は、上述の調査結果をふまえて論文1本の発表と学会発表を1回行った。 〈論文〉「竹人形文楽『はなれ瞽女おりん』における『影』を使ったキャラクター表現の演出意義と効果について」(査読付),尚美学園大学芸術情報研究 第35号pp.1ー19,2023.12 〈学会発表〉「竹人形文楽を活用した教育プログラム試案 ~協働する力の育成を中心にして~」,第19回和文化教育全国大会,2023.11
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度は、竹人形文楽公演の全期間にわたる基礎資料の収集につとめた。現在、若州一滴文庫に収蔵される現有資料のおおよその確認を終えたが、活動期間のⅠ期・Ⅱ期においては資料数が少なく、次年度も可能な限り、竹人形文楽の基礎資料の掘り起こし及び収集につとめる。また、竹人形に付随する面(おもて)について、オークションなどで出品された事例があり、出品された数個の面について確認を行ったが、竹を素材にしてつくられた人形の頭は正真正銘、水上の創始した仕様のものであることが判明した。しかし、竹人形文楽の面としてはいずれも該当作がなく、この面が何時、誰の手によってつくられ、何の作品に使われたものなのかは未だ不明であり、現在、調査中である。それ以外にも、Ⅰ期の面の中には、若州一滴文庫の人形館にも展示されていない面があることが判明している。 演劇資料として台本や公演写真、フライヤーやポスターなどの文字・写真資料は保存が可能であるが、演劇はライブの表現芸術であるため舞台内容そのものはカタチとして残らず保存ができない。そのため、舞台内容は記録映像や公演当事者の証言などから立体的に復元推定する必要があるが、1978年初演時の参加メンバーについては高齢化が進み、鬼籍に入られた方も多く、速やかな資料収集につとめる必要がある。 研究2年目の令和5年度は、前年度の成果をひきつぎ継続的な資料調査を進め、活動3期それぞれの活動記録および概要についてまとめたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)