Project/Area Number |
22K00225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
坂井 千春 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40381925)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 女性作曲家 / ピアノ曲 / ベル・エポック / フランス音楽 / シャミナード / エイミー・ビーチ / リリー・ブーランジェ / ジェルメーヌ・タイユフェール / アメリカ音楽 / ピアノ音楽 / 出版校訂 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、女性作曲家の作品を性別に捉われずに再評価する事を目的としている。今までの西洋音楽史は常に男性作曲家が中心であった。本当に女性の作品に価値が無かったのか、男性による偏見なのか、評価の仕方に問題があったのかを検証する。申請者は、音楽史上初の女性職業作曲家と評されているシャミナード(1857-1944, 仏)の研究の中で、男性校訂者による譜面の変更、批評の偏りなど様々な問題点を発見し、従来の評価方法に疑問を感じた。同様の問題が他の女性作曲家にも行われているかを精査し、演奏、論文を通して真価を世に問う。対象はシャミナード、ビーチ、タイユフェールなど19世紀後半から20世紀前半の作曲家に絞る。
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Outline of Annual Research Achievements |
今まで女性作曲家の作品は、作曲者自身が生きていた時代にはもてはやされていたにもかかわらず、作曲家の死後、誰にも顧みられず演奏されなかった作品が殆どである。美術や文学の世界に比べても、西洋音楽の歴史において女性作曲家の影は薄い。シャミナードの作品に心惹かれた私はその背景にジェンダーバイアスがあったのではないかとの疑問から研究を続けてきた。 しかし、近年は全世界的に、多様な価値観と共に性別に囚われない傾向にあり、女性作曲家の作品の録音、出版も増えてきている。このように世界中の演奏家達の様々な演奏スタイルにより表現されることは非常に興味深く、作品に新たな解釈の幅を与える。作品とは様々な角度から光を与えられることにより、変容し、拡大していくものだと思う。 もちろん、すべての作品がJ.S.バッハやベートーヴェンのように偉大な作曲家と並べられるわけではない。しかし、今まで無視されてきた作品に目を向けることも貴重なことで、性別にとらわれず、作品そのものを検証することが重要な時代になってきている。 よって、研究タイトルがジェンダーバイアスの研究となっているが、なぜ忘れ去られたかを追求することよりも、忘れ去られないように作品を演奏し、あらゆる角度から研究していくことが、作品を生かしていくことになると確信するに至った。そして、研究作品対象を当初の計画よりも大幅に広げ、個々の作品の研究に時間を費やしたために、表だった新しい研究の成果をまだ発表する段階に至っていない。しかし今後、具体的に成果を発表していく予定である。今までに研究したシャミナードの作品などは、機会があれば演奏し、今秋も国内でシャミナードの演奏と講座に招かれている。インターネットのピアノ曲辞典でも数曲公開され続けているし、今後もこのような活動は続けていくつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先に述べたように、現在は、全世界的により幅広い女性作曲家の作品の録音、出版も増え、私がシャミナードの作品研究を始めた頃よりCDの録音も5倍以上の枚数が市場に出回ってきている。 当初、シャミナードの研究が一段落した後は、彼女と親交の深かったアメリカ人女性作曲家のエミー・ビーチを中心に、次世代のフランス人女性作曲家のジェルメーヌ・タイユフェール、リリー・ブーランジェなどを研究対象とする予定だったが、研究を進めるうちに他の多くの女性作曲家達、ルイーズ・デュモン・ファランク、ポリーヌ・ガルシア・ヴィアルド、オギュスタ・オルメスなどの作品にも興味を抱くようになった。きっかけとしては、新しく多くのCDが発売され、楽譜だけからはあまり興味をひかなかった作品も、美しい演奏を聴いて認識を改めたことが大きい。楽譜も発売されてはなく、名前は聞いていても知らなかった曲も多かった。 もう一度、これらの多くの珠玉の作品を分析、研究し、共通する女性特有の美点、相違点、それぞれの境遇、生き方なども含めて研究を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
多くの女性作曲家の作品に対象を広げたとはいえ、研究の柱としては、以前から続けているセシル・シャミナードと、親交のあったエミー・ビーチなので、今年度か来年度にはアメリカのボストンにあるシャミナード・クラブを訪れ、ビーチに関する資料収集も行う予定である。 相手先の都合もあるので、よくコンタクトを取り、事前に万全の準備を整えて向かいたいと思っている。 新たにシャミナード以外の女性作曲家の作品を演奏する機会も設けられるように準備中である。
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